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「…今日は肉が安いか」
よし、今日は大量にカレーを作ろう。作り溜めしておけば二、三日は作らずに済む。
スーパーの特売を眺めてそう決める。取りあえずそれと非常食の代わりに甘いものを幾つか買って外に出ると。
「…最悪」
土砂降りの雨が降っていた。傘を持ってきていて一応は助かったか。
「どうしよう…」
傘を開こうとしたら、何やら近くから声がした。見れば同じ高校の服を着た男女二人組だった。
「…どうする、風花(ふうか)。雨を凌ぐ物は無いぞ」
「うぅ、分かってるよ疾風(はやて)。でも、濡れるのは…」
そのやり取りを見てふと思い出したことがあった。あの二人は『自称天狗』だ。いつもよく分からない面をつけ、二人で行動をしなければならないというよく分からない二人組だ。確かに鼻も長いし、背中に翼があり、そう見えなくもないが。赤っぽい面が女子で、くすんだ緑っぽい面の方が男子だったと要から聞いたことがある。
「困ってんなら使うか?」
知らぬ間に何故か声をかけていた。困ったことに、めんどくさがりなのに他人に構ってしまうのが自分の悪い癖だとつくづく思う。
「えっと…どちら様?」
「あちら様とボケたくなるな。傘使うかって聞いてんだよ」
どこか一線違うような返事に苦笑いすると、男の方が進み出た。
「…いいのか。見たところ、お前にも荷物があるようだし、傘は一つしかなさそうだが?」
どうやらこっちの方は話が通じるらしい。
「いいよ、どうせ俺は家も近いし、濡れて困るものも入って無い」
本当はカレーのルーが入っている箱があるが、まあ平気だろう。
「…なら、厚意に甘えておこう。感謝する」
「あ、あの…ありがとうございます!」
ぴょこんと飛び跳ねるように頭を下げる動作に苦笑いして傘を渡す。
「…感謝する。…では」
そう言って雨の中に消えていく二人を送見る。
「さて、俺も帰るとするか」
気合いを入れるためそう呟くと、雨の中に飛び出した。




