17.キャバクラ編 小さな約束初めての指名#2
お店の近くのファミレスで軽く夕飯を済ませ、お店に向かった。
「おはようございます・・・。」
重たいドアの向こうには店長と安西さん、野口さんが大量のおしぼりを巻いていた。
「おうおはよう!」
「はよーっす。」
「おはようございます。」
と店長、安西さん、野口さんそれぞれから挨拶を貰い、私はバックヤードへ入った。
「あ!おっはよー!いつも早いねえ〜。関心関心。今日の髪型何が良いかね?」
バックヤードに入るなりスタイリストさんが明るく聞いてくれた。
「うーん、迷いますね・・・(笑)今日もポニーテールにしてくだい!」
「おっけー!」
伝え終わると私は着替えをしに更に置くに進んだ。
「あの、ドレスって・・・毎日変えるものですかね?私まだドレスそんなに持ってないんですけど・・・。」
「まあ、基本的には変えたほうがいいかも!今はドレス増やしつつ、お店の使っていけば良いんじゃない?あ!今日はさ、白いワンピースドレス来てみたら?お店のだけど!」
「流石に連日同じのは恥ずかしいので着替え直してきます・・・。」
早速着替え直してヘアメイクをしてもらった。
「お金かかりますね、働くのも・・・。」
「結構お客さんに買ってもらってる子多いよ?」
「そうなんですね!」
「みつきちゃんもお客さんに頼んでみな♪」
「いやいやまだ、そんなお客様居ないです・・・(笑)」
続々と女の人達が出勤してきて、各々準備を始めた。
私はオープン前の店長との個人会議に出てどうするあーすると10分ほど話して下に降りた。
「あ、そういえば今日のこと店長に言ってないや・・・まあいっか・・・」
__お店がオープンしてから数時間が経った。
私は昨日と同じく、新規のお客様の相手をしていた。
「みつきさんお願いします。」
と店長に呼ばれバックヤードに戻る。
「すごいよ!みつきちゃん!本誌名来た!やったね!」
「え!?!?誰だろう・・・。」
「あれ、身に覚えないんだ(笑)こないだの強面の人」
「・・・・・ええええ!本当に来たんだ!!」
「ん?約束してたの?」
「いえ、試合観に来てくれたら指名するって言われてたんで・・・。」
「試合、見に行ったの?」
「はい、お店来る前に見に行きました!」
「そうなんだ・・・。とりあえずもう席ついてくれてるから行こうか。」
「・・・?はい!」
初めての指名!!!
ワクワクしながらコウジさんの席についた。
「おまたせしました。」
「よう。」
少し酔っているのかほっぺが薄ら赤かった。
「本当に来てくれたんですね?嬉しいです。」
「約束だしな。」
「まさか本当に来てくれると思わなかったです・・・。」
「俺だって・・・・!」
と前のめりになりながらいきなり大きな声を出したのでびっくりしてしまった。
「とりあえず、お酒飲みなよ。」
「ありがとうございます。では緑茶ハイもらいますね。お願いします!」
注文を済ませると光の速さでお酒が届いた。
「じゃあ、試合お疲れさまでした!いただきます!乾杯!」
「長っ(笑)」
「いいたいこといっぱいあってつい・・・(笑)」
「・・・なんで来たの?」
「え?えーと試合のことですか?」
「うん。」
「なんでと言われても・・・約束したから?ですかね??」
「なんで来ちゃうんだよ・・・。」
というとコウジさんは深い溜め息を付きながら下を向いた。
「え?え?来ちゃだめでしたか・・・?」
「いや、悪くねえけど・・・・・はあ・・・・。」
「なんか・・・すいません・・・?」
「あやまんなあやまんな!ちょっと酒飲みすぎて酔ってるかもごめんだるいね俺。」
「そんな事ないですよ。大丈夫!」
「なにが大丈夫なんだよ・・・本当に・・・。」
と言いながらコウジさんは笑った。
「お前好きなタイプ何?」
突然言われて少し戸惑った。
好きなタイプ?
うーん・・・・
「誠実な人がいいです。」
「誠実?なんで?」
「うーん、誠実じゃない人とお付き合いしてるから・・・かな?」
「あーお前の彼氏おかしいもんな。誠実か・・・。」
「タイプは特に無いですね、好きになった人がタイプって感じです!(笑)」
「変な女!」
「すいません、変ですね(笑)」
その後は他愛もない話を繰り返していた。
「お客様失礼致します。も少しでお時間なのですが延長の方どうなさいますか?」
「もう時間か・・・。うーん予定は無いけどきょうは変えるわ。少し飲みすぎた。」
「承知いたしました。ではお出口までご案内致します。」
店長につれられてお店の出口まで一緒にいった。
「今日は、来てくれてありがとうございました!初めての指名コウジさんで良かったです!」
「おう、またくるわ。」
「帰り、気をつけてくださいね?」
「おう。」
軽く手を挙げるとエレベーターに乗って下の階に下がっていった。
小さい約束、守ったり守ってくれたりすることがこんなに嬉しいなんて知らなかった日だった。




