旋風の少女たちと、戦慄の保健室
第16話。山城先輩が和樹たちのクラスに「襲来」し、新たなキャラクターとの騒動が巻き起こります。彼女の圧倒的な威圧感の裏に隠された意外な弱点、そして沙羅が秘めていた驚愕の武術の実力が明らかになる、波乱の保健室掃除編です。
和樹たちのクラスに、冷たい突風が吹き抜けた。入り口に立っていたのは、殺気にも似た鋭い視線を放つ山城だった。彼女はある一人の男子生徒を射抜くように睨みつけると、そのまま沙羅を連れ去るように教室を後にした。
「おい……今の、何だったんだ?」
和泉が、睨まれていた男子生徒に尋ねる。彼はバスケットボール部の部員だった。
「いや……さっき備品を運んでいた先輩に、弾みでボールをぶつけちまって。部長も彼女の迫力にビビって助けてくれなかったんだよ……」
和樹は苦笑いしながら肩を叩いた。「自分に非があるなら、何とかするんだな。……友達にでもなれば、少しは許してくれるかもよ?」
意を決した男子生徒は、和樹に連れられて保健室へと向かった。そこでは、保健医に頼まれた山城と沙羅が掃除をしていた。
保健室に入ると、和泉たちも合流し、なぜか流れで「身体測定」が始まった。
「へぇ、和泉は180cmか。俺は181cmだな」
和樹が言うと、女子たちも続く。沙羅が175cm、そして山城が179cm。モデルのような高身長の二人に、男子たちは圧倒される。
調子に乗った男子生徒が、禁断の「体重」を測ろうと体重計を持ち出した。
その瞬間、和樹と和泉が同時に動いた。和樹は無言で親指を首の横に滑らせ、「それを聞いたらお前は死ぬぞ」と強烈なジェスチャーで警告する。
冷や汗を流して体重計を置いた男子生徒だったが、次に彼は悪ふざけでゴム製の「偽物の虫」を二人の前に放り出した。
「キャアッ!」
悲鳴を上げたのは、意外にも山城と沙羅だった。パニックに陥った山城が飛び上がり、反射的に男子生徒の腹部へ鋭い前蹴りを見舞う。彼はそのまま床に崩れ落ちた。
「……行きましょう、沙羅」
「はい、先輩」
怒りと恥ずかしさで顔を赤くした二人は、保健室を飛び出していった。
静まり返った保健室の前で、和樹は和泉に尋ねた。
「……なぁ、沙羅って格闘技の経験あるのか?」
「ああ。ローキックにハイキック、左右のジャブ。それに……『Oキック』が得意なんだよ」
「オーキック? なんだそのフィクションみたいな名前は」
「いや、ガチなんだ。半円を描くように足を振ってから、360度回転して蹴り込む。太ももの骨を砕くための技らしいぜ」
和樹は戦慄した。「……お前、よくそんなのと付き合ってるな」
「そういうお前こそ、山城先輩はどうなんだよ。あんな綺麗な蹴り、武術部でも見ないぞ」
和樹は思い出し笑いをして答えた。
「……あいつの抱きつく力は、黒帯級だよ。寝てるときに骨が鳴るかと思った」
そこへ、騒ぎを聞きつけた保健医が戻ってきた。
「ちょっと! 中で何が起きたの!?」
ドアを開けると、そこには気絶した男子生徒と、無残に散らかった掃除用具。和樹たちは、冷や汗を流しながら説明に追われることになった。
山城先輩の身体能力の高さと、沙羅の意外すぎる「武闘派」な一面。見た目や噂だけでは分からない、彼女たちの隠された実力が垣間見えた回でした。和樹と和泉も、彼女たちの「愛の重さ(物理)」には苦労しているようですね。
次回、保健室での騒動の罰掃除(?)。さらに、山城先輩が和樹に「ある秘密の特訓」を申し出ます。二人の距離が、また少し変わった形で縮まることに……? お楽しみに!




