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「あれ、不惑ってデートだったの?」

「…漆羽」


 そう言えば本屋に行くって言ってたからな。可能性は零じゃ無かったよな。腕時計で時間を確かめてみると、二十分も経過していない。大手の本屋ならこのぐらいあっという間だよな、こん畜生!


「要くんと待ち合わせって言ってたよね…。カモフラ?」


 どんどんと妄想もとい予想が進んでいってしまっている。


「私はこんな人とは付き合わない。残念だけど勘違いよ」


 い…五十嵐さん?フォローならもう少しオブラートに包んだ感じでお願いします…。


「私はここの店長に頼まれてバイトの面接して叩き落としたところよ」


 なるほど、そう言う手で来たか。ならこっちにもサポートのしようがある。


「俺の財産も大分消費しちまったからな。少しずつ増やしてかないとな」

「そうなの?」


 怪訝そうな顔をする漆羽に追い打ちをかける。


「で、面接終わってから話してみたら要の彼女って言うから、要に連絡とってそこまで送るって話してここに来たんだよ」


 ある程度は出まかせだけど、この俺の発言に漆羽はなぜか食いついてしまった。


「要くんの彼女!?もしかして隠してたのってこのこと?」

「あ…あぁ、そうだけど」


 しどろもどろに返すと、目を輝かせて五十嵐さんへと視線を向けた。その好奇な視線に思わず身体をビクつかせる。


「ねね、要くんのどんなとこが好きなの?」

「え…えと…その…」


 こういうタイプの人とは話し慣れていないのか、顔を赤くして俯く。


「~~~~~!無理っ!」


 質問の答えがそんなに恥ずかしかったのか、走り去って行ってしまった。


「あ~、悪い漆羽、また学校で!」

「あ、不惑?」


 返事を待たずに追いかけていく。見失ったら明日のことをもう少し聞こうと思ったのに台無しだ。走って行った方向へと向かって行くが、昼間のショッピングモールは人が多くて逆らって向かうのは中々大変で、何とか見つけられたものの息切れがすごかった。


「…ごめんなさい、急に走り出して…」

「いや、別に構わないけどな。ああいう押せ押せなタイプと話すのは苦手そうだと思ったからな」

「…先輩の知り合いなの?」

「ああ、一応な…って、先輩?」


 思わず言われた言葉を繰り返してしまう。すると、さも当然の様に首を傾げて答えた。


「だって、先輩って二年生でしょ。私も同じ高校の一つ下って気が付かなかったの?」

「いやだって、二年とか三年の制服と違ったし…」

「今年からモデルチェンジしたの知らないの?」


 どんどん俺の知らない真実が出てくる。


「え、じゃあ後輩だったってこと…?」

「…知らなかったんだ。先生の話を聞いてないってことが良く分かった」


 辛辣な言葉が耳に痛い。そこを知らなかっただけで年下にここまで言われるなんてなんか理不尽な気がしてならない。


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