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第6話「機巧都市リースペリア」

「ヨシッ、次」

門番の声がハッキリ聞こえる。

いよいよ俺達の番が来た。

門番は人と人形の体制なんだな。


「君はミウラ人形工房の......?」


「はいっす。ミウラ人形工房―第一工房所属―ミウラ・エストレラ。人形技師っす」


「おー!“ミウラ人形工房の星”か!」


「えへへ。恥ずかしいっす」


「うしろに連れてるのは、」

「......見たことないけど人形か?」


「そうっす。新商品をテストしてたっす」


一瞬、エストを見る。


――任せていいのか?


エストは親指を立てた。


……任せるしかないか。


「ヨシッ、いいぞ」

「ありがとうっす!」


門をくぐった瞬間、違和感があった。


人が多い。


――いや、違う。


その半分は、“人じゃなかった”。

すれ違う人形達が、一斉にこちらを見る。


――違う。


視線が、刺さる。


見ているのは、イオだ。


「イオはどの人形ともまるで違うっすからね。」

「人もそうっすけど人形から見てもどこ製か気になるんじゃないっすか?」


「新製品のテスト品だからか?」


「あの場所はあーいうことしか言えなかったっす。仕方ないっす!不可抗力っす!」


『不可抗力とは―』


「あーあーわかったっす!ごめんっす!」


……一瞬だけ、空気が緩んだ。



「カイトさんは人形との対話から始めるっすね」


「......人形との対話?」


料理が運ばれてきた頃、

エストが話し始めた。


「人形は本来マスターの言うことしか聞かないっす」

「もちろん人形性能自体もそうっすけど、」

「ちゃんと性能を引き出せるかは“使い手”(ドールマスター)次第っすね」

「だから、あの場合は命令が足りてなかったっす」


エストは皿の上のポテトを並べる。

先ほどの配置を、なぞるように。


「さっきはこういうかんじで左にアタシ、右にイオ、後ろにカイトさん」

「......そして前にはゴブリンの群れ」

「アタシはまず中央から左にかけての敵を引きつけたっす」

「イオは本来であれば中央から右にかけてのゴブリンを担当だったんっす」

「でもイオの最優先はカイトさんの命令とその時の最適解」

「その命令通りに従うと、イオが右から殲滅するのが最適解と判断した」

「右にいた敵が、こっちへ流れてくる。」


「……これは、当たり前の結果っす」


「だから、中央から左にいたアタシを見捨てた」


……一瞬だけ、間が空いた。


ポテトを指で弾く。

コロリと転がって、皿の端にぶつかった。


「あの場合はどうすればよかったんだ?」

「まず、アタシの意図をカイトさんが理解し、イオに命令する」

「イオはその命令を受けて最適解で行動するから、意図と違ってたら修正する」

「それで学習させる」


「......学習」

「そ。AIも完璧じゃないから」

「その繰り返しっす」


エストは残っていたポテトを、迷いなく口に放り込んだ。


……言い返せなかった。

俺はイオに全て丸投げで何もしてなかった。

それどころか―責めた。


「―人形使い(ドールマスター)次第...か」

ぼそっと呟いた


「カイトさんは......何にも知らないっすからね」

「......ほんと、何者なんすか?カイトさんとイオって?」

俺が回答に困ってると


「……よし、行くっすか」


エストに連れられて入ったのは、金属の匂いが強い店だった。


壁一面に武器が並んでいる。

剣、槍、斧――金属の光が、ずらりと並んでいた。


「人形使いは大きく分けて二つあるっす」


「前衛で人形に援護の命令を出すタイプか、」

「後衛で援護しながら前で壁やアタッカーの命令を出すか」


「カイトさんは魔法適正が0だから、」

「カイトさんが前衛でイオには援護の命令を出すのがいいと思うっす」


「今の三人の連携を考えるなら、片手剣と盾が無難っすね」

「アタッカーにも盾役にも対応できるっす。」

「それに、命令も落ち着いて修正しやすいかと思うっす」


「なるほど、でも...その...金は持ってないぞ」

ばつが悪そうに頭をポリポリしてると


「初期費用はタダでいいっす」

「そのかわりに―」

エストは怖い顔して詰め寄ってきた。


「...なんだよ」

ちょっと、怖い。


「イオを整備させてほしいっす!!」


「こんな人形初めてみたっす!人形技師として中身をちゃんと見てみたいっす!!」


「イオ、お前はどう思う...?」


『カイト様の判断を最適とします』


「イオが嫌じゃないなら...」


イオに頬擦りするように、エストは顔を寄せる。


「ありがとうっす!!」

「まずはスキャンからっすね...それと...」



……変わらないといけない。


剣と盾を強く握る。


そう誓った。


イオの最適と――

俺の最適を、合わせる。

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