第八回:音フェチ学
視聴覚室で耳イキを体験する二人
その日、変態学の講義前に準備室に女性講師二人の姿が無かった。
不審に思った男性講師二人はあらゆる場所を探した。
信用が無い為、個人的な情報は一切教えて貰えず連絡が取れなかった為、
学校中を探し回った。
すると、視聴覚室を暗くして椅子に深く腰を落としている二人を発見した。
しかしどうやら様子がおかしい。
単に音楽を聴いたり映画を視聴しているだけにしては、やけに色っぽい。
軽く「あ・・・」などと嬌声を上げながら内股をモジモジとさせている。
その内、「あぁ・・・!!」と絶頂に達するような素振りを見せたりした。
男性講師達はその様子を見てすぐにでもヌきたくなったが、強く我慢した。
もうあと5分で講義が始まるからだ。
やがて十分に満足した女性講師達はヘッドホンを外して男性達に気付いた。
「ちょっと・・・勝手に入って来ないでよ。」
「お前ら・・・『見た』のか?
許せんぞ・・・地球の裏側まで吹き飛びたいか?」
非常に不快感をあらわにした二人だったが、男性講師達は弁明した。
「いやいや、不可抗力だって!!
そもそもあんなものを講義前に見せられてしまって、
ヌきたいのにヌけない、僕らだってこれから地獄のような90分だよ。」
よく考えてみれば部屋の鍵をかけていなかった自分達が悪いと、
女性講師達は今回の件を『無かった事』にする事を条件に許す事にした。
もちろん今夜以降のオカズに使われる事は当然だが、それは仕方ない。
そうして四人は揃って講義室へと向かった。
銀髪長身の美女リリアーヌが講義を始めた。
「えー、今回の変態学講座各論は『音フェチ』です。
コレにはもちろんASMRや声フェチ等も含まれます。
皆さんは、好きな音はありますか?」
「大根をサクサク切っている音が気持良い!」
「女児がおしっこをしている時の音が最高!」
「電車内で我慢出来ずに出した屁の音が好き。」
様々な音フェチの様子が確認出来た。
「まぁ、今皆が言ってくれたように一口に音フェチと言っても
その内容は多岐に渡る。だから、これを一概に語る事は難しい。
ただし、概要だけは述べる事が出来る。
何故人は音フェチになるのか?それは、五感として大切な器官、
耳はあらゆる情報の精査を司る部位であるからだ。」
そこへ青髭が逞しい青日下が茶々を入れる。
「性差!?
要するに、チ〇ポとま〇〇の匂いには差がある、みたいな話か!?」
しかし、リリアーヌがどこからともなく取り出したバットで
青日下は窓ガラスをブチ破り向こうの山の方まで飛ばされた。
「えー、耳という器官が敏感である事と、何故敏感であるのか?
それは、例えば電話口だけでも相手がどのような人物であるのか、
生殖するのに相応しい健康体なのか?と言った事を視覚が無くとも
聴覚だけで判断出来てしまう為に耳も優秀な器官なんだ。
むしろメイク等で誤魔化しが効きやすい視覚に比べて、声と言うのは
誤魔化しが効き辛いからな、声が好きな相手とは上手く行くかも知れん。
他に音フェチであればそうなる理由は条件付けだな。
心地良い環境で流れていた曲等は良い思い出に繋がっている為、
条件付けされて良いものとして記憶され易い。」
オレンジ色の全身タイツを巨躯に纏った村古木が素朴な疑問を投げた。
「あの、常に音フェチは性的な関心にだけ向けられているの?
ボクなんかはただ心地良いからASMRを聞いているんだけど。」
「もちろん、性的なものにだけは限らないぞ。
リラックスや入眠の為に音を上手く使う人も多い。
つまりは匂いフェチだってハーブ等の良い匂いがあるように、
フェチと言っても一般的な健全な趣味嗜好から分岐しただけの
人間の本能的な行動に近しい部分も多分にあると言う事だ。」
「工事現場のドリルの音を聞いたらチ〇ポ勃つヤツとかいるのかな?」
「それは日常生活が大変だと思うが・・・いないとも言い切れないな。」
「じゃ、じゃあ、鳥のさえずりで射〇しちゃう人は?」
「おい、村古木~・・・お前、しょうもない質問ばかりするんじゃない。」
村古木は小さく『ヒィッ』と悲鳴を上げながら、屁を漏らしてしまった。
「音フェチに関しては、珍しく男よりも女性の方が顕著な反応を示すな。
コレは女性が男よりも五感が優れているからだと言われている。」
「え、でも女子高生のシューズを嗅ぎ分ける能力はボク達男の方が・・・」
「お前ら特殊な事例だけを男代表みたいな風にして表現するな!
それで、同じ声フェチ仲間として暗部の意見はどうだ?」
いきなり話を振られて、暗部は焦った。
「あ、え、えぇ!?私・・・あぁ、そっか講義だもんね。
何て言うか・・・好きな声を聞くだけで濡れちゃったりするのは
恥ずかしいって言うか・・・声だけで支配されちゃうのはちょっと
情けなさ過ぎて恥ずかしいなって思います・・・。」
「かなり個人的な主観が入っている意見だが、まぁ確かに声フェチの
一つの貴重な意見として講習生の皆に聞いて貰えて良かったな。」
「ふぇ!?あ、そ、そうだった!!
やっぱ今のナシで!!私、なんでこんなとんでも無い事を・・・
リリアーヌさんが誘ったからダメなんですよ!?
『イケメンASMR~すぐに耳イキ出来る天国体験』なんて、
あんなもの学校で体験するものじゃないですよ!!
汚れたパンツまだ洗えてないんですからね!!」
「いや、暗部落ち着け。だから何度も言うが、講義だぞ?」
「あ”ぁーーーー二”ャア”ァ”ァ”ァ”ーーーーー!!!!
ダメだ、今日私はこの講義に居てられないーーー!!!!」
暗部はそのまま講義室を飛び出して行ってしまった。
青日下が言葉を挟む。
「俺のションベンの音とか、ASMRで販売したら売れないかな?」
「いや、売れるはずが無いだろう・・・。
だがな、そうとも言い切れぬのがこの界隈でな。
音だけだから外見はわからぬのだから、例えば『JK聖水の音』として
売り出せば売れなくはない可能性があるんだ。詐欺だがな。」
「ヒャッホォーウ!!!!
じゃあ早速、ションベンの音録音して来るぜ!!」
そう言って意気揚々と青日下は講義室を飛び出して行った。
「えー、講師が二人、半分も飛び出して行ってしまったが、
まぁ音フェチはかなり奥が深いからな、今回の講義はあくまで
触りだけしかやれていない。もし今後、もっと深堀して
その歴史や関連する事件等、興味深い研究を発表できればと思う。
いやそれにしてもこの部屋、ちょっと冷房が効き過ぎじゃないか?」
それに対して村古木が答える。
「いや、冷房温度設定はいつもと同じだと思うよ。
ただ、リリアーヌちゃんが股間が濡れてるから寒く感じる
だけじゃないのかな?」
突然、リリアーヌは顔を真っ赤に染めて、一瞬悩んだが、
結局は彼女もたまらず講義室を飛び出して行ってしまった。
一人残された村古木は困惑しながらも、講義生達に言った。
「えー、それでは匂いフェチも音フェチも楽しめる最高のショーを披露して
今回の講義を終えたいと思います。
それでは皆様、鼻と耳のご準備をお願いします。」
そう言って村古木がマイクを尻に近付けた瞬間、講習生達は逃げ出した。
だがしかし、時既に遅かった。
『ブッ、ブリブリブリブリプゥ~・・ブブッ、ぷふぅ===』
講義室中に『もわっ』と異臭が漂う。
講習生達はバタバタと倒れ込み、それにより逃げ遅れた者達は
バリケードのようにして前に進めなくなる。
こうして村古木の放屁テロにより多くの講習生達が犠牲となった。
村古木は一言「バイバイプー」を残して部屋を後にしたのだった。




