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「第三波はこれで終わりかな?」

「なるほど。連中にとっては話を直そうとする語り手が邪魔だからそれを守ることが大事ってことか」

「…今更気付いたの?」


 呆れたような溜息を吐く雪ちゃんの声に聞こえないふりをする。因みに今回は三方向から来たから一人一殺戦法で無事片をつけたといったところだ。


「…風花。続きを話した方がいい。時間をかければ、その分護衛の三人のスタミナ切れに繋がる」

「うん、分かってる」


 思い出すように目を閉じて深呼吸。


「ただし、その妥協案にすら、神は条件を付けた。それを遂げるまで、疾風が言ったみたく、無理矢理以外では面は取れないし、取ったものには相応の報いを受けることになるってこと」


 そこで一度区切り、しゅんと俯く。


「…ごめんなさい。最後まで話してみたけど、やっぱり一番大事なところには鍵がかかったみたいに言葉が出ないの…」

「なら、創っちゃえばいいじゃん」

「え?」


 さも当然の様に肩を竦めて要が溜息。そして風花の方へと視線を向けた。


「ねえ、風花ちゃん。キミって、この伝承を一字一句覚えてるって、前に屋上で会った時に教えてもらったよね」

「え…えぇ、覚えてる…けど?」


 その言葉にニッコリと要は笑みを浮かべた。


「よかった。キミのおかげでこの伝承は復活することが出来るんだよ」


 その言葉にパチクリと目を瞬かせる。俺にもさっぱり意味が分からない。こんなにも終わりかかった世界を復活する?何をどうするのかさっぱり見当もつかない。考えあぐねていると、説明のバトンタッチなのか、雪ちゃんが進み出た。


「物語に必要なものは何?」


 唐突な質問に一瞬キョトンとするが、ぼんやりと考えてみる。


「えと…登場人物?設定?それに舞台?」

「まぁ大筋そんなところ。けど、忘れてはいけないもう一つの役割が必要なもの、知ってる?」


 今度こそその質問に沈黙する。十秒ほど経つと、わずかに表情を緩めて雪ちゃんが答えを口にする。


「正解はナレーター。つまり語り部よ」

「なるほど。確かに大抵の話を見ても、語り部のいないで進む話は無いな」


 でもここでまた一つの疑問が浮かぶ。語り部が一体どうしたというのだろうか。


「つまりは語り手の手によって、この世界―つまり伝承の世界をもう一回書き直してしまおうってこと」

「そ、そんなことしちゃっていいのか?要するにそれって、決めたら最後、天狗の全員がそれに従うってことだろ?」

「でも、ボクにはこの二人が変なことを言うようには見えないしなぁ。大丈夫だよ、きっと」


 何を根拠に言うのかは分からないが、こいつがそう言うのであれば事実上トップクラスの判断とも言えるのであろう。


「何事も、時には編集するのが大切ってこと」


 さらっと言ってはいるものの、良く考えるとすごいことだ。一族に伝わる大切なものを俺たちの手で勝手に書き変えるも同然なことなのだから。


「それって、やるとしてリスクはあるの「あるに決まってる」


 危険性を問おうとすると、被せて当然の様にサラリと答えるのは雪ちゃん。だが心なしか、その声は幾分か震えていた。


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