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歴代最強の魔女なんて肩書きはいりません。母になって最高に幸せなので愛息と平穏に暮らしたいだけです  作者: もーりんもも


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33 ダニエルの才能②

「だっ、ダニエル!」

「おおぅ。やりおったのう。本当に見つけおったわ! あっはっはっ」

「え? 成功したのですか?」

「大したものだ。あの小さいのは大化けするやもしれんな」


 私の感知魔法のレベルでは二人がどこにいるのかさえ探れない。

 精霊王様に頼んで私も転移させてもらおうかと考えていたら、ぽすんと二人が現れた。


「戻って来たのね!」

「ママン! ぼく、できたよ!」

「そうね! すごいわ! よくやったわね!」

「うん!」


 娘さんは不満そうにむくれている。


「つまらん。待ちくたびれたしな。そうだ。今度はスピードで勝負だ。私に追いついて来れるか?」

「え?」

「私が転移するから、すぐに追いかけて転移してみろ。まあ私はお前が転移してくる前に、また別のところに転移してしまうがな」

「おいかけっこだね! いいよ!」

「フン」


 娘さんは、スタートの合図もなしに姿を消した――と思った刹那、ダニエルも消えてしまった。


「精霊王様!」

「はっはっはっ。おおぉ。これは愉快じゃ。子ども人間が一生懸命追いかけておるが、ん? ほほう。おお、これは! いやいや――」

「精霊王様! どうなっているのですか? 精霊王様には見えているでしょうが、私には全く見えていないんです! 教えてください。二人はどうなっているのですか!?」

「ん? 遊んでおるようじゃがの」


 は? 追いかけっこをしていると?


「おい、魔女よ」

「はい?」

「あの子ども人間は、お主よりも転移魔法が得意そうじゃ。微かな魔力でも感知すれば、未知の場所へも転移できるじゃろう」

「それって――」


 ちょっと凄過ぎて言葉が出ない。


「とにかく二人を呼び戻してくれませんか?」

「そうじゃの」


 精霊王様は言葉にすることなく何かをしたらしい。

 ダニエルと娘さんが再び姿を現した。


「ママン! みてた? あとちょっとでつかまえられたんだよ」

「馬鹿を言うな。人間ごときが私を捕まえられるものか」

「でもいっかいだけてにさわったよ?」

「そ、それは、お前が可哀想だから少しだけ待ってやったのだ」

「え? そうだったの?」


 あら? 娘さんたら、負け惜しみ?


「そこまでだ。続きはまた今度じゃな。それよりも、子ども人間よ」

「なあに?」

「さっきの続きじゃが、『魔力のあるところが分かる』と言っておったな?」

「うん! ぼくとママンとおなじまりょくがあるのがわかったんだ。だから、パパンのまりょくだとおもうんだ」


 え? それってどういうこと?

 ダニエルの中には私の魔力があるから同じ魔力と言える訳だけど。

 私たちは精霊王様の里にいるのに、他の場所にどうして同じ魔力があるの?


「ねえ、ダニエル。私とあなたと同じ魔力を、ここ以外で感じたの?」

「うん! ママンとぼくとおなじまりょくが、とおくのほうにあるよ!」


 ダニエルは嘘を言っていないと思う。でもそれでは説明がつかない。

 どういうことなのか思案していると、精霊王様がヒントをくれた。


「何も人間とは限らんぞ? お主が常日頃大切にしていた物なら微量の魔力が宿ることがある。肌身離さず持っていた物とかな。何か思い当たる物はないのか?」


 え? 私が大切にしていた物? えぇぇ。何も思い浮かばない。


「それってやっぱりパパンじゃない? ママンはいつもだいじっていってたもん! じゃあ、そこにいけばパパンにあえるんだ!」


 ……な! あぁでも、そうかもしれない。

 エイダンが出かける時は、必ずハグをして無事に帰って来るように祈っていた……。

 無意識のうちに魔力を使って、おまじないのように防御魔法をかけていたのかもしれない。

 その魔力の残さのようなものをダニエルは感じ取ったのかしら。


 でも……だとしたら、ダニエルの言っている『その場所』とは事故現場の近くかもしれない。 

 あの人が身につけていた物が残っているのかしら?

 せめて何か形見になるような物でも見つけられたら……。


「精霊王様。ダニエルは、夫のエイダンの持ち物に宿った私の魔力を感知している可能性があります。私が訪れた場所じゃないかもしれませんが、この子の案内で転移できる気がします」

「お主が転移魔法を使うよりも、子ども人間が自分で感知した場所に転移する方が簡単じゃぞ?」

「ママン! ぼくできるよ!」

「そ、そう? じゃあ私を連れて行ってくれる?」

「うん!」

「それでは精霊王様。お世話になりました。ほら、ダニエル。お別れのご挨拶をして」

「せいれいおうさま。さようなら!」

「おう。気をつけて行くのじゃぞ」

「待って! とうさま。私もとうさまのように、ダニエルに精霊石を渡したいのですが」

「おう? ほほう。それは面白いの! うむ。許す」

「はい! ダニエル。こっちに来い」


 ダニエルが許可を求めるように私の顔を覗いたので、軽くうなずいて背中を押した。


「お前にはこれをやる」


 娘さんはそう言うと、全身から眩い光を放った。そしてその光は凝縮されて一つの指輪に姿を変えた。

 私のペンダントトップのような石の形ではなく、精霊石自体を指輪にしたらしい。

 娘さんがダニエルの小指にリングをはめると、指輪が縮んでピッタリサイズになった。

 何て可愛らしい精霊石のピンキーリングなの!


「いつでもそれがお前をここに呼ぶはずだ! 魔女の許可など不要だからな。お前が私に会いたいと思ったら来るといい」


 最後まで私を邪魔者扱いにするのね。


「うん。わかった! またくるね!」


 ダニエルが大きく手を振ってお別れを言ったので、娘さんが口を挟む前に行くことにした。


「それでは精霊王様。行ってきます!」

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