第十一回:ドラゴンカーセックス学
車に対して必死に腰を振るドラゴン
「さて、皆さんは『ドラゴンカーセックス』をご存知だろうか?」
青日下が突然とんでも無い単語を紹介して、講義室がザワついた。
「何だそれ、意味わかんねぇ。」
「ドラゴンが犯すのは町や城だろ。」
「車の中に人がいたらどうするんだよ。」
心無い言葉達が飛び交う中、青日下は続けた。
「コレは実は、変態性の規制と言うテーマで非常に重要な示唆を与える
大切なテーマなんです。」
いつにも無く講師然とした青日下の態度に講師陣は驚いている。
暗部が声をかけた。
「あの、青日下さん・・・今日はやけに真面目ですね。
やっぱり変態学に対して国からの助成金が貰えなかったから、
反省したとかですか・・・?」
「ふふ、こうやって真面目なフリをしていれば、
深夜子ちゃんから好意を持って貰えるかな、って思ってさ。」
「あ、何だそういう事・・・。
絶っっっ対に、ならないですから(汗)」
暗部は冷ややかな目線を送り、顔を背けた。
「ま、まぁそれはさておき、ドラゴンカーセックスとは文字通り
ドラゴンが車と性交をするというものです。
これでヌける人、この講義室にいますか?」
誰も手を挙げない。当然の事であった。
オレンジ色の全身タイツの巨躯に狐面の村古木が言った。
「そんなのに欲情出来るのは、もう世の中のあらゆる変態性癖を極めた
仙人みたいな人じゃね?」
それに銀髪長身の美女リリアーヌが反論する。
「いや、むしろそこまで行くと悟っていると言うか、
もう世の中のあらゆる変態性に対して興奮しないのでは無いか?」
二人の言葉をウンウンと気持ちの悪い笑顔で聞きながら、
青日下は話を続けた。
「まぁ、実際の所はおそらくこんな性癖はありません。
もちろん、広い世界の中には居ないとは言い切れませんが
居たとしても一人か二人・・・もしくは10人とか50人、
もしかしたらいても100人とか、そんなレベルでしょう。」
「やけに数字がブレるな。」
リリアーヌがツッコみを入れる。
構わず青日下は講義を続ける。
「実はドラゴンカーセックスが生まれた背景には、
変態性癖に対するネット上の規制強化が関係しています。
元々規制が激しかったアメリカにおいて、規制が出来ない
このようなジャンルがカウンターカルチャーとして出来上がりました。」
それに暗部が少し寂しそうな顔をして応えた。
「そっか、実際には存在しない性癖なんだね、ドラゴンカー・・・。」
しかしそれに対して青日下が青筋を立てて怒り立てた。
(他の部分も勃っていたかも知れない)
「おい、深夜子ちゃん!!
大事な部分をボカすな!!
ちゃんとドラゴンカー『セックス』まで言えよ!!
ほら、感謝の正拳付き100回みたいにして、
セックス100回言えるかな?ポケモン言えるかなのノリで、
言っちゃえYO!!」
あまりに悪ノリが過ぎる青日下の脛毛を、リリアーヌがライターで燃やす。
「あ”、あっぢぃーーーー!!!!!
リリアーヌちゃん、止めて!!マジでそれは洒落になんないからー!!」
ここからはリリアーヌが講義を引き継いだ。
「まぁ、先程の表現規制の結果というのはネタなんだ。
実際には本当にこうした性癖が存在し、そのためのイラストとして
投稿されたものが世間にこの性癖の存在を知らしめたんだ。
そもそも自由の国アメリカでは60年代以降に児童ポルノ以外は
表現への規制が緩くなった為、規制が厳しくなった事実も無い。
リリアーヌが講師を代わった事により、暗部が安心して質問する。
「だけど、一体どうしてこんな性癖があるんですかね?」
「うむ、最もな質問だな。
コレは少々複雑なんだが、まず元々人外フェチというものがある。
通常であれば性欲の向く対象は同じ人間だ。
だが中にはロボットや動物といった人外の存在に欲情する者がいる。
更には巨大フェチというものも存在する。
自身の理解が及ばないほどに圧倒的な存在やそのスケール感、
様々な要因でそうした巨大なものに欲情するフェチだな。」
「本当に世の中、色んなフェチや変態性癖があるんですね。」
「あぁ。だから、お前のような童顔幼児体型にも需要がある。」
「ちょ、リリアーヌさん!!
イジる意図も無いんでしょうけど、それ止めて下さい!!
私結構これでも本気で悩んでたりするんですよ!!」
「あぁ、そうか、すまんな。
まぁそれにしても、こうした少数性癖を持つ者は同じように
悩んでいるかも知れないな。何せ供給量が少ないんだ。
自身の性癖を満たす事がそもそも困難だろう。」
「それは確かに、そうですよね・・・。」
村古木がここで発言した。
「だけどさ、ドラゴンってかなり激しそうだよね。
車って、その激しさに耐えられるのかな・・・。」
「軽では無理だろうな。」
リリアーヌが答える。更に続けた。
「やはり耐久性を考えるとドラゴンカーセックス向きなのはボルボだ。
後は車と言えるかはわからないが戦車も良いんじゃないか。」
「な、何かやけに考察がガチってるね、リリアーヌさん・・・。」
「講師をするのだから当然だろう?
それにこうしたあり得ない設定を考えるのは面白いじゃないか。
確かに性癖・フェチを理解されずに苦しんでいる者もいるが、
基本的には変わった性癖はそれを笑い飛ばしネタにするくらいで良い。」
「まぁ、そもそも理解出来ない性癖に寄り添う事は出来ないワケだし、
そっとしておくと言っても知ってしまった以上、
何らかの関心を向けざるを得ないもんね・・・。」
二人のやり取りを聞いて、暗部が妄想全開で乗り出した。
「そもそもドラゴンの白濁液って価値あるんですかね。
よくファンタジーの世界ではドラゴンの鱗が武器に加工されたり
ドラゴンの瞳が魔法の効果があったりするけれど、
白濁液は・・・さすがに価値は無いかな?」
「美味だぞ。」
突然リリアーヌがサラッと答えた。
「えぇ!?リリアーヌさん、だってドラゴンは想像上の生き物で・・・。」
「ここにあるんだ。飲んでみるか?」
「えー・・・いやいやまたまた、冗談を・・・」
「身長が伸びるぞ。
私みたいに188cmの美女になりたくないのか?」
「あ、飲みます(キッパリ断言)」
そうして暗部はリリアーヌから渡された白濁液を飲んだ。
「何だろコレ・・・味は牛乳みたいだ・・・。」
「あぁ、牛乳だ。ドラゴンの白濁液なんてあるワケが無いだろう。」
「え、ちょ、リリアーヌさん、真顔で言わないで!?
冗談なのか何なのかわかんないよ(困惑)」
「まぁ、変態性癖との関わり合いはコレくらいで良いと言う事だ。
それにホラ、牛乳を飲むと身長が伸びると言うだろ?
アレも最近では否定されているようだがな。」
そこへ暫く蚊帳の外になっていた青日下が割り込んで来た。
「オイオイオイオイ、深夜子ちゃんに白濁液を飲ませるなら、
俺のを飲ませなよ!!
味だって匂いだって、俺のが一番に決まってるんだからさ!!」
リリアーヌが間髪入れずに応える。
「あぁ、一番『不味くて臭い』と言う意味だな。」
「ひ、ヒドゥイ!!」
こうして現実にはあり得ないシチュエーションの変態性癖に関する講義は
賑やかに軽やかに冗談のように過ぎて行った。
変態とは奥が深い、講義生達の誰もがそう思った講義だった。
そして講義生の中に一人、今回の講義を受けて目覚めてしまった者がいた。
「ドラゴンカーセックスか・・・何だか興奮するな。
そうだ、今日家に帰ったら画像を検索してみるか!!
よーし、今日は3発はヌくぞー!!」




