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異世界転移の融合者  作者: ミジンコ
幼馴染を救出
43/59

42話 そして戦いが始まって 3

11/14 中途半端だった本文を追加しました。

「あーくそっ! 鬱陶しい!!」


 融は自分に群がる敵を迎撃しながら吐き捨てる。いくら【物理無効】という強力なスキルのおかげで痛みも怪我を負うことも無いとはいえ、斬られるというのは気分の良いものではなかった。

 しかし敵はそんな事知ったことではないとばかりに全方位から融を攻め立てる。実際兵士達の思考能力は安倉の魔法、【寄生感染する軍隊(パラサイトアーミー)】によって奪われているので当然なのだが。

 そして融を囲む兵士達の攻撃は徐々に苛烈さを増し、融は防戦一方にまで追い詰められ、ついには防ぎきれなかった斬撃で左肩から先を斬り落とされてしまった。


「ははは! さっきまでの威勢の良さはどこに行ったんだ? 片腕が無くちゃもう死ぬのも時間の問題だよね! 精々華々しく散ってくれよ!」


「直接戦うことも出来ねぇ臆病者の癖にナメたこと言ってんじゃねぇよ!」


 安倉の嘲笑に悪態で返す融だが、その最中でも一瞬たりとも気は緩めずに残った右腕だけで戦い続けている。

 すでに融の体には多くの傷がつき、傷が無い部分が無いほどである。そしていくつかの傷はどう見ても致命傷と言えるほどに深いのだが、それでも平気で戦っていられる融の不自然さに離れた所から悠々と見下ろしている安倉は気がつくことがなかった。

 もし安倉がこの不自然な状況に気がついていたら……未来は変わっていたかもしれない。


「ほらほらー、早く死んでくれよー」


「うるせぇ! ちったぁ黙って――ガッ!?」


 何度も挑発してくる安倉に融のイライラは青天井で上昇し、ついに一瞬だけ視線を敵から離してしまった。その一瞬の隙を突いて融の喉に一振りの剣が突き刺さる。

 突き刺した原因である兵士の腕は即座に斬り落としたものの、斬り落とす際つい大振りになってしまった融がすぐ次の行動に移れるはずもなく、次々と兵士達が融の体へと斬り付ける。

 ある兵士の剣は融の体を袈裟懸けに大きく斬り裂き、ある兵士の剣は融の心臓を貫き、まだある兵士の剣は融の顔面へと突き刺さった。

 喉に剣が突き刺さったままの融は、「カヒュ」と空気の抜けるような音を漏らしながら床に倒れ伏す。

 兵士達は追い討ちとばかりに倒れた融の体を斬りつけ、やがて床には原型を留めないほどにバラバラにされた融だった肉片と人一人分の液体が広がっていた。


「やったやったついにやった! やっと日嗣の奴が死んだ! これで本当に愛梨は僕の物! こんなに嬉しいのは生まれて初めて――」


 ――――――誰が死んだって?


 何処からともなく聞こえてきた声。その声に安倉が驚いた瞬間、床一面に広がっていた液体から無数の剣が飛び出し、その一本一本が安倉に支配されている兵士達全てに襲い掛かり突き刺した。

 床の液体から生える異常なまでに長い剣身に脳天まで貫かれた兵士達。離れた所から様子を見ていた安倉には、まるで乱立する墓標のようにも見えた。


「な……何が……何が起こって……」


 突如目の前で起こった出来事に動揺しきった安倉は、震えた声で何度も目を擦りながら惨劇の光景を見る。

 目の前の光景を幻覚だと信じて何度も目を擦っては見直すが、目の前の光景が変わることは無い。

 もしも安倉が融と直接剣を交えていれば床に広がる液体が血液ではないと分かったかもしれない、もしも安倉が慢心せずにバラバラになった融の肉片を魔法で償却してさえいれば目の前の光景はまた違ったものになったかもしれない。

 そんなもしもの世界など存在するはずもなく、無情にも現実は安倉の前に広がっていた。


「さてこれで残るはお前一人だ。すぐに殺してやるから覚悟しとくんだな」


 床に散らばった肉片と液体が徐々に集まり人の形を形成していく。それが完全に融の姿になった時、串刺し刑にされていた兵士達は例外なく床に倒れていた。


「なんで……なんで死んでないんだよ! お前さっきバラバラにされてたじゃないか! それが何で無傷で生きてるんだよ!」


 先程までの余裕が嘘の様に動揺している安倉は、叫ぶように疑問を融へと叩きつける。


「本当なら応えてやる義理なんてないんだけどな。特別だ。俺はお前に奈落に突き落とされた後スライムに襲われてな。そこで目覚めたスキルでそのスライムと融合したんだよ。おかげで今の俺はスライム人間だ」


「スキルが……目覚めた……? スライム……人間……? ふ……ふざけるなよ……。ふざけるなよモブキャラがぁ!」


 俯き震える声で呟いていた安倉が怒声と共に顔を上げる。怒りに染まったその顔にはもう余裕も慢心も驚愕も動揺も一切ない。


「起きろ【寄生感染する軍隊(パラサイトアーミー)】! さっさと日嗣を殺せぇ!!」


 怒気を孕んだ安倉の命令を受けた兵士達の中に寄生している【寄生感染する軍隊(パラサイトアーミー)】によって生み出された魔法生物が反応する。

 彼等はすぐさま寄生先の兵士達の魔力を根こそぎ吸い尽くすと共に、強引に魔力を吸われ干からびた兵士達の肉体を自身と融合させ一体のミミズのような触手生物へと変化した。

 そして更に触手は他の触手と集まりあい、互いに絡み付いていく。その結果、融の目の前には触手を寄り合わせた一体の巨大な人型の化け物が出来上がっていた。その体躯は見上げるほどに大きく、以前融が戦ったアイアンゴーレムと同程度の大きさである。

 体が大きいということは当然その四肢もかなりの大きさであり、安倉の命令を受けている触手の巨人はその巨大な拳を、自分を驚き見上げている融目掛けて振り下ろした。


「マズイ!」


 迫り来る巨大な拳に我に返った融は慌てて右腕を大きなアイアンゴーレムの腕へと作り変え、迫る拳へと自身の拳を叩きつける。

 ドォン! と大きな音が謁見の間に響き渡り、巨大な拳と拳が衝突する。

 一見拮抗しているようにも見えるが、変化はすぐに訪れた。

 触手巨人が一歩右足を踏み出し振り下ろした拳に更に体重を掛けると、徐々に融が()されはじめてくる。


(くそっ、拳の威力はそう違わないんだろうけど如何せんこの体重差はきついか……)


 形勢不利と見るや融はすぐさまその場を離脱する。鬩ぎ合っていた相手がいなくなった触手巨人の拳は、融が先程までいた場所へと轟音と共に叩きつけられ、床に大きなクレーターを作り出した。


(さて、一体どうやってこいつを倒せばいいのやら……)


 触手巨人の攻撃範囲の外に跳び退った融が着地した姿勢のまま、視線は相手から外さずに思案する。

 対する触手巨人は床を砕いた拳をゆっくりと引き戻し、再び融へと向かって動き出した。


(とりあえず考えるのは後だ。手当たり次第試してみるしか無いだろ)


融はすぐに思考を切り替えると、触手巨人へと向かって駆け出した。

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