第22話 花火大会
大きなマンションの窓から、花火が綺麗に見えた。颯太も起きて嬉しそうに、たまに怖がりながら眺めていた。
類斗たちとした花火を思い出す。自転車ででかけた時のことも。自転車しか乗れなかったのに、いまは車も運転して働いてる。
バン……バン……
打ち上がる花火たち。花の様に舞っては、ひらひらと消えていく。青色の花火が上がって、さらにその花火が伸びていき、金色の花火に変わって消えた。
花火を一緒にした公園。大きな滑り台があって、そこで鬼ごっこするのが楽しかった。地元に戻った時、颯太を連れて行こうかとも思うけど思い出が多すぎて連れて行っていない。
まだ明るい中、花火したなあ。ふざけて振り回すけど、危なくない様に気遣っている類斗にわたしはすぐに気づいた。楽しそうにするから、わたしまで楽しくなった。類斗は覚えてないかもしれないけど、ふたりでしゃがんで並んで花火をしたことわたしはドキドキして仕方なかった。肩が触れそうで、花火に集中できなくて……。このまま時が止まれば良いなって願ったぐらい。
バレンタインデーも、ホワイトデーも。類斗覚えてる?
お母さんと作ったチョコもクッキーも、どれだけドキドキして渡したか。類斗がおばちゃんと選んでくれた可愛い雑貨、どれだけ大事にしたか。今も、あの小さなハンカチ持ってるんやから。って恥ずすぎて類斗にさえ見せたことないけど。小さな鏡やポーチも。類斗がくれるものは全てすぐに宝物になる。どんなに些細なものでも。
類斗は覚えてくれてるんかな……?
そろそろ、花火が終わりかけているのか、打ち上がる勢いが増していく。颯太は夢中で眺めている。最後に、いっぽんの花火が打ち上がり、うんと高い場所で弾けてキラキラとした花火に変わり最後は青色の花がふたつ現れてどこかに消えた。
別れちゃった……と思うだけで、切なくてわたしの目から涙が流れた。出産してからなおのこと涙もろくなっている気がする。想いが止められないというか、溢れ出るというか……。
冬前に出産か……。わたしと同じ誕生日ぐらいかもしれない。お腹の子は、一応女の子と言われている。どんな風にふたりは育つのだろうか。そしてこの子も、冬生まれの男の子を好きになるのだろうか。
自分の想いをきっちりと伝えられる子供たちになりますように……。
花火がすっかり消えた夜空にわたしは必死で願った。




