表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴代最強の魔女なんて肩書きはいりません。母になって最高に幸せなので愛息と平穏に暮らしたいだけです  作者: もーりんもも


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/40

23 筆頭魔女の証をもらいに③

 なぜか師匠に、「しっしっ」と手を振って追い払われた。

 キラキラと光る扉に手を触れようとしたら、もう精霊王様が住む泉のほとりに立っていた。


「ママン! ここどこ?! さっきまでおへやにいたのに!」


 ダニエルが目を輝かせながらそう言うと、勝手に走り出してしまった。


「あ! 待って! ダニエル!」


 以前訪れた時は『筆頭魔女の証』を返却することしか念頭になかったので、精霊王様の住処(すみか)には何の関心もなくて、この風景を素通りしていた。

 ほんと昔の私って、情緒が欠片らもなかったなぁ。


 こんなに美しい場所なのに‼︎

 ダニエルが思わず駆け出してしまうのも分かる。

 濃い緑の葉が茂っている木々が点在し、その合間に多くの花が咲いている。

 地面はふかふかの苔で覆われている。


 斧を持った女神様が現れそうなくらいに澄んでいる泉は透明度が高く、水面に映った自分の顔から視線をずらせば、丸い小石が転がっている底が見て取れる。


 パラダイス? ユートピア? シャングリラ?

 水や空気が綺麗なだけではなく、何の危険もないと感じられる。

 あ! そんなことよりダニエルだ。


「ダニエル! どこなの! 返事して!」


 ダニエルの駆け出していった方へ行こうとした時、「魔女よ」と呼び止められた。

 振り返ると、泉のほとりに精霊王様が腰掛けていた。


「あ、精霊王様。お久しぶりです」

「お主は相変わらずじゃのう。まあ構わんが。小さいのを一緒に連れて来るとは、相変わらずお主はワシを驚かせてくれるわ」

「ダニエルがどこにいるかご存じですか?」

「ああ。心配いらん。その辺で遊んでおる」


 その辺?

 まあ心配はしていない。離れていること自体が不安なだけで。


「精霊王様。ここに危険があるとは思いませんが、人間は転ぶだけで怪我をすることがあるので気を付けておいてくださいね」

「おう? ワシにそんな口をきく人間がおるとわなあ。まあそういうことも含めて面倒を見るように言っておくわ」


 え? 誰に? まあいいか。


「よろしくお願いします。じゃあ本題に入りますね」

「おう。なんじゃ?」

「この前返却した『筆頭魔女の証』なんですけど」

「ああ、そういえば変な名前をつけておったな。最初の魔女にやった精霊石じゃな」

「それなんですけど……またいただけたらなぁと思いまして」

「おう? いらんから返しに来たんじゃなかったか?」

「あの時の私はどうかしていました。本当に申し訳ありません。精霊王様から下賜された物を返却するなんて間違っていました。お詫びしますので、どうかもう一度私たち魔女にあの宝珠をいただけないでしょうか」


 さすがに即答してもらえるとは思っていなかったけれど、想像以上に精霊王様が困惑されたので焦った。


「本当に本当に申し訳ありませんでした」

「ああ、いやあ。あれは元々人間にやるつもりだったから、お主が持って帰りたいというのなら持たせてやりたいところなんだが……ちと面倒なことになっておってな」


 ……ん?


「面倒なこととは?」

「ワシの手元にはないのだ」


 ……は?


「おう? 小さい者同士は気が合うようだな」


 ……?


「おーい! こっちにおいでー!」


 精霊王様が遠くの方に向かって叫ぶと、一陣の風と共に人が降ってきた。


「きゃっ。え? ダニエル?」


 精霊王様の魔法なのか、ダニエルが、「抱っこして」というような仕草のままちょこんと地面に降り立った。

 そしてその隣には見知らぬ女の子が一緒だ。

 ダニエルと同じくらいの背丈で天使のように可愛い子だ。

 二人が並んでいると神々しい輝きが見える。


「ワシの娘だ」

「え?」


 精霊王様にも子どもがいるの?!


「今の持ち主だ。欲しけりゃ頼むんだな」

「えぇ? あら? 精霊王様――もしかして」

「そうだ。ペンダントにしてやった」


 いやいや。

 ペンダントトップにするには大き過ぎるでしょう!

 こんな小さな女の子の首に下げるなんて!


「精霊王様。あんな重たい物を首からぶら下げさせて、可哀想じゃないですか」

「ん? ワシの娘だぞ。重けりゃ軽くするだけのこと」

「……あ。幼そうに見えても魔法が使えるんですね」


 ただ見た目がよろしくない。

 なんか幼児が虐待されているように見えちゃう。


『筆頭魔女の証』は、肉まんサイズの大きさだからなぁ。

 それが真珠のように輝いているから、お宝感が半端じゃない。


「おい! そこの魔女!」

「わっ」


 びっくりした!

 精霊王の娘さんが口を尖らせて私を見ている。


「ママンにようなの?」

「べ、別に。魔女の方が私に用があるのだ」

「ふーん。ママン。そうなの? このこにようがあるの?」


 あら? なあに、その雰囲気は?

 そういえば二人一緒に来たけれど、ダニエルは駆け出して行った先でこの子に会ったのね。

 短い時間でもう打ち解けちゃうなんて偉いわ。

 元コミュ障の私には眩し過ぎるわ。


「そうなの。それより子ども同士仲良くしていたのね。偉いわ」

「おい、魔女! 人間と一緒にするな。私は子どもではないぞ! 今はまだ、この、子ども人間と同じくらいの背の高さだが、すぐに大きくなる!」


 子ども人間? うふふ。面白い。


「今、笑ったか? 笑ったな?」


 おっとっと。そう言いながらも中身は子どもみたいだけど?


「お嬢さん。そのペンダントなんだけど――」

「これは私の宝物だから誰にもやらん!」

「え?」


 そう言うなり、くるっと背中を向けて走り出してしまった。

 とりつく島がない。


「あ、まって!」


 なんと、ダニエルが女の子を追いかけて行く。

 ショックなんですけど!

『ブックマーク追加』と下にある☆☆☆☆☆評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生した私は幼い女伯爵』コミック2巻が6月10日(水)に発売されます!
お近くの書店またはamazon楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラ等でのご予約よろしくお願いします!

『転生した私は幼い女伯爵』4巻発売中!
あらすじやイラストは詳細ページをご覧ください。
amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i1056363

カドコミで『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です‼︎
フォローよろしくお願いいたします‼︎

『転生した私は幼い女伯爵』コミック1巻 好評発売中です!
amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i1033447

『私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~』
DREノベルスから2巻発売中!
購入はこちらから。amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i929017

― 新着の感想 ―
早すぎる子離れ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ