第26話 実家での夕食
わたしは颯太と並んで座り、ご飯を食べさせながら自分もてきとうに食べた。類斗は斜め前に座ってる。なんか遠いなー……。
「類ちゃんがお父さんやってるんやねーすごいなあ」
「サッカーやらせんの?」
「この間ふたりで歩いてんのみたよ?」
類斗大好き一家なので、次々に質問を浴びせる。お父さんも嬉しそうだ。こんな風に家で食べるの懐かしいなって思いながらわたしは微笑ましく様子を見守る。
「るいちゃん!」
いつの間にか、颯太も類斗に懐いている。やっぱり親子揃って類斗が好きみたいだ。
「おーかわいいなあ」
類斗がぎゅーっと颯太を抱きしめてくれる。お父さんしてる類斗に不覚にもときめいてしまう……。うう……奥さんが羨ましい……。
「類ちゃん、悠莉東京やろ? ほんまに心配でさ」
お母さんも酎ハイを飲んで気分がよさそうだ。
「颯くんもまだ小さいのに、2人目やで? もう気が気じゃないのに、その上世界のギターリストの嫁! 信じられる?」
「ねー俺も嘘やろって思ったわ」
「むかしっから、類ちゃんおらなあかんかった子がやで? もういまだにわたし親やのに嘘やろって毎日思うもん」
出た出たわたしの悪口。類斗が来るたびにわたしのだめさ加減で盛り上がる。
「ランドセル忘れて帰ってきたりしてな!」
ビールを飲んで顔を赤くした悠太郎も加担する。
「類ちゃんが走って持って来てくれてなあ。ほんまに助かったわ」
「いやーそんなんあったけ?」
「ほんまに……類ちゃんが結婚してくれたらどれだけよかったか。よく類ちゃんのお母さんと言ってたんやで?」
「そうなん……?」
「お似合いやのにねーって」
「もらおうか? 俺既婚者子持ちやけど。って大川も既婚者子持ちか。ははは」
はーなに言ってんのよ、お母さんも類斗も。もうなんにも話したくないわって思いながら、わたしは食べ終えた颯太と一緒にリビングで遊ぶ。
「ほんまに? 類ちゃんがもらってくれたら安心するわぁ」
「いいよ〜。ゆりを嫁にください」
冗談やってわかってるのに……どきっとする。
「嬉しいわ〜はははは」
「悠莉、離婚や離婚! ははは」
悪ノリすぎる。でも……嬉しすぎる。それからもみんなでお酒を飲んで楽しんでいたけど、颯太をわたしはお風呂を入れないと……と頭をよぎったのでお母さんに伝えた。
「じいじと入ろうかー」
お父さんが準備を始める。助かるー。お母さんがタオルなどの準備に行き、悠太郎とわたしと颯太と類斗だけが残った。
「俺もまじで類斗くんがおにいちゃんになってほしかったわー。蒼くんも気さくやし有名人じゃないみたいなんやけど、やっぱり類斗くんが俺はいいなー」
「ほんまかー、俺も悠太郎が弟やったら嬉しいわ」
「類斗時間いいん? 明斗くんのお世話とか。奥さん大変ちゃう?」
「トイレトイレー」
悠太郎がトイレに立つ。颯太はいるけど、やっとみんないなくなった。途端にドキドキする。さっきの会話を思い出す。




