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 短く答えてそのまま走っていくのを見送る。姿が見えなくなってから要が沈黙を破った。


「この世界への転移も万全じゃない。むしろ空間を捻じ曲げるも同然だから、もちろんボクらの世界に影響が出ないわけじゃない」

「…そいつは解ったけど、何が懸念事項なんだ?」


 一呼吸置き、意を決したように口を開いた。


「極まれに、一般人が迷い込むケースがあるんだ」


 その言葉に疾風と風花までもが息を呑む。


「そして今回は、十中八九誰か一人が巻き込まれている」


 そこで疑問の一つが解決した。転移の瞬間に要が何か言ったのは気のせいではなかったようだ。


「…どういうことだ」


 疾風が疑問を浮かべる。


「言葉通りだよ。それでもって、何の抵抗力も無いから、リカッサに見つかったら、そこでその人は終わり。実は雪もその被害者の一人で、ボクが本当にギリギリの所で助けたんだ。この間見せた傷はその時の」


 その言葉が止めの様に背筋が一瞬凍った。


「え…えっと…簡単に言い直すと、普通の人が迷い込む。対応できない。そこで見つかったらその人はバッドエンドってこと?」


 風花の恐る恐るとした答えにうなずく。


「さてと、今しばらくこの話は忘れて。不惑、そっちの建物の陰に隠れて。ボクの合図で一気に攻めるよ。二人はボクと一緒にこっちの方へ」


 数少ない蔽遮物の陰に隠れる。すると、雪ちゃんが一体のリカッサを引きつけて帰ってきた。


「ハッ…!ハッ…ハッ…ハッ…あうっ!」


 建物の少し行ったところで転ぶ。腰の抜けて怯えたような表情を見せる。なるほど。数を減らすためには迷い込んだ一般人のフリした方が楽ってことか。確か…釣り野伏せとか言ったかな?


「グオォ…!」


 リカッサが踏みつけようとした瞬間、体勢を直して射程から逃れてリカッサの顔面まで跳び上がる。


「軽々しく近寄らないで」


 顎と思われる部分にアッパーカットを決めた刹那に要から合図が来た。


「今だ!」


 待ち望んだ獲物を狩る狼のように襲いかかる。取りあえず一番近い右足を居合で一思いに断ち切ってあげる。要の方も左足を切断してようで、バランスを失い倒れる。


「―――ッ!」


 剣を収め、懐の銃を取り出す。


「貫け、弾丸」


 不意に短銃が長銃の形状になり、そこから超連射の弾がリカッサの身体を縦に貫いていった。


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