第20話 理解できない想い
イったわたしは、慌ててティッシュで股を拭いてパジャマを整えた。
「ゆり……大丈夫?」
「うん、ありがとう類斗」
「ゆり?」
「類斗?」
「ごめん……めちゃくちゃ俺嫉妬してる」
「え」
「2人目のこと聞いて喜んだりしやなあかんのに、もう動揺しまくり。結婚してるんやし当たり前やのに。俺、ほんまにあほや」
やっぱり、わたしは類斗を傷つけている。わたしと一緒にいても類斗を傷つけるだけじゃ?
「そばにいたいなーって思いすぎて、もう頭ん中やばくて。爆発しそう。ははは」
悲しそうに笑う、類斗。そんなんわたしもやん。でも子供もいて結婚したんは、類斗が先やん。ってあかんあかん、類斗を責めたら。蒼くんと公園にいるところを見たのは類斗が先。悪いのは、全部わたしや……。
「わたしの方こそごめん」
「いやーごめん。俺が余計なこと言うからやわ」
「ちゃう、わたしが類斗に甘えすぎてるから」
「そんなことない。ゆりに頼られるとなによりも嬉しい。ただそばにおられへんのが悔しいだけ。もうこの話は終わり!」
「そうやね」
「じゃあ、すっきりしたし、はは、家戻るわ」
「ごめん、帰るの遅くなったね」
「そんなんゆりのえろい声聞けたからなんでもがんばれるわ。また寂しくなったらいつでも言って?」
「もう、類斗きらい」
「え〜冗談でも傷つく」
「うそ、ごめんなさい」
「じゃあ、温泉約束な!」
「うん」
それから名残惜しいけど、電話を切った。切ったのに、類斗の甘い声がわたしの耳にずっと残っている。ティッシュをゴミ箱に捨てる。
蒼くんは何時ごろになるんだろう。寝ておかないと蒼くんが心配するかもしれないから、寝ようかな。わたしはトイレで用を済ませてから、颯太が眠るベッドに向かった。
スースー小さな寝息を立てながら、静かに寝ていた。可愛すぎる寝顔。
月明かりが窓から入ってくる。だめだ、なかなか眠れそうにない。類斗との電話を思い出す。胸がぎゅってなる。
当たり前だよね、傷ついて。そばにいてええんかな? 類斗や蒼くんや颯太のそばに。このままでええんかな?
わからへん。わたしは類斗を愛してるけど、颯太も蒼くんも大好きや。でも頭の中は類斗の笑顔でいっぱい。類斗の言葉で胸が高鳴る。
昔から恋愛のこと、類斗へのこと文香にも相談したことない。誰にも相談したことない。相談してしまえば楽になるのかもしれないけれど、相手に伝わるような想いじゃないって変な自信があるから話せない。
だって、他のひとが理解できるような想いじゃないと思うからだ。




