我ら㈱四葉工務店.設計部1
「失礼します…総務から参りました、塩見絵梨花です
1ヶ月間、お世話になります…」
〔やぁ、君が本部から来た子だね いらっしゃい
設計部に知り合いはいるかな?〕
「あ、いえ…」
《はいはーい!じゃあ、俺が面倒みますよ》
〔面倒みてもらうのはこっち側なんだが…
まずは自己紹介をしようか 私は部長の花澤だ
よろしく頼むね〕
《俺は野崎哲平!よろしくなー絵梨花ちゃん》
〚あたしは都波葵です 葵でいいよ!よろしく!〛
〈…高城創です〉
[中根修平です よろしくお願いします!]
「みなさん、よろしくお願いします!」
〔さて、我々は何をしたらいいのかな?〕
「はい 設計部は公民館の奥の部屋の担当です
部屋の広さや設備が整っているので、喫茶店などの食べ物の出店がいいかな?と思っていますが…どうしましょう?」
〚いいねぇー〛
《良いこと考えた!メイド喫茶にするか!》
〚バカじゃないの!?女足りないし…あ、女装にする?〛
《バカ言ってんじゃねぇよ 俺たちのメイド姿なんか誰も見たくねぇだろ!
葵と絵梨花ちゃんがメイド着て、俺たちは執事の格好すりゃよくね?》
〚却下〛/「却下」
〚気が合うね!〛
「はいっ!」
《ちぇーじゃー何、普通の喫茶店?》
〚当たり前でしょ!塩見ちゃん、話進めて!〛
「はい 当日は食品衛生責任者は本部にいますので、その人が常駐します メニューは、加熱するものは許可が取りやすいようですね」
〔じゃあ、ある程度話し合って本部に報告しようか〕
祭りを催すにあたり、様々なルールがある
祭り会場を管轄する保健所に連絡し、必要な許可・届出、設備、取り扱える食品を確認する
指示に従って申請・講習会受講・設備準備などを行う
これらは、本部に確認しながらの作業になる
公民館の部屋はしっかりとした設備があるため
許可はおりると思う
メニューの飲み物は
コーヒー、カフェラテ(ホット、アイス)
オレンジ、リンゴなど定番ジュース
コーラ、ジンジャーエールなど炭酸
ウーロン茶、緑茶
にすることにした 許可が出たら材料を仕入れる
子どもたちも多い予想なので酒類はなし
食べ物は加熱したものということになるから
焼きそば、たこ焼き、フランクフルトなどかな?
その場で簡単に調理して提供する場合は「露店営業」や「臨時営業」の許可が必要になるから、
こちらも確認が必要
許可がおりたら、鉄板やガスなども用意しなくては…
ガスコンロやプロパンガスなど「火気器具」を使う場合は、消防への届出と消火器の準備が必要になるし
自治会行事や地域のお祭りは、多数の人が集まるとみなされることが多いから、
「露店等の開設届出」が必要になるケースが一般的だという
既製品のお菓子や飲料など、包装済みの食品を並べて売るだけなら、営業許可が不要で届出だけでよいケースもあるというから
そういうお菓子やアイス類も候補に入れた
メニューの許可がおりるまでに、
部屋の内装を決めなければならない
「とりあえず、これまで決めたものを一度本部に
持っていって確認してみます!」
〔よろしく頼むよ〕
「みなさんは、部屋の内装について考えておいていただけますか?」
〚はいはーい!〛
《まかせとけ!》
よし…本部に行って…
とりあえず、飲み物、食べ物の説明はしてきた
書類の用意などは本部にお願いして
許可取りもやってくれることになっている
ふぅ…
設計部に戻ろう…
どうなったかなぁ
「失礼します」
〚ださいって!こっちのほうがいいじゃん!〛
《はぁ!?なんでだよ!こっちの方がいいだろ!》
野崎さんと葵さんが揉めてる…
[まぁまぁ…落ち着いてください!二人とも…
塩見さんが驚いて固まっちゃってます…]
《あ…》/〚あっ〛
「どうしたんですか…」
《絵梨花ちゃんなら、どっちがいい?》
〚こっちとこっち!〛
「!!!!」
これは…どうしよう…困ったな…
「高城さんと中根さんはどちらにします?」
〈僕はどっちでも…〉
[俺は強いて言うなら、右かな…]
「わたしは…ぅ」
2人がキラキラした目でこっちを見てくる…
「あ!この案はどなたの案ですか?これ、素敵だと思います!」
〚え?〛/ 《は?》
〈あ、それは…僕の…〉
「高城さんのなんですね!?これ素敵だと思います!」
〈…〉
[俺もそう思う!]
〔あー確かに…さすが高城君だね!〕
「多数決で決まりましたね!」
〚塩見ちゃんがそういうなら…〛
《しょうがねぇか…》
ほっ…無事に内装も決まって
飾りつけの材料などを書類にまとめて本部に提出した
こちらは一瞬でOKが出たので
さっそく買い出しに行くことにした
〔じゃあ、みんな気をつけてよ!
塩見さん、みんなのこと頼んだよー〕
「はい!行ってきます!」
5人で車に乗ってショッピングモールへ
買い出しに行きながら昼食を取ることになっている
「中根さん、運転ありがとうございます」
[いいえー!]
「高城さん、となりお邪魔しますね」
〈うん〉
高城さん…静かな人なんだなぁ…
前の席では野崎さんと葵さんが喋っている
二人ともマシンガントークって感じで聞いてるだけでも楽しい
〈あの…〉
「はい?」
〈さっきは、その…僕の案を選んでくれてありがとう〉
「お礼なんて、そんな…素敵だなーって思っただけですから」
〈…そうか〉
静かな人だけど…なんだろう
良い人なんだろうなって…思った
こうして黙ってるけど
なんだろう 心地良いような…
少ししたら目的地に着いた
《おーし、先に何選ぶんだー?》
「小物を選びましょうか」
〚二手に分かれない?あたしたちは3階
2人は4階にしよ!許可取れたら写真撮ってきて!〛
「あ、はい 1時間後に待ち合わせしましょうか」
《了解!》
「高城さん、行きましょう」
〈あぁ…〉
「これとかどうですか?」
〈…〉
だめだったかな…えーっと、こっち、見てみようかな
〈あっ、危ない〉
「え?」
急に腕を引かれて高城さんの胸の中に…
「…えっと」
〈…ごめん〉
あ、大きな荷物持った人が来てたなんて…
「こちらこそ、よく見てなくて…ありがとうございます…」
〈…うん〉
「こっちのはどうですか?」
〈うん…さっきのも良かった〉
「…はい」
ぼーっとしているように見えて周りをよく見てる…
あまり会話をするのが得意じゃないだけかも
売り場の人に許可をもらって写真を撮らせてもらった 後でみんなと話し合って決めよう
〈そろそろ、時間…〉
「あっ、はい!行きましょうか」
〈うん…あ、ちょっとこっちへ〉
「?はい…」
キッズエリアの近くということもあって
子どもたちが走り回っていて思うように進めなくて
高城さんが手を引いてくれた
《おいおいーお熱いねぇーお二人さーん》
そう言われた途端にパッと離された手が、少し寂しかった…
「そんなんじゃありませんから…高城さん、ありがとうござ…あ…」
離れて歩いて行ってしまった…
〚バカ!〛
《んだよぉ!いきなり叩くなよな!》
〚塩見ちゃん、それで…購入する物は決まった?〛
「はい!テーブルと椅子は備え付けの物を使って、テーブルクロスや小物を見てきました
サイズを測ってないので、あとでもう一度行ってきます!
写真を撮らせてもらったので…どうですか?」
〚あー!いいじゃん!〛
《確かに…内装にピッタリだな》
[おぉ…高城さんが選んでるんですもんね]
「みなさんの方はどうでしたか?」
〚あたしたちはこれー 食器見てきたわ
どう?カップにお皿にティースプーンやフォークは撮らせてもらった
箸はどうする?まだ見てきてないけど〛
「割り箸…の方がいいでしょうか?」
《んー…喫茶店で割り箸なー》
〈…箸も含めて木で統一したらどう?〉
いつの間にか戻ってきていた高城さんの一声で場が動き出した
〚おぉ!いいっ!〛
「素敵…!」
《洗えば何回でも使えるしな!よし!そうしよう》
[決まりっすね!じゃあ…購入してきますか?]
《そうだな!でもまずは飯!飯にしようぜ!》
〚はいはい どこ行く?〛
《そこでよくね?》
目の前にファミレスが見えた
私たちはお店に入る
あ…また高城さんのとなり…
さっき嫌そうだったけど…大丈夫かな…
〈…〉
《はい、メニュー俺らは決まったから》
「ありがとうございます 高城さん、一緒に見…」
〈終わったら貸して〉
「あ…はい」
嫌われちゃったかな…
私は目に入ったものをすぐに選んで高城さんに渡した
ドリンクバーを取りに行く
「はぁ…」
[何かあったんですか?高城さんと]
「中根さん…私、嫌われちゃったかも…」
[えー?そうかなぁ…?]
「席、代わってもらえるかな」
[いいっすけど…うーん…]
「ん?」
[いや?それ、何すか?]
「メロンソーダだよ」
[じゃあ…これ足すといいっすよ!]
「え?あ!!!」
勝手にオレンジジュースを足されてしまった…
「もうっ!」
[おいしいっすから!騙されたと思って!]
自然に席を代わって座る
〈…〉
《あれ?席代わったの?》
[はい]
《ふーん?》
「おじゃましますね」
《いいよぉ あ!飯、来た来た!》
「あ、本当だ 中根さん、これおいしい…」
[でしょー?そういうのは任せてくださいよー]
「うん!ありがとう!」
《なになにー?》
「さっき、ドリンクバーで…」
《へぇー?ひとくちもーらいっ!》
「え!?」
《あ!ほんとだうめぇー!》
あっ…高城さんが席を立った
トイレかな…
〚あたしもドリンクバー頼めばよかったぁ
今から頼もーっと!〛
コップが来たから席を立つ
奥から葵さんが出てきた
ちょうどどこかから帰ってきた高城さんが来て
ちょっとぶつかってしまった
「あっ…ごめんなさいっ」
〈…こっち、座ったら?〉
「え?」
〈…いいから〉
「は、はい…」
何で…?高城さんはテキパキと私の料理とコップを移動させた
《なんだよぉ!高城ー!》
〈…都波が帰ってきたぞ〉
《ほんとだ 葵、何にした?》
〚メロンソーダとコーラのミックス!〛
《それもうまそうじゃん!
俺、カルピスとコーラ混ぜてきた》
みんな盛り上がってるけど…私たちは2人で黙ってしまった
3人がまたドリンクバーに向かった
〈…さっきは、その…ごめん〉
「あ、いえ…」
〈Rile…〉
「あ…交換、ですか?」
高城さんが頷いている
交換すると、そっとスマホを閉まった
〈…〉
何だか…悪いことしてるみたい…
みんなが帰ってくる頃には、ご飯も食べ終わっていて 私たちは普通に見えたと思う
テーブルの下で、手をつないでいたけど…
《食った食った!さて、店行くか!》
[ういーっす]
〚先に4階にしよう!足りなかったら注文してくればいいよね?〛
「はい!」
先ほど来たお店で小物を買ってきた
テーブルクロスは、テーブルのサイズを測ってから
後で高城さんと来ることにした
次は3階で食器やカトラリーを選んだ
ほとんど数が足りなさそうだったから注文した
3週間後に届けてくれるようだ
ふぅ…無事に終わって良かった…
"疲れた?"
高城さんからのRile となりにいるのに…ふふ
"いえ、大丈夫です!高城さんは?"
"問題ない"
"よかったです!"
"さっき…"
"どうしました?"
"いや、いい"
となりを見ても、窓の外を見てしまっていて…
話しかけるのも、違うかなって
それでも、こうしてとなりに座ってると
安心できる…というか
[着きましたよー]
《おーし!》
「お疲れさまです!倉庫に運んでおきますね」
《そういうのは俺たちにまかせな!
高城、中根、行くぞ》
[うーっす!]
「では、部長に報告してきますね!」
《頼んだ!》
〚いこいこー〛
〚塩見ちゃん、高城のこと好きでしょ?〛
「!うん…」
〚あたしはね、哲平のことが好きなの〛
「そうなんですね!」
〚うんっ!向こうは何とも思ってないけどさ〛
「仲良いですよね、お2人とも」
〚仲良すぎて意識されてないのかも つらー〛
「応援してますから!」
〚ありがとーっ!あたしも応援する!
塩見ちゃ…じゃなくてえりちゃんって呼んでいい?〛
「もちろん!葵ちゃん!」
〚ふふ あ、部長いるね!行こう!〛
「うんっ!」
〔おかえりーどうだった?〕
「購入できました!今みなさんが倉庫に運んでくれています
足りないものは3週間後に届きます」
〔そっか!良かった!じゃあ、今日はやることは…〕
「そうですね、テーブルのサイズを測って
もう一度買い物に行ってきますが、他の人は今すぐやることはないです」
〔わかったよ じゃあ、残りのメンバーは俺と来てくれ〕
〚何するんですかー?〛
〔本部に行って講習会だ〕
〚はーい!じゃあ、えりちゃんは気をつけて行ってきてね〛
「うん!行ってきます!」
"今どこですか?"
"倉庫を出たところだ 公民館に行くんだろう?"
"はい"
"車を持ってくる 出入り口にいて"
"はい お願いします"
出入り口…
待ってようっと
"キョロキョロしてるの見えてる"
えっ!どこから見てるの…!?
"さっきの車じゃない 白い車だ"
…あ、いた…
車に近づいて高城さんが乗っているのを確認して
ドアを開けた
〈おまたせ〉
「いえ…運転お願いします」
〈うん〉
公民館は車で10分で着いた
〈メジャー持ってきた?〉
「はい!」
借りたカギを開けて中に入った
〈…こんな感じなんだ〉
「私も初めて入りました…」
〈…合っているな ん…〉
…顔が変わった
彼は頭の中で何を考えてるんだろう
黙ったまま、考え込んでいる
〈あっ、ごめん〉
「いえ、何か良い案でも思い浮かびました?」
〈…うん〉
今は言う気はないって、感じ…
私に話してもわからないもんね
〈よし、サイズは把握した 行こうか〉
「はい…」
先程のお店に来た
高城さんが店員さんと話している
…楽しそうだなぁ
高城さん、あんな顔して笑うんだ
一人ぽつんと残されているような
そんな感覚…
〈終わったよ…あっ…〉
「…!お疲れさまです!ありがとうございます!」
〈あの…〉
「帰りましょうか!」
〈…うん〉
びっくりした…急に振り向くなんて思ってなかったから…
さっきのファミレスにいた時のように、明るく振る舞えた 大丈夫だよね…
「みなさんは講習会を受けているそうですよ!
私たちも行きま…わっ…!」
〈…〉
手を引かれて、お店を出る
どうしたんだろう
一言も発しないまま、車へ乗り込む
「あ、あの…?」
〈…ごめん〉
「え?」
〈君を置き去りにしてしまった〉
「…」
〈悲しそうな顔を見るまで気がつかなかった〉
「あ、ごめんなさい…子どもみたいですね
私には分からなくて、拗ねちゃいました…」
〈っ…〉
「…高城さん?」
〈無理して笑わないで〉
…
「はい…」
〈君が好きだ〉
え…バッと顔を上げると、真剣な目でこちらを見ている高城さんと目が合った…
〈なんで泣くの…えっ、そんなに嫌だった…?〉
首を横に振る
「うれしくて…高城さぁん…」
〈…〉
無言で抱きしめられながら
この人は言葉は足りないけれど
ちゃんと伝えようとしてくれてるんだ
「…あ、時間は大丈夫ですか?」
〈いいよ〉
「はい…」
それから1時間くらい 静かな車の中で
手をつなぎながら 見つめ合ったり
たまに言葉を交わしたり
たまにRileが来たりして…
車の中はエアコンで涼しいのに
私の体温は上がっていた
「ただいま帰りましたー」
〔おかえり これ、講習会の資料な 目を通しておいて〕
「はい!」
《遅いぞー2人ともー》
「すみません!あっ、部長すべて発注できました」
〔何日後に来るって?〕
「2週間後だそうです!」
〔分かった じゃあーそろそろ定時だな
今の時点では俺たちは何もできないから、帰るか!
明日には許可が出ているだろうからな 解散!〕
「お疲れさまです!」
"時間ある?"
"はい"
"さっきのとこで待ってて"
"わかりました"
出入り口だよね
さっきの車で来るのかな
荷物を持って急いで向かう
❴あれー?塩見さんだよね❵
「え?あ、はい…」
❴もう帰るの?遊び行こうよー❵
「あっ、人と待ち合わせしているんです」
❴誰よーそれー❵
〈…お待たせ〉
「あっ、高城さん!」
❴あーアンタか…早く言ってよーじゃあ、行くわ❵
「え?あ…」
〈遅くなってごめん〉
「あ、いえいえ!車から降りて迎えに来てくれたんですね
ありがとうございます
あの人誰かわからなくて…」
〈情シスのやつ…〉
「そうなんですね」
〈行こ〉
いつもみたいに手を引かれて車へ
高城さんと手をつなぐの、慣れてきたなぁ
でも会社の敷地内なのにいいのかな
私はうれしいけど…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




