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歴代最強の魔女なんて肩書きはいりません。母になって最高に幸せなので愛息と平穏に暮らしたいだけです  作者: もーりんもも


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15 【サラ視点】先の筆頭魔女様の痕跡

 村に入ると、村民たちが集まって来た。

 どうやら見慣れない馬車に驚いているらしい。


 馬車で移動するほどの広さでもないので、歩いて回ることにする。


 私とフェイが降りると、村人たちは一様に驚いた顔をした。

 女性が降りてくるとは思わなかったからか。

 それとも、単に身なりよい人間を見慣れていないせいか。

 あるいは、魔女の装いを知っていたか。


 フェイはそんな反応など気にせず、「誰か村長を呼んできてもらえないかな」などと気安く話しかけている。

 魔女の尊厳が台無しだ。


 それでも、さほど待つことなく村長が現れた。

 おそらく斜面の一番の上にある大きな家に住んでいるのだろう。

 見慣れない馬車が乗り込んで来た様子を見ていたのかもしれない。



「これはこれは。さぞや名のある家のお方だとお見受けいたします」


 正解は二番目か。

 腰を屈めて揉み手をしている中年男性は、私たちをどこかの金持ちの使いとでも思ったらしい。


「ここはドワテ村です。見ての通り辺鄙な村ですが何かご用でしょうか。村長の私にご用命いただければすぐにでも――」


 フェイが片手を上げて遮った。堅苦しい挨拶を聞くのが面倒なんだな。


「ああ、村長。楽にしてくれ。私たちは連れを探しているんだ。私たちと同じ格好をした女性がこの村に立ち寄っていないかと思ってね」


 だから、フェイ。そんな風に魔女の威厳を――まあ、いいか。


「コホン。村長。村人たちを集めていただきたい。私たちは筆頭魔女様の命令で動いています」


 私たちを見てもピンときていなかった村長だが、さすがに筆頭魔女様のことは知っているようだ。


「ひっ、筆頭魔女様?! あ、ああ、ええと。そ、その、では、あなた様方も、まっ、まっ、まっ――」

「序列十位のサラと二十位のフェイだ」

「はっ、ははあ!」


 村長は、集まりつつあった村民共々膝をついて首を垂れた。

 ここまで(かしこ)まる必要はないのだが、田舎の人間は魔女に接することがないので、精一杯の対応をしなければ罰せられるとでも思っているのだろう。


「頭を上げよ。フェイが先ほど申したように、私たちは()()を探しているのだ」

「ま、魔女様を? ええっ! この村に魔女様が?!」


『魔女様』というのは、本来、筆頭魔女様だけを指す言葉なのだが、こんなところで言い聞かせても仕方がない。


「村長。それを聞きたいだけなのです。村人たちに確認してくれませんか」

「は、はい。おーい! みんな! 聞いたかー! この方たちと同じ格好の女性を見たことある奴はいるかー!」


 村人たちは皆、粗末な服を着ている。

 この村に黒いベルベットのローブに身を包んだ人間が現れたなら、記憶に残るに違いない。


「あー、一応これを見てくれるか? 顔が分かった方が思い出しやすいだろ? 念の為、全員見てくれ」


 フェイが馬鹿正直に姿絵を見せている。

 街で聞くなら分かるが、ここでは不要だ。黒ローブ姿の女性を見たかどうか、それさえ分かればいいのだ。


「いやいや。お顔を見せられても……。見るからにお金持ちの人がこの村に来たなら、みんな覚えていますよ」


 その通りだ。

 それなのに、フェイは本当に一人一人に姿絵を見せて回っている。


「べっぴんさんだねえ」

「こんな村に来るとは思えないねえ」


 どうやら誰も見ていないらしい。

 結局フェイの勘違いということで終了だ――そう思った時、姿絵を覗き込んでいた子どもが無邪気につぶやいた。


「あれ? ダニエルのお母さん?」

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