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第5話「三人の旅路」

......俺が戦えてれば、救えたのか。

ステータス画面に表示された0が、

やけに重く見えた。


「よかったら帝都レグラードに行かないっすか?」

「帝都ならお二人のこと何か分かるかもしれないっす」


......たしかに俺は何も知らなすぎる

イオのことも......俺の“0”も

「わかった。それで行こう」

......逃げてる。

分かってる。

それでも――ここから早く離れたかった。

「イオもそれでいいか?」

軽く目配せをして言った。


『はい。カイト様』


「んじゃ、決まりっすね!レッツゴーっす!」

3人は帝都に向かって歩き出した。


「まずはここから一番近い“機巧都市リースペリア”があるのでそこに行くっす」

「このあたりで一番大きい都市っす」

「情報も集めつつ、カイトさんの装備も整えるっす」

「それにアタシも父ちゃんに頼まれてた材料納品したいっすから」

「第二工房もあるので色々都合もいいっす」


...たしかに今の俺は、イオの後ろに立っているだけだ。

装備は手にしておきたい。


「イオ、ここからリースペリアまではどれくらいかかるか分かるか?」


『現在時速4kmで一日8時間歩いたと計算...結果2.5日かかります』


「......長いな」


「そんなもんっすね」

「道中は私達に任せるっす。ねぇーイオ」


『カイト様の命令とあればなんでも致します』


俺はイオを直視出来なかった。

目が合えば、あの光景が蘇りそうで。

......あいつは、何も変わっていないのに。

あんなことあった手前どう接すればいいのか困惑していた。


「イオ、ちなみに帝都まではどれくらいかかるんだ?」

『はい。約20日前後と算出されます』


「...かなり遠いな」


「前に徒歩で私がカラン村付近まで来た時25日以上かかりましたっす。」

カラン村の単語を聞いた瞬間、

胸の奥が、強く締め付けられた。


「さすがに時間かかるんで今回は“馬車”を使って来ましたっす」

「馬車だと安いし楽っすけど、流石に車ほど早くはないっす」

「今回は本来車使ってくるはずだったんっすけど予算不足で断念したっす」


「車もあるのか?」

「...カイトさん、なんにも知らないっすね」

ジト目で見られる。

「馬車は馬が荷車を引いて走るもので、」

「車は大きい人形が荷物を乗せて車輪で走るものっす」

「車は馬みたいに疲れないから休息もないですし早いっすね。代わりに物凄く高いっす」


『疲労の概念が存在しない輸送機構と推定されます』


「いや言い方なんなんすか!?」

「いい車を持つことが貴族のステータスって言われてるくらいっす」


「なるほど。ありがとう、エスト」


......三人での旅が、始まった。


俺達はリースペリアまでの道のりを歩いた。

その道中この世界のことやエストのことを聞いた。

エストは帝都の第一工房で働いているみたいだ。

父親に頼まれてカラン村付近の鉱山で素材を取りに来たみたいだけど、

あの出来事に出くわしてしまった。

リースペリアのミウラ人形工房に納品したら今回の仕事は終わりみたいだ。


世界に関しては、

ここはレグラード帝国の南東付近カラン村から東に進んだ位置とのことだ。

そして今から行く機巧都市リースペリアについても聞いた。

オートノミア自治国も近いので国交がある。人形が多いみたいだ。



そんな話をしてると


エストは足を止めた。

「止まって」

その先にはゴブリンの群れがいた。

エストは大槌を構えた。


『カイト様、如何いたしますか?』


「イオ、ゴブリンの群れを排じ――」


......待て。

このまま言い切っていいのか?またカラン村みたいに...?


『カイト様、応答速度が低下しています。体調不良ですか?』


「イオ、エストと協力してゴブリンの群れを討伐は出来るか?」

「......やりすぎるな。必要な分だけだ」


『可能です。』


「アタシが頭を張りつつ敵を引きつけるっす」

「そのあとイオが――」


イオはそんな話をも聞く耳持たず双剣で切り込む。


「ちょっ、待つっす!」

慌ててエストが飛び出す。

「イオ、こっちは足止めしておくっす。」

「そっちを頼むっす。」


イオは言うことを聞かず、ゴブリンを追いかける。

俺は命令を出すのに躊躇した。

言葉が、出なかった。


動け。


そう思ってるのに、体が固まる。


――また、同じことになるんじゃないか。


イオのほうにいたゴブリン数体がエストのほうに来る。


ガンッ!!


「っ......!」

エストの身体が棍棒によって吹き飛んだ。


イオはそんなことも気にせずゴブリンに向かう


視線すら向けない。


倒れたエストを、存在しないもののように切り捨てて。


次の標的へ向かう。


一瞬で、群れの空気が変わった。


――逃げる。


本能がそう判断したのか、数体が背を向ける。

イオがそれを追う。

「っ......それやりすぎっす!」

「もういい!!やめろイオ!!」


『最適化―未完了―。残存個体は―』


「……もういい」


静寂が落ちた。


風の音だけが、やけに大きく聞こえる。


エストがゆっくりと起き上がる。


「……っつ……もう大丈夫っすから」


『最適化は未完了です。残存個体は脅威となる可能性があります』


「……それでも、違う」


少しだけ、息を吐いた。


俺は、イオを見た。

怖かった。


それでも―今度は、目を逸らさなかった。


イオから、逃げない。


それが、俺の選択だ。

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