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「で、まぁ簡単に言っちゃえば、明後日の伝承討伐に行くメンバーの顔合わせ的なものだったんだよ。ここに、依頼主の二人が追加ね」

「なるほど…。それで、その依頼主って?」

「天狗の二人だよ」


 要がそう言うと、ほんの僅かに眉をひそませた。


「…そう言えばうちの高校にいるって言ってたけ?」

「そだよ。その二人」

「…分かった。用件はそれだけ?」

「ざっくり言っちゃうとね」


 紅茶を口にしてそう簡潔に答えると、五十嵐さんはこっちを睨んできた。


「じゃあ、また明日。でも、私ちょっと彼と話してみたい」

「じゃ、ボクは一足先にお暇するね」

「寺島さん。凌を送って行って下さい」

「かしこまりました、お嬢様。要様、こちらでございます」

「それじゃ、またね、雪。不惑のことも家まで送ってあげてね」

「うん」


 そうして執事の人と退室していった。残されたのは俺と五十嵐さんの二人だけ。重苦しい空気が支配する中、やがて彼女の方から口を開いた。


「…あなたは、大分前から知ってる。凌がよく名前を出していたから」

「そいつはどうも」

「単刀直入に言ってしまうと、私はあなたが嫌いなの」

「それはまたストレートな軽蔑意思だな」


 何となく言われると思っていた言葉に同時もせずに紅茶を飲む。美味しい。


「だって、凌は話のネタ無くなるといつもあなたのことばかり…」

「そうなのか?確かに昔からよくつるんでたけどな」


 思い起こせば、小学校の時から二人で効率良く、なお且つ要領良く相手にいたずらするのかとかを議論や実践とかもしてたりしていた。…おかげで中学ではやたらと先生に監視されてたけど。


「私は、こんな家だから自由は少なかった。だから、唯一の楽しみは読書くらいしか無かった。その世界が壊れたのを知ったから、私は戦っている」

「…で、その立派な大義名分がどうしたんだ?」


 そう聞くと、きっぱりと殺意を込めた眼で睨んできた。


「凌は、こんなつまらない私に手を貸してくれて、しかも無茶をしないように止めてくれる。そんな凌のことをずっと前から知ってるあなたが憎いの」

「…そいつは俺にとっての褒め言葉だ。皮肉でも何でも無くな」


 一度区切って口の端をつり上げる。だって、ものすごい秘密を教えてもらったから。


「ま、幼馴染として教えてやると、それはお前さんのことを信用してくれてる証だよ。話題が俺になるのも、テンパって思い付いたこと言ってるだけだよ」


 そう言うと、五十嵐さんは眉をしかめた。綺麗な顔がもったいない。


「…言の葉ほど信用できないものは無い」


 その言葉に思わず肩を竦めてしまう。


「参ったな。じゃあ、どうすりゃいい?」

「―クライム」


 虚空に声をかけると、極々当然の様に現れた。


「何?…もしかして…」


 クライムが冷や汗を垂らす。何をしようとしてるんだ?


「私と手合わせしてもらう。私にその意思が伝わったら納得してあげる」


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