第二十四話
大変長らくお待たせいたしました!
これから連載をぼちぼち再開していきますので、引き続きよろしくお願いします!
ガクブルガクブルガクブル
「…レイラ、もう覚悟決めたら?もう応接室の前だよ?」
王家から城への招待状が届いたのは一週間前。
私は、招待状なんか来ないと思いたかった。
しかし、優秀な功績をおさめた者には身分問わず城へ招待し、相応の対価を払えという、先代の王様の遺言によりその願いは叶わなかった。
なんて迷惑な遺言を残してくれたんだよこんちきしょう……!
とまあ、他人に聞かれたら不敬でアウトな事を考えていたら、あっという間に一週間。
馬車に揺られ、山賊に襲われるというテンプレも私とウィルでさっさと終わらせ、城の中へ入り、王様がいる応接室まであと一歩。
しかし、その一歩が踏み出せないぃぃ!
あの扉の先に、不敬一つで私程度、文字通り首を飛ばせる人達がいるって考えただけで膝が大笑いするんだよ!
ちなみに、従者兼付添人として来ているのはウィル一人。父様はどうしても仕事で抜け出せなかったらしい。視線で人を殺せそうな顔をしていた。
「……これ終わったら、護衛の皆と勝負していいから。」
「……(ピクッ)」
私は、祖父様の影響で、剣での勝負が好きになった。
だから、色々な人と勝負をしてみたい。
そこで手っ取り早く、家の使用人の人達で剣を使う人達と勝負をしようと思い、護衛の人に申し込んだ。
しかし、私はこんなんでもアクロイド家のご令嬢。「そんな恐れ多い!」と断られてしまった。
だから、勝負の機会を今でと虎視眈々と狙っている。
……これを乗り切れば、それが出来る、だと?
…………………。
「よし、行こう。」
「………チョロすぎる。」
ウィルが後ろでボソリと言った事に関しては聞こえなかった事にして、意気揚々と扉をノックした。
◇◆◇
「今回の件、貴殿の活躍により、事態は迅速に収集出来た。感謝する。」
「身に余る光栄にございます。」
これを乗り切れば念願の勝負が出来るという事で、この国の最高権力を持った人にも緊張ゼロで話す事が出来ている。
……我ながら、チョロいとは思う。が、念願は念願なのだ。仕方ない。
王様は、ダンディなおじ様といった風貌の人だ。さすが、第二王子という攻略キャラの父。
ちなみに、第二王子はゲームによるとただ今留学中なので接触する心配はない!
「そして褒美の件だが、私の子供達の中から婚約者を……」
あ、やべぇ危惧していた事が!
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!」
「!?」
ウィルがバッとこちらを向く。
『お前が言ったのか!?』
『違う!』
と、目で会話した。
え?私が言ったのかと思った?
さすがの私も王様の言葉を遮る勇気はねぇよ。
ーシュッ
「っ!」
ーキィン!
何かがこちらに飛んで来たから、咄嗟に私の刀を使って弾いた。
…け、剣が飛んで来たぞ……。
「ほう!よくぞ私の剣を弾いたな!!見事だ!」
「…お、王妃様!?」
そう、そこに立っていたのは美しくおしとやかだと評判の王妃様だった。
プラチナブロンドの髪をなびかせ、翡翠の瞳をこちらに向けている様は、確かに評判通りの美しさだ。
………ただし、ドーンという効果音が鳴りそうな風に登場し、お世辞にもおしとやかだとは言えないような口調さえなければだけど。
……え、王妃様が剣投げたの?
これ、常人なら持ち上げられないくらい重そうなんだけど。
「パーティーで見た時も思っていたが、非常事態でも冷静な思考を保つ事が出来、かつ最良で最速な判断が出来るという素晴らしい逸材だ!」
あ、ああ、王妃様のイメージが崩れて行く……。
「……我が妻、フィリアは、元々こんななのだ。」
王様が疲れたようにため息をつきながらそう言った。
「こ、国王様、それじゃあ、公式の場で見る、おしとやかな王妃様は……」
「猫被った結果だ。」
……え、ええぇぇぇぇ。
「国の象徴とも言える王妃がこんなのじゃ、国民をがっかりさせるのではないかと……」
王様、ハッキリと『こんなの』っておっしゃいましたね。
「とても良く分かります。でも猫被っててもふとした拍子にポロッと本性が出てきちゃったりしますし、それにこっちがどれだけハラハラしてても本人はケロッとしてるのが何と言うか……。」
「分かるのか!」
ちょ、ウィル!?何で王様と分かりあってるの!?
「君のような逸材を我が息子の嫁にするのは、少々勿体ないと思うのだ。」
あ!王妃様の事まだ解決してなかった!
マズイ、だんだんとカオスな事になってきたぞ。
「君は、何を望みたいのだ?」
ん?あ、褒美の事か。
「えっと、私、ですか。……そうですね、強いて言うなら将来の就職先ですかね。」
「ほう?どんな仕事に就きたいのだ?」
「魔法を使う仕事に就きたいです。あと、戦える機会が多いような仕事があればなぁ、と。」
ちなみにこれ、徹夜で考えた褒美の内容だ。将来の仕事が王家の人から貰った物であれば、将来の旦那様が反対しても押し切れるかな、と思って。
……まあ、ヒロインが攻略キャラのブラックルートに入っちゃうと死ぬし、そのほかにも身分剥奪とか国外追放とか、適当な家に嫁がされるとかもあるから正直将来をどうのこうの言ってる余裕はないんだけどね……。
まあ、いざとなったらこの剣の腕を信じてギルドにでも行くさ。最終手段だけど。
「……ふふ、ふふふふふ、ふっふっふっふっふ。」
……ん?王妃様?
「はっはっはっはっは!やはり!私が見込んだだけの事はある!」
え、ちょ、何?何ですか?
王様が憐憫の眼差しを送って来るのは何故だろう。あまり考えたくないけどほぼ確実に目の前で高笑いしてる王妃様の事だよね。
「君には、私専属の騎士になってもらおうと思う!!」
……はい?




