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「…何度読んでも変わらないな」

「そうだね…。でもあたしたちの記憶が正しければここの辺りが違うはず」


 夜の庵で、二人の影が見える。少年と少女の二人。ただ、背中には大きな翼。そこだけが影越しの二人の姿を異質なものに見せている。


「でも、もしもあの人たちにもどうにもならなかったらどうするの?」


 不安そうな少女の声。そんなのを気にした風も無く、少年が口を開いた。


「…なら、希望が見えるまで探すだけだ。いざとなれば、俺たちで道を創ればいい。そうだろ風花」

「疾風…」


 さも当然の様に言った言葉に少女―風花は苦笑い。


「…お前の幸が俺の幸だ。呪いさえ解けば、お前は…」

「疾風。それ以上は言わないで。つがいの呪いが解けても、繋がりは変わらない。そうでしょ?」


 風花の言葉に仏頂面だった少年―疾風がようやく表情を崩した。


「…そうだな。俺たちが『ヒト』になるために」


 密やかな熱意を秘めた面越しの視線に、風花もまた微笑を見せた。


「そうだよ。あたしたちは二人一緒にいるんだから。『片方の呪いが解けたらもう一人が解けるまで一緒にいる』って、約束したでしょ」

「…だな」


 疾風もわずかに表情を緩める。


「…もう遅い。早く寝ないと、体に毒だ」

「そうだね、気が付いたらもう二時だ…」


 壁に掛けられた時計を見て少し驚いたような風花に苦笑い。風花が布団に入ったのを確認し、灯明の火を消した。


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