第21話 買い物
蒼くんの忙しさは相変わらずなのに、合間にわたしと一緒に検診に行ってくれた。わたしは子供が自分の中で順調に育っていく様子をただただ感じた。
もしこれが類斗の子供だったら、わたしはどうするんだろう? 隠したまま蒼くんの子供として育てるのだろうか。それとも、本当のことを伝えて離婚するのだろうか。そうして、類斗も離婚して、わたしたちは結ばれるのだろうか。
颯太はどうするの? お母さんって呼ぶようになった颯太をどうすればいいの?
わからへん……ベビーカーを押しながら、ベビー用品が並ぶ店の中を彷徨う。颯太のために服を買う。いつの間にかセパレートの服の方が着やすくなっていて驚く。
全部が蒼くんに似ますように……汚い気持ちのわたしに似ませんように……。
レジで会計を済ませる。
そういえば、今週末、ラーのアルバム完成のパーティがある。蒼くんは無理しなくて良いっていうけど、久しぶりに都馬くんたちにも会いたい。家でずっと颯太と過ごす時間は愛おしいし大事だけど、ちょっとは外に出たくなる。
パーティで何着よう。蒼くんからはなんでも買っていい、どこに行ってもいいと言われているけど、自分が稼いだお金じゃないから颯太のもの以外にお金を使うのに気が引ける。
お腹があんまり目立たないような、楽なワンピースないかな。そんなことを考えながら、街を歩いた。颯太はベビーカーでいつの間にか眠ってくれていた。こんな風にいっつも気を遣ってくれている気がする、まだ1歳やのに。
ショーウインドウを見て入った店のワンピースを試着する。
「妊婦に見えない! 今何ヶ月?!」
店員さんに驚かれる。颯太の時もそうだったけれど、後期に入らないとわたしはお腹が目立たないタイプのようだ。
1番気に入ったレトロなワンピースを購入した。2万円ってだけで震える。
ショップのかばんを肩にかけて、歩く。帰り道に夕飯の材料を買う。
誰がどう見ても幸せなんやろな、こんな姿。なんせ、わたしはラーのギターの妻。だけど、その肩書きみたいなのが邪魔に感じる瞬間ばかりだ。離婚なんてしたら、世間にどんな印象を与えるんだろうか。わからないけど、良いように解釈されない気がする。わたしの気持ちだけで決められる域を越えすぎている。
蒼くんも颯太も大好きなチヂミにしようかな。混ぜて焼けばいいだけやし。あとは卵スープ。
今日は浴衣姿のひとが目立つ。
そういえば、この辺では1番大きなお祭りがあるんやっけ。子供の頃に、4人で行った商店街のお祭りを思い出した。もらったおもちゃで永遠に公園で遊んだっけ。
類斗の無邪気な笑顔を思い出す。今も変わらない無邪気な笑顔を。




