第15話 異変
尿をかけるとすぐに妊娠陽性の反応が出る。蒼くんとの子供だ。こんなに早く2人目を授かるなんて、自分でも驚きだ。とにかく病院に行ってから蒼くんに報告しよう。
わたしは晩御飯の用意に取り抱える。帰ってくるのは夜遅いだろうから、温めてすぐに食べられるように蒼くんの分だけ皿に入れておく。
颯太はよく食べてくれる方だと思う。他の子を知らないからあんまりわからないけど。嫌いなものもあるけど、次の日には食べたりするから子供って不思議だ。
「おいちー」
言葉もちょくちょく出てくる。
「ありがとー」
肉じゃがを手づかみしながら食べる。周りからはわたしに似ていると颯太は言われるけれど、蒼くんにも似ているとわたしは思う。可愛くて仕方ない。でもそれとわたしの類斗への想いは関係ない。比例もなにもしていない場所にある。
颯太と一緒にお風呂に入る。それから寝かしつけをして、洗濯機を回す。類斗から電話がかかってきたので、部屋に移動する。ドアをゆっくりと閉める。
「ゆりーやっと帰るわ」
「遅くまで、すごいね」
「今大丈夫?」
「颯くん寝たから大丈夫」
大好きな類斗の声。落ち着くなーでもドキドキするなって思いながら話をする。なんてことない話やのに、楽しくて仕方ない。その時物音がしたので、わたしは慌ててしまってスマホを床に落としてしまう。
「ごめん、蒼くん戻ってきたかも」
「ういー大好き、おやすみ」
電話を切ってリビングに向かう。ギターを背負った蒼くんがいた。
「ゆりー」
「おかえりなさい。どうやった?」
「いやー楽しかったわ。ツアー終わったら正式に新譜の制作に取り掛かるって決まりました。だからまたスタジオこもり。やけどその前に旅行やな!」
「大丈夫? 無理せず休んでや」
「大丈夫」
わたしが台所に立って、ご飯を温めようとしていると、後ろから抱き締められる。きつくきつく。
「ゆりーあとでやりたいな……」
もう硬くなった蒼くんの性器がわたしの背中辺りに当たっている。
「蒼くん……」
「あかん?」
「実は、まだ病院にも行ってないんやけど……」
「ん? まじ?」
すぐに察したようで桜が咲くように、蒼くんの表情が明るくなる。
「2人目?! まじ??」
「今日検査してん、体調おかしいから」
「大丈夫? いいよ休んでて。もう寝てくれていいから。自分でやるからさ」
「これぐらいさせて。蒼くん疲れてるやん」
「吹っ飛んだ全部!! やった! まじで幸せや」
またぎゅーって抱き締められる、きつく。
「俺も病院一緒に行くから、予約したら教えて?」
「ありがとう」
「颯太もびっくりするやろな。男かな〜女かな〜どっちでも嬉しいな」
わたしも心から嬉しいはずなのに、複雑な気持ちを抱えていた。




