第27話 夢みてたこと
「類斗……ありがとう。みんな嬉しそうにしてる」
「変わらへんなあ、ゆりの家族。いっつもゆりのことあんな風に言うけど心配してて」
「そうかな?」
「何回おばちゃんからお願いされたか。これからもよろしくねって」
「ごめんなあ……」
お風呂から呼び出しの音が聞こえたので、わたしは颯太の服を脱がせようと立ち上がる。おもちゃで遊ぶ颯太の服を、わたしは片膝をついた状態で脱がせる。
すると、後ろから類斗に抱きしめられた。
「そんなんどうでもいいねん……俺が……ゆりを好きなだけ」
「嬉しい」
はあ……安心するけど、実家の手前ドキドキしすぎる……。
「さっき言ったこと本気やから。家族公認なら進めやすくない? とりあえず、今は耐えるしかないな」
「え?」
悠太郎やお母さんが戻ってきたので、わたしたちは離れる。わたしは類斗に頭をくしゃってされた。
「颯くん行こうか〜」
お母さんが裸になった颯太をお風呂に連れて行ってくれた。
「悠太郎、ボール蹴ろうや」
「いいの?! 行こう!」
「ちょ、酔っ払ってんのに大丈夫?」
「そんなん関係ないわ」
ふたりはボールを持ち玄関から出て行ってしまう。まあ、いいか。
颯太のことも、類斗のことも気になってどうしよーと思いながら、わたしはスマホを確認。蒼くんからの着信が残っていたので折り返す。
「もしもし」
「ゆり、体大丈夫? ごめんなー任せっきりで」
「大丈夫、今お父さんがお風呂入れてくれてるし、実家でゆっくりしてるから」
「ありがとう、明後日に戻ってくるんやっけ? また連絡するね」
「うん、その予定。また颯太の写真送るね」
お母さんがリビングに戻ってきて、台所に立ち片付けを始める。
「ふたりは?」
「ボール蹴りにいったよ」
「ほんまあ、懐かしいなあ。悠莉もさ、一緒になってサッカーしてたなあ」
「ほんまやなあ」
「類ちゃん、変わらへんなあ。でもとびっきりのイケメンになって」
「そ、そうかな?」
「早く離婚して類ちゃんと結婚してや〜ははは」
「もう何言ってんのよ……」
って言いながらも、口元が緩む。類斗のお嫁さん……どれだけ夢みてきたか。
わたしは立って、窓の外を見る。家の前で悠太郎と類斗がボールを蹴って嬉しそうにしている。類斗が嬉しそうにボールを蹴る姿がまぶしい。もっと続けられたらよかったのにな……と思いながら眺めた。
楽しそうに、心から楽しそうにサッカーをする類斗がわたしは大好きだった。それは真っ直ぐに輝く光というか、もっと美しいなにかだった。そんな類斗を見て、わたしはますます好きになっていったのを思い出した。




