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「うおぇ…。何度やっても慣れねえものだな」


 吐きそうになるのを気力で堪えてふらつく足に喝を入れる。横ではピンピンしている要に雪ちゃん。対象的に、疾風と風花は気分が悪そうだ。


「うう…乗り物なんて乗らないからこういう耐性が…」

「……軽くきついな…」


 口元を押さえる疾風。普段はクールだからこういう反応は珍しいな。変な所に感心している内に自分の酔いが治まってきた。


「うーん…」


 その間に考え事をしていたと思われる要が顔を上げてこっちを見る。


「不惑、マズイことになったかもしれない」

「何だよ、そんなに血相変えて」


 そう指摘すると慌てて顔色を取り繕った。よく見ると雪ちゃんも少し落ち着かない様子だ。


「…で、要。こっちは一つ質問がある」

「ん?何、不惑」


 前方を眺めた要が振り返って問い返してきた。それに対し、さっきまで眺めていた前方を指差しながら聞く。


「…ここ、ほぼ何にも無いんだけど?」


 そう。眼前に広がる世界には家がかろうじて数軒あるものの、草木に関しては片手で数える程度にしか生えちゃいない。


「予想していたけど、相当酷いね、この状況…」


 雪ちゃんが困ったように頬の辺りを掻く。そんなことをしても状況は全く変わらないが。


「この世界―つまりこの伝承は、はっきり言って朽ち果てかけてる」


その場で軽く一回転しながら要がさも当然の様に言った。それに食いついたのは、風花だった。


「どういうことなの?」

「言葉通りとしか、ボクは説明出来ないよ。そうだね…病気に例えるなら、今は末期の症状って言ったところかな」

「…ならば、この世界をどうこうするレベルでは済まないのではないか?」

「その意見はごもっとも。もう少し早く準備が出来れば末期手前でどうにか出来たんだけどね。懸念すべき点は別にあるかもしれない」


 その言葉に疑問符が思わず浮かび上がる。一体どういうことだ?


「いや…ともかく、当初の予定通り行こう。雪、いつも通りの作戦で」

「うん」


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