第14話 また……
わたしは、颯太と一緒に東京に戻った。新幹線が東京に着いたタイミングで類斗から電話がかかってきた。
「ついたー?」
「うん、類斗色々とありがとう。また戻るからよろしく」
「俺も東京行きたいわー。会いに行きたい」
「また計画しよう。じゃあ切るね」
「ありがとう、気をつけて」
改札を抜けると、蒼くんの姿が見えた。
「おーかえり!」
颯太を抱き上げる。それからわたしの荷物も持ってくれる。
「いいよ、颯くん抱っだけで」
「いやー疲れたやろ?」
「大丈夫、大丈夫。蒼くんもツアー中やのにごめんね」
「会いたくて倒れそうやったわ」
「わーごめんね」
「いやいやこっちこそやし。友達に会ったりできた?」
友達にも会ったし、大好きなひとにも会えた。
「うん、心の充電できた」
「よかったー。また俺に遠慮せずに戻ってくれてええからさ」
タワマンの15階にわたしたちの部屋がある。きらきらしすぎてて、暮らしてるのに嘘みたいな気がする。
「あ、買い物してから戻るわ」
「え、いいよ疲れてるやろ? なんかてきとうに食べに行こうや」
「大丈夫、ちょっと行ってくるね」
わたしはひとり近所のスーパーに向かう。値段が地元と違うから焦る。野菜や魚をてきとうに買ってレジに並ぶ。
部屋に戻ると、ふたりでじゃれあいながら遊んでいる姿が目に入る。
わたしは台所に立って、魚を焼いて味噌汁にサラダ、卵焼きを作り、炊飯器からごはんをよそおうとして炊いてないことに気づく。
「ごめんなさい、蒼くんご飯炊くの忘れてた」
「いいよいいよそんなん」
蒼くんが抱きしめてくれる。ほんまになんでこんなになんにもできひんねやろー。ありえへん。
「今日はライブ後真っ直ぐ帰ってくるからさ、ばんごはん作ってくれる?」
「うん、もちろん」
「やったー。ゆりの手料理がいちばん好き。嬉しい。がんばれる」
昼ごはんを食べて、颯太を寝かしつけてくれるとすぐに蒼くんは出かけて行った。
「行ってくるわー」
「がんばって」
ぎゅーって抱きしめられて、それからキスされた。類斗とのキスを思い出す。えっちなことも。
それから颯太が寝ている部屋とは別の部屋に入って、類斗からの電話に折り返す。
「ゆーりー」
仕事の休憩中なのに甘えた声を出す類斗、可愛すぎる。
「おつかれさま」
「ゆりー。もう会いたい病やわ」
そんなんわたしもやんって思いながら類斗の大きな体や綺麗な顔を思い出してにやける。
「次はゆりの家遊びに行くわ」
「来てきてーみんな喜ぶわ」
幸せでため息が出る。大好きに囲まれている幸せ。
「やば、もう仕事戻るわ」
電話を切ってから、体の異変に気づく。腰が妙に重いし、胃もむかむかする。そういえば……と思う。生理まだきてないかも。
規則的にくるわけではなかったけど、ある程度の範囲内ではきていた。
颯太が昼寝から起きたら一緒に買い物に行って、それから検査してみようと思う。あかん、眠すぎる。高速移動して疲れたんやわって思いながら、颯太が眠る部屋に行ってわたしも並んで横になる。温かい日差しの中眠るのは最高だ。




