《43》神聖な炎
再開いたしました。
週一更新を目標に、のろのろのるのろのろ更新していく予定です。
予定です!!
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・本当にごめんなさい。」
ヴィオレットは、目の前の金色に深々と頭を下げていた。
「いえ、ヴィオレット様は・、謝る必要はありませんよ。」
ふさふさとした触り心地の良さそうな尾を、左右にゆったりと揺らし、優しく微笑んでいる男性・・・名前を・・・恐怖・・・ではなく、デルタと言う。
「悪いのは全て、デカイ爬虫類と、魔素の塊ですから。」
モドゴロムをデカイ爬虫類。ガルシュダッドを魔素の塊と言うデルタ。その表情は、完璧な笑顔なのだが・・・ヴィオレットには、デルタの背後に怒りの炎が見えていた。
「ヒッ・・・。」
「ヴィオレット様は、全く悪くありません。大方、魔素の塊が、物理的攻撃で爬虫類に攻撃し、爬虫類が反撃して、この状態になったのでしょう。ですが、きっかけはどうであれ、魔素の塊も、爬虫類もやり過ぎです。子供の喧嘩でもあるまいし、途中からでも話し合いをすれば良かったのです。」
そうは言っても、ヴィオレットがモドゴロムに無事を知らせたいと思わなければ、こんな事には、ならなかっただろう。
そこは、青々とした草の広がる草原だった場所。
そこは、爽やかな風が吹き抜けていた場所。
そこは、数は少なかったが、青々とした巨木が点在していた場所。
今は・・・見る影も無い・・・
1時間ほど前の事。
ガルシュダッドがモドゴロムに向かって投げた石は、見事にモドゴロムの頭部を直撃し、それに怒ったモドゴロムが上空から炎を吐き出し、それに怒ったガルシュダッドが、更に石を・・・そうして、景色は一変した。
そこは、剥き出しの土と、灰が広がる大地へ。
そこは、焦げた香りと、生暖かな風が吹き抜ける大地へ。
そこは、ヴィオレットがスッポリと埋まってしまいそうな穴が、点在してしている大地へと変わってしまった。
そして、この風景を作り出した、ガルシュダッドとモドゴロムは・・・
「先に、ワシに石をぶつけた魔王が悪い!」
「ヴィオレットの無事を、わざわざ知らせてやったのに、唾を吐きかけたモドゴロムが悪い。」
全く反省していなかった。
「他に教える方法など、いくらでもあっただろう。」
「一番簡単な方法を選ぶのは、至極当然の事だ。それよりも、唾を吐きかける方がどうかしている。」
こんな事になる前に、側に居たヴィオレットが、喧嘩を止めれば良かった・・というか、止められれば良かったのだが。モドゴロムが反撃をした瞬間ガルシュダッドにより、かなり遠くの小高い丘の上に転移させられており、叫んでも声は届かず。走って近づこうにも、元々殆ど外へ出た事もないうえに、急に伸びた身長のせいで、走ると直ぐに転げてしまって、結局喧嘩を止めるどころではなく、デルタが来るまで遠くからガルシュダットとモドゴロムの喧嘩を見ているしかなったのだ。
まあ、側に居たところで、止められたとは思えないけれど・・・
「ワシの神聖な炎を、そこら辺の唾と同じにするな。」
「同じだろう。口の中から吐き出しているのだ、何が違う?」
「全く違う。ワシの口からは、きちんと唾も吐き出せる。ほれ!」
そう言って、モドゴロムは地面に、透明で粘り気のある物を吐き出す。もちろん、大きな身体から吐き出されるソレは、大量である。
「汚い!誰が吐き出せと言った!」
「魔王が、ワシの神聖な炎と、唾を同じだと言うからじゃろう。」
「唾が出せるからと言って、炎が唾では無い証明にはならん。」
「出している本人が違うと言っておるじゃろう。そもそもと炎と唾は、吐き方が全く違うのじゃ。唾は、こうペッという感じで簡単に吐き出せるが、炎は、胃の辺りに力を入れて、喉の奥を締め付けて、舌をおもいっきり出す感じで、下から上に吐き出すんじゃ。」
「それ・・・嘔吐じゃないのか?」
「何を言うか、食べ物が出てきた事など一度も無いぞ。」
「それでは、それと同じ事を本来の姿でしても、何も出てこないと?」
「それは・・・色々と出てくるが・・・」
「それのどこが神聖な炎だ!」
全く反省している雰囲気は無く、言い合いを続けているガルシュダットとモドゴロム。




