第三十四話 ゲットだぜ!
ルリ、ちゃん、の、キャラが、変わって、る!?
私が知るルリちゃんは、悪口言われても静かに耐え忍ぶタイプだったと思うんだけど!?
え!?めっちゃ言い返してるんだけど!?
「一体どういう事だよセシル!!」
「……………」
私はたまに会う機会があっただろうセシルを引きずり、事情を聞くことにした。
さっきから黙っているがこの世界に黙秘権はねぇんだよとっとと吐けやボケェ、という顔をしながらセシルを睨む。
すると、私の悪人顔プラス睨みが効いたのか、セシルは口を割った。
「……記憶喪失になってから人が変わったかのようになったらしいんだ。やたら突っ掛かるというか、素直じゃないというか。まあ悪人になったわけじゃないし、下手にレイラに伝えるとショックを受けかねないしで黙ってようと思って。別に僕がレイラを心配したから黙ってた訳じゃないよ。ただレイラが悲しむと姉さんも悲しむから……」
……最近セシルがツンデレになっている気がしてならないんだが、気のせいだよね。
って、今はそんな事どうでもいい!
なんと、記憶喪失になってから性格が変わったとな!
やたら突っ掛かって、素直じゃないって、以前の優しく素直な正統派ヒロインとは正反対じゃないか。
それじゃまるで、ツンデレヒロインではないか!うん。それはそれで可愛いのでは……むしろ美味しい……。
「……何か喜んでない?」
「なな、何を言ってる!?そんな不謹慎な事思うわけないじゃないか!!」
「そこら辺に関してレイラへの信用は皆無に等しいからね、言っておくけど」
くそ、ツンデレになろうがなるまいがセシルはやはり可愛げがないな。
……いや、まずくないか?
最大のバグだよね、どう考えても。
一番バグっちゃ駄目なところがバグっちゃったよね?
例えば、あの青い猫型ロボットの主人公が、ぐうたら丸めがねののび○ではなく、超いい子でエリートな出来○みたいな奴になったらどうなるか。
猫型ロボットの出る幕が無くなるのだ!!
基本一人で何でもやって、むやみに人に頼らない主人公になったら、猫型ロボットの役目はなくなり、タイトルになるくらいの超重要キャラが、タダ飯食らいでどら焼きに異常なまでの執着を見せる青い狸にまで格下げされるだろう。
主人公がバグるとはつまり、作品の内容が大きくねじ曲がってしまうという事だ。
つまり、バタフライ効果の最終形と言っても過言ではない。
……私、やらかしちゃった?
「ほらレイラ、そろそろ時間だから教室戻るよ」
「……あぁ、うん。そうだね」
…………やらかした気しかしない。
◇◆◇
さて、それから教室に戻ってオリエンテーションを受け、後は帰るだけとなった。
さっさと寮に帰る人もいるけれど、大抵は友人、もとい将来の人脈作りの為知り合ったクラスメートと親睦を深めるため会話をしている。
まあ私もするべきなんだろうけれど、生憎父様の凶悪顔で貴族の方々からは遠巻きにされてるんだよねぇ。
おかげで娘の私も幸いというか不幸というか、誰からも話しかけられてもらえないんだよな。
ゲームの事もあるし、むやみに取り巻きを作ると危険だと思うんだけど。
……ボッチの予感が、ヒシヒシと。
い、いや、大丈夫、今はウィルカミラセシルという三人の親友がいるではないか。
女子からは同性と見てもらえず男子からはモテすぎる故やや遠巻きにされていた前世の頃とは違う、違うよね?違うって言って誰かぁぁ!!
「あの……」
……はっ!
…………神よ!この状態の私に声をかけてくれた天使がいる!!
前世のややぼっちの記憶により荒んだ心を癒してくれた!
もしこのまま放置されたならば自暴自棄になってウィルに爬虫類に似せた何かを投げつけて自爆するところだっただろう。
嗚呼、私の心を満たしてくれた天使は一体だれ……
「私、ルリと言います。平民の私ですが、よければ少しお話して下さいませんか?」
ルリちゃんんんんん!?
「……?どうかされました?」
「え?あ、いや、何でもないですよ!ええ、私でよければ話し相手くらいにはいくらでもなりますよ」
な、何という運命の悪戯!
まさかウィルの吹雪の視線に晒されようとした私を救ってくれた天使が永遠のヒロインルリだったとは。
ああ、久しぶりに見たけど、相変わらず可愛いなぁ……。
ん?あれ、そういえばセシルによると性格が変わってたんだっけ?
うーん……そんなふうには見えないけどなぁ……。
いやしかし、仮にももう商人として働いていて、私の親友であるセシルが言った情報が間違いだとは思わないし……。
「わぁ、本当ですか!?よかったぁ……私平民だし、良く思わない人がいるらしくて不安だったんですけど、レイラさんみたいに優しい人もいるんですね!」
………うん。
やっぱりヒロインは何があってもヒロインだった!!
もう可愛い!可愛いの!!
頬をピンクにして、ほわぁって笑ったの!
もうこれ見た男はイチコロだね!私もイチコロだね!!
……ん?セシル?一体何の事?
そんな事よりも、ぜひルリとは仲良くならなければ!!
「貴女みたいに可愛らしい方に会えるとは、この学校に入学した甲斐もありました。よろしければ今回ばかりの話し相手ではなく、友として今後とも仲良くさせて頂けませんか?」
「……!は、はい!もちろんです喜んで!!」
……ふ、ふふ、ふふふふふふ。
女友達、ゲットォォォォ!!
よっしゃぁぁあやったよ!女友達ゲットしたよ!!
ちょっと口調が若干おかしかったかもしれないがともかく、やったんだ!私やったんだ!!
ふはははは!よし。今日はお祝いにちょっと奮発してディナーにスペシャルケーキをつけよう!
寮の学食は料金を上乗せすると特別なスイーツをつける事ができる。
何時もはお金もったいないからつけてないけど、今日くらいはいいよね!!
「ふふ、じゃあ、これからはルリと呼ばせてもらっても?そのかわり私の事はレイラでいいから」
「は、はい!レイラ!」
「なるべく敬語は無しにしてほしいな」
「はい!じゃなくて、うん!分かったよ!」
めんこいのぉ。やはりヒロインは格が違うなぁ。
死亡フラグが脳裏にちらついたけれど、そんなことより大事な事がある。
ヒロインを、頭イカれてブラックになった攻略対象なんかに渡すわけにはいかない!
こんなに可愛い子は、ちゃんと正規の方法で幸せにしてくれる奴にじゃないと納得いかない!
ゲームで見てたけれど、ブラックルートの殆どは病んでた。ルリみたいな子は、光が似合う!
私の命も大事だけど、女の子はやっぱりお伽話のお姫様みたいなキラキラで幸せいっぱいの笑顔がいいよ!
私の命と平穏な将来と、ルリの幸せのために、フラグはきっちり回避しよう!!
これからはこれを目標として、頑張っていくぞー!おー!
レディの笑顔を何より大切にする主人公です。
いやぁやっと投稿できました!遅くなりすみません!
拙い作品ならせめて読者の皆様をお待たせしないようにしなければならないんですが……できない作者で申し訳ないです。
一人でも読んで下さる方がいる限り、私は書きます!
読んで下さり、ありがとうございました!




