第3話 帰省
蒼くんはツアーに行くというのに、なんとわざわざ心配だからと実家までわたしと颯太を送り届けてくれた……。
「じゃ、ごめんなーまた連絡するから」
車に蒼くんは乗り込む。
「がんばってー。いってらっしゃーい」
「ゆりをよろしくですー」
わたしより元気にお母さんの方が声を出して見送る。車が走り去る。
「そうそう、そういえばこの間類ちゃん見たわ。小さな男の子連れて歩いてるの。変わらんなあ、身長以外。綺麗な顔してなあ。ますますイケメンなって」
ひゃって思う。類斗に会えるって。ドキドキする、すぐ近くにいるって思うと。
「はあ〜颯くん。ばあばと遊ぼうね!」
車から降りた颯太はすでにお母さんが抱っこしてくれている。お母さんは颯太に夢中なので助かる。わたしはさっそく自由な時間をもらったので、類斗が待つ場所に向かう。類斗は今日仕事を少しだけ休んでくれているようだ。わざわざそんなことしなくても……って思ったけど、待ち合わせ場所に立つ類斗を見ると、かっこいいーーーーー!!!!!ってなる。自分でもびっくりする。
小学生の頃に、いつもバイバイして別れた場所でわたしたちは再会を果たす。目が合うだけで嬉しい。
「ゆりー!!」
一目も気にせず、ガバって抱きしめられる。うう苦しいけど嬉しい。
「類斗……恥ずかしいよ……」
「行こう」
類斗の車に乗り込むと、シートベルトをつけてくれる時にキスされて、うわってびっくりしてたらにやってされた。くそー。
ドキドキしていない風に、平静を装う。
「大丈夫なん? 奥さんとか……」
「大丈夫、ゆりはなんにも気にせんといて」
車が動く。それから手を握られる。
「ごめん……会って早々やけど、我慢できひんから、ホテル行っていい?」
「う、うん……」
やばい……いいけどさ、もう何回してもドキドキマックスなんやけど。
「大丈夫?」
「うん」
だって一児の母やでわたしは。ありえへん、こんなん大丈夫。
「じゃあドライブがてら国道沿いまで行こうか。ゆりが隣にいるの嬉しすぎるわ」
信号が赤になるとぐいって顎を掴まれてキスされる。ドキドキするからやめてくれー。危ないしって思いながらも何も言えない。
「可愛い。化粧してんの? せんでもゆりは可愛いのに」
うっすらやけど、バレた……。だって類斗に釣り合う女に少しでもなりたいやん。化粧品に昔っから疎いから、でも類斗に会うしってがんばって、ネットで調べてドラッグストアで買った。恥ずい……。
類斗はずっとニコニコしてる。ふー。類斗みたいに笑顔で楽しまないと。
国道沿いにあったホテルに車が滑り込む。暖簾が揺れる。わたしはシートベルトを外してドアを開ける。類斗が助手席まで迎えにわざわざ来てくれる。
「どうした?」
顔を覗き込まれる。
「体調悪い?」
「ううん、ちょっと緊張してる……類斗と久しぶりやし」
「めちゃくちゃにするから安心して」
耳元で意地悪くつぶやく類斗。ひゃってなる。
「ははは、冗談じょーだん」
ホテルにふたりで入る。




