第24話 実家の前で
ラーのギターの妻の妊娠の報告に世間が騒ぐ頃、わたしは颯太を連れて地元に戻った。類斗が駅まで迎えに来てくれた。
颯太はちょっと驚いて、わたしに抱きつく。
「初めまして」
「颯くん、類斗やで」
「可愛い、ゆりにやっぱ似てんなあ」
「そうかな?」
「綺麗な目。やばいな」
それから車に乗って、実家に向かう。颯太は明斗くんのチャイルドシートに乗せてもらっている。何気ない会話を楽しむ。
「体調大丈夫なん?」
「まあ、ぼちぼち。たまに気持ち悪いけど」
「ほんまかあ、がんばってんなあ」
「ごめんな類斗。わたし何にも考えんと妊娠のこと伝えて」
「仕方ないやろ、そりゃ世界のギターリストの嫁なんやから」
類斗がちょっと拗ねたように言うから可愛過ぎて抱きしめたくなったのに、颯太がいる手前なにもできない。今日は、実は類斗も一緒に実家でごはんを食べることになっている。嬉しい。いつぶりやろ。
類斗がわたしの手を握って、自分の太ももの上に置くからドキドキする。ちらっと横顔見たらかっこよすぎて溶けそうになる……綺麗な顔。もういや、好きすぎる。
実家につくと、エンジン音で気づいたのかお母さんが玄関から飛び出してきた。
「類ちゃん〜ありがとう!」
それから後ろのドアをお母さんが開けるまで、類斗と手を握っていた。なんか錯覚する。類斗のお嫁さんになったみたいで。幸せに酔いそう。
「あー颯くん、かわいい。ばあば待ってたよ。おもちゃブーブー買っておいたからね」
颯太を抱っこして家の中に入って行く。ドアが閉まった瞬間、車の中できつく抱きしめられる。それからキスされて、ちょっと悲しそうに類斗が笑った。
家の前なのにー……ってドキドキするのに、もっともっとって思ってしまう。ドアから降りようとした類斗の腕を掴んだ、恥ずかしいけど。だってもっとしたいもん。
「ん?」
類斗がにこっとして言う。
「……もっとしたい……」
んんー恥ず。でも……。
「あほか、俺もや」
それから助手席のシートを押し倒されて、深い深いキスをした。わたしのお腹に当たらないように、類斗は自分の体重を支えてくれている。
「やばいなーとまらんなる」
類斗がわたしの胸に顔を埋める。さすがにそれは……って思ってたら、玄関のドアが開く音がしたので、類斗を押しのける。
それからふたりで思いっきり笑った。




