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歴代最強の魔女なんて肩書きはいりません。母になって最高に幸せなので愛息と平穏に暮らしたいだけです  作者: もーりんもも


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21 筆頭魔女の証をもらいに①

 アリソンが国王に謁見していた頃。


『師匠』こと先々代の筆頭魔女メリッサと、マリラ――本名キャスリーン――が、『筆頭魔女の証』の所在について話していた。


「誰に渡したって?!」

「いえ、渡したんじゃなくて返したんです」

「もうどっちでもいいわ。いったい誰の手にあるんだ?」

「え? 精霊王様ですよ? だって、元々は精霊王様が人間にくださったものじゃないですか」

「……‼︎ お、お前――はぁん?!」


「精霊王様が最初の魔女に証を与えたんですよね? そして代々、跡を継ぐに相応しい者が証を継承したんですよね?」

「ああ。私もそう聞いている」

「じゃあもうその役割はなくなったじゃありませんか。私の代からは実力でその座を手に入れることになったんで」

「……‼︎ ……は!? じゃあ、私のせいだって言うのか?」


「別に師匠のせいじゃありませんよ。筆頭魔女だった時に私が判断したんですから」

「いや、でも――どうして返そうなんて思い付くんだよ!」

「いやあ、あの頃の私は欠陥人間だったんで……」


 あの頃、アリソンがやたらと証について探りを入れてきて、うんざりしていたんだよなぁ。

 筆頭魔女の象徴といっても完全非公開で、代替わりの時に執務室の金庫から取り出して見せるだけ。

 式典で使用するでもなく、何がしかの効果があるでもない。


 ……情緒の欠片もないあの頃の私には不要に思えたんだよねぇ。

 人間力が向上した今なら、まあ、そういうのも大切だと分かるけど。


「代々大切に受け継がれてきた物ですもんね。やっぱりあった方がいいですかねぇ」

「当たり前だろ!」


 ですよねぇ。


「それにしても、精霊王様に返却って――まさかとは思うが――お前――精霊王様にお会いしたのか?」

「はい。もちろんです。ご本人にお返ししました」

「…………‼︎ どうやって……ええっ?!」

「証が導いてくれましたから。鑑定器の要領でいけました。証に魔力を注いで、生まれた場所に帰るよう説得したんです」


「説得って……はぁん?! ちょっと待て。ふう。ほんと待ってくれ」

「あのう」

「証が精霊王様の元へ帰ったというのなら信じるしかないが――ということは、証がない今は精霊王様の元へ行くことはかなわん訳だ」


 あれ? どうだっけ?

 別れ際に精霊王様から何か言われた気がするんだけど……何だっけ?


「何だ? 方法があるのか?」

「あるような……ないような……まだ百パーセント完全に記憶が戻った訳じゃないので……あ!」

「あるんだな!」


 そうだ!


「ええと。証を持って行った時、精霊王様は大層な喜びようで……『魔女が証を返しに来るなんて想像していなかった』、『想定外の驚きをもたらしてくれた!』って喜んでくれて……望みを叶えてくれるとか、ご褒美をくれるとか……」

「ご褒美だと? 一体何を貰ったのだ?」


 何だっけ?

 今ならダニエルの健康と幸せをお願いするけれど、あの時の私って何が欲しかったんだろ?

 くれると言われたのなら絶対に貰っていると思うんだけど。

 衣食住は足りていたからなぁ。

 なんか、ダメもとで無茶を言った気がしないでもない。


「驚かせついでにもっと驚くような望みを言ったかもしれません」

「はあ?! 精霊王様に?!」


 うん。精霊王様に。

 ほんと、あの頃の私って不遜極まりないよね。

 それにしても何だったかなぁ?


「何となくですけど――困った時には助けてくださいとか――そんなことをお願いしたような?」

「お前……。普通は精霊王様にお会いできたなら、お別れする最後の瞬間までの全てのことを覚えておこうと思うものだけどね」

「おっしゃる通りです。でも――何となくですけど、何かあっても、また会えるから大丈夫と思っていたような気がします」

「え? どうやってお会いするんだい?」


 何だろ? 合図とか決めたのかな? 合言葉とか?


「方法ははっきりとは……。呼びかけてみましょうか? 精霊王様! 聞こえていたら返事をしてください!」

「馬鹿か、お前は」


 あはは。違うか。



『おお。お主か。用があるならこちらに参れ。お主の魔力は覚えておるぞ。魔力を示せ!』

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