表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移の融合者  作者: ミジンコ
幼馴染を救出
37/59

36話 そして夜に初体験を

「はぁ~、それにしても昨日はエライ目にあった……」


 ゴブリンの群れからハサリク村(あの後聞いた)を救った翌日、俺は【ケルドミナンド帝国】の帝都を目指して空を飛びながら昨日の事を思い出し深いため息をついた。

 あの後すぐに誤解は解け俺は村長の勧めで村長の家に泊まる事となった。


 他の民家よりも一回り大きい家には村長とその妻、息子夫婦、そして孫娘の五人が暮らしており、泊まるだけだったはずなのだが夕飯までご馳走になってしまった。

 質素な異世界の料理のはずなのだがどこか懐かしい味、いわゆるお袋の味という表現がぴったりな料理に舌鼓を打ちながら村長に最近の帝国の状況を聞いてみる。

 すると以前村に立ち寄った行商人が帝都に入れなかったとぼやいていたことを教えてくれた。なんでも問答無用で入れないばかりか武器を向けられる始末だったという。

 帝国の外れにある小さな村故にたいした情報は期待していなかったのだがかなりいいことを聞けた。

 その後は何気ない話をしながら料理を楽しみ、夜俺は孫娘の部屋を使うように進められたのだが、いくら孫娘を一時的に両親の部屋に寝かせるとはいえ年頃の娘の部屋に泊まるのは流石に気が引ける。

 丁重に断って居間で寝ることにしたのだが……草木も眠る深夜にそれは起こった。

 以前ノポンを殺した時のように自分の体の一部を極限まで薄く伸ばし周囲に広げ、誰かが近づいてきてもすぐに反応できるようにして寝ていたのだが、深夜何者かが俺に近づいてくるのを感じ目を覚ます。

 誰が来たのかと薄らと目を開け暗い通路見ていると、蝋燭の明かりと共に寝巻き姿のアンがやってきたのだ。

 部屋の入り口で一旦止まり俺の様子を窺っていたアンはしばらくすると俺のそばまでやってくる。

 そして寝ている(振りをしている)俺の上に跨るとこともあろうに着ている服をはだけさせてきたのだ。

 まさか異世界に来て初めて夜這いを、しかも俺がするのではなく俺がされる方を経験することになろうとは欠片も思っていなかった。

 とりあえず裸になる前にアンの腕を掴み、俺が起きているとは露ほどにも思っておらず狼狽するアンに事情を尋ねると、どうやら既成事実を作って俺をこの村に留めて置きたかったらしい。

 この村には冒険者や兵士などの戦闘を生業としていたものがおらず、全員が生まれながらの農民であった。故にゴブリンに苦戦するし、今回みたいに下手したら全滅させられていた可能性もあったのだという。

 だからこそたまたま村に立ち寄り、ゴブリン相手とはいえ圧倒的な力を振るった冒険者を村に引き留めておきたかったのだそうだ。

 自分達の命が掛かっているから仕方ないことなんだろうけど俺には俺の目的がある。必死に懇願してくるアンに良心がズキズキと痛むが断るという結果に変わりは無かった。

 俺に断られ肩を落として部屋に戻るアンの後姿を見ながら俺は再び目を閉じ思考に耽り思いついたのが武器を与えるということ。

 この村には武器がほとんどといっていいほど無い。あるのは錆びた剣が一振りだけ。だったらまともな武器さえ与えればゴブリン程度だったらまともに戦えるわけだ。

 すぐさま俺は【無限増殖】と【変幻自在】を使い、【フライングブレイド】の体を作り出しては本体から切り離していく。

 この時気がついたのだが【無限増殖】は制限というかコストが必要だった。無から有は生み出せないのか俺が食べた分だけしか増殖することは出来なかったのだ。

 幸い俺には【無限胃袋】があるからその中に溜め込んでいた食材や料理を消化していくらでも増殖できる。昔国を滅ぼしたインフィニティスライムもこうやって増殖し続けていたのだろう。周囲の人も建物も何もかもを呑み込んで。

 すぐに俺の周りには出来上がった【フライングブレイド】と寸分違わぬ形をした剣が十振りほどならんでいる。これを明日村を出て行く際にでも渡してやればいいだろう。

 翌朝村を出て行く際、見送りに来てくれた村長一家に夕飯のお礼として剣を渡してやったらかなり喜ばれ、どうか孫娘を嫁に貰って村で暮らしてくれと言われたが丁重にお断りして俺は村を後にした。

 しばらく歩き村が見えなくなった辺りで空へと舞い上がり今に至るのである。


 その後俺はひたすら飛び続けた。地面に降りるのは寝る時など最小限にしひたすら背中から生やした翼で大空を駆け抜ける。

 その甲斐あってか本来二週間かかる道程を五日で【ケルドミナンド帝国】の帝都が見えるところまでたどり着いた。


「さて、そろそろこの辺りから歩いていくか」


 間違っても門の見張りに翼を収納するところを見られる訳には行かない。そこらへんは慎重に慎重を重ねるべきだろう。

 目下に立ち並ぶ木々の中へと降り立ち背中の翼をしまい、俺は帝都へと向かって歩き出した。

 帝都へ向かって街道を歩くが周囲に他の人間の姿は見当たらない。

 平時ならば帝都へと向かう、もしくは帝都から他所へ行く人達で賑わっているのだろうが今は俺以外歩いている人間はいなかった。


「こりゃ間違いなく帝都で何かしら起こってるんだろうなぁ~」


 そんな暢気な言葉をつぶやきながら俺は歩みを進める。

 自分以外誰もいない街道を一時間ぐらい歩きようやく帝都の巨大な門の前までやってきた。

 俺がまだ帝都にいた頃となんら変わりの無い重厚な雰囲気を醸し出す巨大な壁と門。その門の前には二人の鎧を着た兵士が槍を手に立っていた。


「すいませんー、帝都に入りたいんですけどー」


 何も知らない冒険者を装い門の前まで歩いていく。


「夜以外開いてる門が閉まってるって何かあったん――っ!?」


 俺が門まであと少しといったところまで近づくと、先ほどまで微動だにしていなかった兵士達が俺へと向かって無言で槍を構える。

 槍を向けてくる兵士達の顔からは表情が抜け落ち、まるで死人が武器を構えているかのようでもあった。


「ちょ、ちょっとなにするんですか! 俺はただ帝都に仕事で来ただけ――あぶねっ!」


 そう言いながら一歩踏み出した瞬間兵士達が槍を振るう。まったく同じタイミングで片方は俺の顔面へ、もう片方は腹部へと槍を突き出してくる。

 慌ててバックステップで槍の攻撃範囲から離れ安心したのも束の間、首筋に走る嫌な予感に従ってもう一度バックステップをした瞬間、俺がついさっきまでいた場所に複数の矢が突き刺さった。

 上を見上げると壁の上には弓を構えた兵士が、門の兵士と同じように表情の抜け落ちた顔で俺へと狙いを定めている。


「俺は普通の矢なんぞ刺さっても痛くも痒くもないけど他の人間だっらた死んでるぞ……。もう何人か殺られてんじゃないだろうな……ってあぶな!」


 再び降り注ぐ矢を回避し更に距離をとる。どうやら門からある程度離れれば攻撃してこないようだ。それでもまだ視界の範囲内にいるせいか相変わらず生気の無い顔で俺のことを見ているのだが……。


「とりあえず一旦離れて様子を見てみるか」


 俺は踵を返し、ひとまず帝都の門から距離をとる事にした。

最近は暑い日と涼しい日の気温差が激しく体調を崩しそうになっているミジンコです。なかなか執筆に時間を割けず投稿間隔が長いですが多めに見ていただけるとありがたいです。

それにしてもサブタイトルですが、間違ったことは言ってません。異世界での初めての夜這い(される方)、まごう事無き初体験(性的な意味とは言ってない)です。実に羨ましいですね。

次回はようやく融が帝都に侵入します。

感想やご指摘などありましたら遠慮なくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ