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第15話「星」

パカラパカラ。

ゴゴゴ。


馬の走る音と車の走る音が森に響く。

「全軍!急げ!」

「もうすぐ帝都だぞ!」

「ハッ!」


「陛下、こちらミウラ人形工房から報告あげられた人形と、」

「その使い手カイト、以下報告した人形技師達をお連れ致しました」


「うむ。下がって良いぞ」

俺達は膝をついた。

どうして俺達はこうなった。


朝エストに叩き起こされた。


「カイトさん!大変っす!!」

エストが大騒ぎで部屋に入ってきた。

「報告上げたら陛下との謁見が決まったっす!」

「しかも最優先扱いっす......普通じゃありえないことっすよこれ!」


「はっ?どういうこと?」


「こっちも分からないっす!」

「とにかく早く準備するっす!」


「アルさんはどこいったっすか?」

「朝から見当たらないっす!」


(......そういえば、帝都に来たときからどこか様子がおかしかった)


「あー!もう陛下が御呼びなのになにしてるっすか?」


「まぁ護衛だから居なくても大丈夫だろ」

俺が朝のやりとりを思い出してると王は話し始めた。


「カエルム久しいな、息災してるか?」


「勿体なきお言葉感謝の極みでございます」


「息災なら何よりだ」

「余は第5代レグラード帝国国王、ラフェリウス・フォン・レグラードである」

「この......イオという人形のことについて知ってることを述べよ」


「ハッ、イオは個体名でして、おそらく機体に刻まれたDIVAというのが――」


カエルムが国王に一通り説明してる。


「なるほど......未知の機体か」

「使い手はカイトと申したな。カイトからは何か気になることとかないか?」


「俺は、イオは確かに未知なところが多いですし、」

「......怖いときもあります」


イオを見て出会ったときのことを思い出していた。


「ですが、イオは俺のことを絶対に裏切らないパートナーって分かってるので、」

「近くにいて一番安心します」


「カイトよ、イオを国の中央工房にて診てもよいか?」

「カエルム程の者が分からないとなると我が帝国だと中央工房しかないと余は思う」

「どうじゃ?」

「安心せい」

「余は“守るため”に調べるのだ」

その声には、逆らうことが許されない重みがあった。


「......わかりました。イオをお願いします」

(......これで、本当にいいのか?)

ほんの一瞬だけ、イオがこちらを見た気がした。

何かを言いたげに――

だが、それはすぐに消えた。


……いや、違う。

あれは「消えた」のではない。

まるで“処理された”みたいに、途切れた。


「ふむ。では調査もあることだし終わるまで城で寛いで良いぞ」


「よろしいのでしょうか?」

「カエルムの調査の頼みともあるからな」


「ありがたき幸せ」

カエルムは頭を深く下げながら言った。


王城の中は豪華絢爛でひとつひとつの装飾も金であしらっていて、

威厳と尊厳が感じられる造り。


「こちらでお待ちください」

部屋に通されたけど豪華すぎて一人が落ち着かない。

バルコニーに出ると今夜も月と星が綺麗だった。

「......カイトさん、その......落ち着かないからそっち行っていいっすか?」

「......ああ、どうぞ?」


「なんで疑問形なんっすか?」


「なんとなく?」


「なんとなくってなんすか?」


「......ここまで来るのも長かったっすね」


「そうだな」


「あんな出会いから入ってしまったっすからね」


「......そうだな」


「それでもアタシはカイトさん達をここまで連れてこれてよかったっす」

「アタシ、カイトさんもイオのことも好きになったっすから」


「俺もエストのことたくさん知れていつも傍にいて本当に助かってた」

「昨日も聞いたっすよ、それ」


「感謝は言えるときに言っておく性分なんだよ」

「大丈夫っすよ、アタシはいつもカイトさん達のここにいますから!」

自分の胸に手を当てて優しく言った。


「突然なうえに素朴な疑問なんっすが、なんでイオって名前なんすか?」

「いや、DIVAが機体名でしたからなんでその名前じゃなくてイオにしたのかなって......」


星空を見ながら俺は答えた。


「俺、星を見るのが好きで、」

「イオの名前は偉い学者が見つけた惑星......星の名前で、そこからつけた」

「その星は凄く遠いのに、ちゃんとそこにあるって分かるんだ」

「見えなくても、消えないというか」

「ガニメデとかエウロパとかカリストって聞いたことないか?」


「いや......初めて聞いたっすね。そもそも星に名前があるなんて知らなかったっす」

「でも運命感じるっすね」

「名前で繋がってるみたいっす」

「最初から決まってたみたいに」

「変わらないって、安心するっすね」

「……ずっと、そこにあるって分かるなら」

「離れても、怖くないっすね」

「それに――」


エストを見た。


「アタシのエストレアも“星”って意味っすから」


星空の下、優しい風と笑顔とエストの優しい香りに包まれる。

......この時間が、ずっと続けばいいと

ほんの少しだけ思った。



「......どうじゃ?」

培養液に入ってるイオを見てラフェリウス王は言った。


「......間違いなく“古代人形”と思われます」

「――そうか!」

「フッフハハハハハハハ!!!!!これで帝国は、世界を変えられる!!!」

「あの愚かな争いも、すべて終わる」


「だが、今は使い手もミウラもいる」


ミウラはともかく、問題は使い手だ

「......邪魔じゃな」


「消す準備はしとこうかの......」

「――事故に見せるのは容易い」


「ヴァルトも帰還したことだしそうじゃな......」


「カイトというものには死んでもらうか」

不要な要素は、最適化の過程で消えるだけだ。

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