第89話 マトンとラム
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ゴシ… ゴシ… ゴシ…
「ふぅ… やっと綺麗になった…」
メェーー
「……」
「これが後… 1… 2… 3…」
「数えるのはやめよ…」
ー朝食後、マトンの家での休憩中ー
「みなさーん!!」
「私ちょっと仕事があるので…」
「ここでゆっくりしていてください!!」
「お昼には戻ってきます!!」
バタン!!
マトンは家を出ていった。
「うーーん…」
「どうしたのマックス!?」
「僕ちょっと!! 出るよ!!」
「えっ!? どうして!?」
「何だか… 何もしていないのに、泊めてもらうのも気が引けるんだよね…」
「だから仕事を手伝ってくる!!」
「……」
「そうね…」
「私も!! 行ってこよっと!!」
「シンは…」
グーー…
グーー…
イラッ!!
「お前はいつまで寝とるんじゃい!!」
ボコッ!!!!
凛はシンの頭を思い切り殴った。
こうして、シン達は村の人達の仕事を手伝うことになった。
「おーーい!! 3人共!!」
「ちょっと休憩しようぜ!!」
「うん!! わかった!!」
シン達は羊のいる小屋から出て、村の大男が住んでいる家に向かって行った。
グビッ!! グビッ!!
「プハー!! うんまいなぁ!!」
「……」
「こんな朝っぱらからビールなんて呑んで…」
「おい!! お前らも呑むか!!」
「結構です!!」
「ヒック…」
「そういえば… お前ら…」
「日の出見に行ったんだってな…」
「うん!! すごく綺麗だったよ!!」
「ハハハ!! それは良かった!!」
「あの時間だったら… お前ら以外は誰もいなかったろ!?」
「いやっ… 1人いて…」
「モヘア集落の人と会ったんだ…」
「名前は確か…」
「ラムさん…」
「えっ…」
「ラム…」
大男は気まずそうな顔をした。
「そうか… ラムも来てたのか…」
「!?」
「1つ気になっていたんだけど…」
「ラムって人と…」
「マトンさんとめっちゃ仲悪かったんだけど…」
「一体あの2人はどういう関係なの…?」
「……」
グビッ…
「ガキの頃はあいつら仲良かったんだよ…」
「集落自体は対立していたんだけど…」
「今朝、お前達が行った山の頂上でこっそり会ってたんだ…」
「もちろん御法度なんだけど、みんな暗黙の了解で黙ってたんだよ…」
「けど、ある時、2人が会っている所を、あっちの長老が見ちまってな…」
「それで、あっちの長老はかんかんになって、ここまで怒鳴りこんで来たのさ…」
「そんなこともあって、うちの長老の耳にも入っちまったってわけだ…」
「その後、この集落でマトンに対しての話し合いが行われたんだ…」
「幸い、集落のみんなが長老を説得してくれて、追放は免れたんだけど…」
「2人が故意に会うことは禁止になったんだ…」
「それから、何度かお互いの集落の人間が言い争ったり、喧嘩してるところに遭遇して…」
「だんだん… 2人の中に敵対意識が芽生えてきちまったんだろうな…」
「いまじゃ… 2つの集落の中で一番仲が悪い関係になっちまったんだよ…」
「……」
「そんなことがあったんだね…」
バン!!
「!?」
凛は思い切り机を叩いた。
「それが、集落の掟だか何だか知らないけど…」
「あんまりじゃない!!」
「……」
「そんなことみんなわかってるんだよ…」
「けど… 仕方ないんだ…」
「ここで住むにはこの掟だけは守らないといけないんだから…」
「……」
「なるほどな…」
一体この人達は何の話をしてるんだ…?
俺が寝ている間に何が起こったんだ…?
バタン!!
「!?」
「マトン!!」
「ハァ… ハァ…」
「みなさん大変です!!」
「どっ… どうしたんだ!?」
「……」
「モコちゃんが…」
「モコちゃんがまたいなくなったんです!!」
「えっ!?」
「マトン!! 落ち着け!!」
「きっと… いつも通り、お前らが今朝行った山の頂上にいるよ!!」
「そっ!! そうかな!!」
「わかった!! 3人共!!」
「手伝いはもういいから!!」
「マトンと一緒にモコちゃんを探しに行ってやってくれ!!」
「わかった!!」
「マトン!! ともかく!!」
「頂上に行こう!!」
シン達は大男の家を飛び出し、山の頂上へ向かった。
ー頂上ー
4人はバラバラになって、モコちゃんを探していた。
「おーーい!! モコちゃーーん!!」
「みんな!! 集合!!」
3人はシンの元に駆け寄った。
「いたか!?」
「いないね…」
「私も見つからないわ…」
グスン…
「!?」
マトンは涙を流し始めた。
「私のせいだ…」
「モコちゃん…」
「どこにいるの…」
ポンッ…
「えっ…」
シンはマトンの肩を叩いた。
「マトン… 心配するな…」
「モコちゃんは俺たちが必ず探し出す…」
「あっ… ありがとうございます…」
「僕!! ちょっと遠くまで探してくるよ!!」
「私も!! 頑張って探すわ!!」
「みなさん…」
シン達は懸命にモコちゃんを探したが、健闘むなしく探し出すことが出来ず、日が暮れようとしていた。
「マトン…」
「すまない…」
「明日また…」
「みんなで探そう…」
4人はうつむいて、重い空気が流れた。
「みなさん…」
「そっ!! そうですね!!」
「きっと明日になったら見つかる…」
メェーー!!
「!?」
「まさか…」
「この泣き声は…」
「モコちゃん!!」
「それと…」
「ラム!?」
第89話 FIN




