第二十話
今回からレイラ十四歳です!
こんにちは、もう十四歳になりました、レイラです。
そして本日は八月九日、ウィルの十五歳の誕生日だ。
朝起こしてもらってすぐおめでとうを言って、私が宝石を発掘し、削って作ったネクタイピンをプレゼントした。なお、それらの工程は魔法でしたから無問題。売ってもいいほどの仕上がりでしたよ。普段辛口のセシルとカミラにもオッケーもらったから。「レイラに貰ったものなら基本喜ぶと思うけど?」とカミラは言っていたがそんな甘ちゃんではないぞ私の執事は。
プレゼントすると、成長しますます綺麗になったウィルは、もうとろけるような笑みでお礼を言って、
そして次の瞬間不機嫌になった。
何故不機嫌になったのか。別に私が悪い訳ではない。ただ、今日の予定がウィルの機嫌を常にマイナスに留めているのだ。
そう、本日は、
私の婚約者との面談があるのだぁぁぁ!
そう!私の婚約者、オリヴァー・フォールスは攻略対象!
俺様何様オリヴァー様、というような俺様キャラ!正直私は大っ嫌いなタイプである!
お前を中心に世界が回っている訳ではねぇんだよガキがぁぁ!と叫ぶ程は嫌いである。
まあそういうキャラが好きな人は好きだろうしそこら辺は割り切っているが個人的には好きになれない。
ゲームではいつ知り合ったのかとかは描かれてなかったが、私は出来るだけ先延ばしにしてきた。
結婚嫌だ働く!と散々言ってきたので父様も積極的には探していなかったらしいのだが、フォールス家の誘いを断ると仕事に影響が出かねないとの事だったから、私がオーケーした。
そりゃ少しでも自殺ENDの可能性は潰したいけど、父様の仕事がかかっているのであれば仕方ない。
というかルリいじめなきゃ大丈夫だろう。でも怖いんだよなぁ……。
というか今は何よりウィルが怖い!!ウィルの周りだけ温度がかなり低いんだよ!魔力によって物理的に!
感情が荒ぶると魔力が出るということはウィルは相当な魔力を持っているという事だ。魔石で封じてはいるけど、ちょっと無意味なんじゃないっすかね?
という事でストレスがかかりまくっていたから、今現在ソラ(サイズ大)に乗って空中散歩中だ。
「ようし、ソラ!今日はスペシャルコースだ!全力でいっちゃって!」
「オッケー!いっくよぉぉ!」
一度大きく翼を動かすと、一気に上へと飛ぶ。
低い雲なら手が届くくらい上った後は、急降下。
そして身体を横に倒しながら地面スレスレを飛ぶ。
再び上空へ来ると、きりもみ回転で下がる。
振り落とされないように捕まって流れる景色を見る。
しばらく超高速で飛んでいたがゆっくりと減速し、スタート地点の裏山へと降りた。
「ふぅー。久しぶりのスペシャルコースはやはりハードだったなぁ。でも楽しかったよ!」
「うんうん!楽しかった!」
これをウッカリ人に見られるとすぐさま止められるのだ。
危ねぇよ!って言われるけど、万が一落ちてもソラが拾ってくれるから無問題なのになぁ。
確かにジェットコースターよりかはちょっとばかしハードだけど楽しいよ?
……あ、そろそろ帰らないと。朝食の時間が。
そして、その後わりとすぐに面談が……。
憂鬱……。
「………ハァ。さて、帰ろうか。」
そして、重い腰を持ち上げた。
★★★★★★★★★★
朝食の席は、今だかつてないほどに空気が重い。
まあ原因の中には私も入っているが、やはり一番は父様と……後ろに控えているウィルだろう。
無言で朝食を口に運ぶ父様は、いつも怖い顔をさらに怖くしていた。
そしてウィルは表情こそ変わらないものの、オーラが真っ黒だった。
「貴方達、せっかくの朝食なのだから、もう少し明るくしましょう?」
苦笑しながらそう言うのは、母様だ。
ここ最近大分調子が良くて、毎日顔を合わせて話をすることができる。
顔を見る度に嬉しくなるのだが……今日ばかりはそうも行かなかった。
「レイラが……!レイラが他の男に……!」
「父様、まだハッキリと決まった訳ではないよ?」
そう。もしルリがダルクルートに入ったら、私との婚約は破棄になる。
だからまだ決まったわけではないし、そもそもまだ顔合わせの段階だ。
婚約といっても絶対ではないし、変更はいくらでもできる。
「あら、でもフォールス家のご子息様は美丈夫という噂らしいわよ?ひょっとして一目惚れでもするんじゃないかしら?」
ーぶちぃっ!
ーガシャッ!
最初の音は、父様がバゲットを引きちぎった音。
次の音は、シルバーのフォークを片付けていたウィルが出した音。
「失礼いたしました。」
すぐさま非礼を詫びるウィルだが、オーラは変わらず黒い。
「あらあら。ふふっ。」
「母様ぁ。笑わないで下さいよぅ。」
何故楽しげなのだ母様!私は恐怖しか感じられないよ!
「絶対に婚約破棄してやる……!」
「レイラ様、面談の後は家庭教師が来るので、心得て下さいね……?」
どうなる事やら……。
★★★★★★★★★★
「お初にお目にかかります。レイラ・アクロイドでございます。本日はようこそおいで下さいました。」
完璧な作り笑いと共に一礼。
「おお、随分と美しいお嬢様だ。初めまして。これが息子のオリヴァー・フォールスです。」
くそっ。コイツは何もしないのかよ!良いご身分だなおい!
なんて心の内は一切出さず、笑顔の鉄面皮を持続する。
今日の面談は、本人達プラスお互いの当主どうしで行う。
ここで問題がなく、両者共に異論がなければ婚約は成立。
ここでスムーズに事を運び、問題は起こさず、私では役不足だということをそれとなーく伝えてから終わるのが一番平和的かつ合理的だ。
「それにしてもオリヴァー様は大変美しいですわね。私にはもったいない……」
「……ふん。やはりな。女というのは俺を前にするとヘラヘラ笑って媚びへつらう。他に何か出来ないのか。」
……だと言うのにこの男ぉぉぉおお!
人がせっかく穏便に済まそうとしてるのに何やってんだ馬鹿がぁぁぁぁ!
その時、私の何かがブチリと切れた。
「オリヴァー!何てことを……。」
「別に俺は思った事を言っただけだ。」
「……そうですかそうなのですねええよく分かりました。」
ガラリと雰囲気が変わった事にフォールス家当主様は気がついたようだが、あのクソガキは気がつかずに言う。
「はぁ?何がだよ。」
「貴方が世間知らずのオツムが少々弱いお坊ちゃまだと言うことがですよ。」
笑顔の鉄面皮のまま毒を吐く。
「何だと!」
「本当の事ではありませんか。ずっとヘラヘラ笑っている?愛想を良くしなければ貴族社会で生きていけませんよ。媚びへつらう?貴方は本音と建前も理解していらっしゃらないのですか?そうだったなら申し訳ありません。他に何か出来ないのか?皆様が貴方だけに構っているだけと思っていらっしゃるのですか?皆様は様々な方と社交をして人脈作りをしたり勉学に勤しんだりしてらっしゃいますよ。そんなことも理解出来ないのだから世間知らずのお坊ちゃまなんて言われるのですよ。」
マシンガントークで黙らせてから、最後ににっこり。
「婚約は拒否します。ハッキリと申し上げますと、こんな馬鹿と婚約なんて絶対に嫌です。出来れば父との契約は破棄しないでいただくとありがたいのですが、婚約は拒否します。判断は当主様と父に任せますが、どうでしょう。」
言い終わった後、後悔した。
何してるの私!?せっかく穏便に済ませようとしたのにこれじゃやってることはあの馬鹿と同じではないか!つくづく自分の沸点の低さが嫌になる!!
ーつんつん
……ん?父様?
「………(良い笑顔でグッドサイン)」
父様ぁぁぁぁ!!
フォローしろよダメ親父!!
うわぁぁこりゃあの馬鹿はともかくフォールス家当主様は怒って……
「はっはっはっ!!面白いお嬢様ですなぁ!オリヴァーを黙らせたご令嬢等初めてですよ!」
お、大ウケでしたか。
「勿論、契約は破棄しませんよ。というか、是非私の娘になって欲しいですなぁ。」
う、ううむ。フォールス家当主様って面白い人だな。
「いえ、娘もこれだけ言っている事ですし、婚約は勘弁してほしいですよ。」
父様怖い怖い。顔怖いから。
「いやあ、私もこんなに良いお嬢様を手放すのは口惜しい。この件は、保留と言うことで。」
そして面談は、オリヴァーが呆気に取られている間に保留となって終わった。
……意味分からん!!
誠に勝手ながら、登場人物の名前を変更させていただきました。
ダルク→オリヴァーとなります。
急で申し訳ありません。




