第12話「捕捉」
「カイト違う、そこ右へ5歩――仲間との軸を意識」
「くっ」
「カイト、そこは敵を引きつけて足止めを」
「......!」
「カイト、前だけ見ないでください、もっと視野を広く」
「カイト、遅い」
「カイト――」
俺は宿屋のベッドから飛び起きた。
髪をワシャワシャした。汗が下着に張り付いて気持ち悪かった。
あいつは、口を開けば「カイト、カイト」だ。
「......夢にまで出てくるなよ」
戦闘になると、休む暇もなく指示が飛んでくる。
一つでも遅れれば、即座に次が来る。
アルが加入してから戦闘は明らかに楽になっていた。
これで
俺が前に立つ。
イオがその横、あるいは上から敵を処理する。
エストは状況に応じて動き、
アルが後ろから全体を支えてる。
無駄が減った。
噛み合ってる。
中でもエストの存在は大きい。
あいつがいるから、このバランスが成り立ってる。
癪だけど――
あいつの言う通りに動けるようになれば、
俺は――もっと戦える。
ラヴィカーンを出て、帝都まであと二日。
その間で、戦い方もだいぶ変わってきた。
「カイト――」
スッ――
「......!ウォーターランス!」
俺の横を水槍が掠め――敵を撃ちぬいた。
「ラウンドアッパーっす!」
「イオ!」
『はい、カイト様』
『クロスエッジ』
『最適化――完了』
『......優先順位、維持』
「魔石魔石~♪」
「イオも手伝ってくださいっす」
『はい、エスト様』
「カイト、随分良くなりましたね」
「それに、そのガンソード捌きも良くなってきましたね」
珍しくアルが褒めている。
正直、少し気味が悪い。
アルがトレイターを見て、
「まだ銃形態は使わないのでしょうか?」
「そうだな、イオとアルがいるから今はまだいいかな」
「......そうですか」
そう眼鏡をいつものようにあげた。
「銃のほうも扱えるようにしておくと、選択肢が増えますよ」
「でなければ、いざという時に使えませんよ」
俺達は歩いて巨大な城壁と門を潜った。
最終目的地、レグラード帝国の帝都、
“帝都グラン・レグラード”に到着した。
――ここから、“俺達”も動き出す。
……DIVAプロトコル:アップデート中……
……進行率:73.6%……
――同時刻、都市リースペリアにて――
「ヴァルト隊長、ご報告があります」
「なんだ、言ってみろ」
「隊長が指示された条件の人形、違法人形は他国に流れていないとの報告です」
「......そうか」
「まだ帝国内にはあるみたいだな」
パサッ
書類が机の上に広がる。
「――引き続き探し出せ」
「はっ!」
「もう一軒ご報告なのですが、」
「先日プラスコー付近にて盗賊と違法人形と思われる者達が、民間の馬車を襲撃」
「被害は?」
「被害は0、なんでも冒険者数名と人形が乗車しており被害がなく無事とのこと」
「乗車リストと、捕縛した盗賊と違法人形のリストをお持ちしましたので、」
「ご確認お願いします」
パサッ
「......三魔導士のアル、」
「......人形技師のエストレラ、」
「......新人冒険者のカイト、」
「......そのカイトの人形――」
「ミウラ工房オーダーメイドのイオ――」
「――このイオって人形、詳細を洗え」
「この時期に新規登録してるくらいだからな。」
「優先的に調査しろ」
「――人形一体も見逃すな」
俺の“カン”が告げてる。
――なにかあると。




