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前世で笑われた解体師の俺、1000年後に転生したら素材知識が世界唯一の宝になっていた件  作者: いなばの青兎
第2章 王都と記録帳

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第17話 記録の行方

 ガルダが管理人アールの背後を調べるのに、三日かかった。


 「宝物庫の閲覧記録を別の帳面に転写して保管している人間がいます」とガルダが言った。「アールではなく、その上の立場の人間です。王城の記録管理を統括している部署——王立書記局という組織です」


 「書記局」


 「はい。書記局の中に、記録帳の閲覧履歴を一元管理している者がいます。公式の閲覧記録とは別に、非公式の記録を持っている。アールはそちらに情報を流していた」


 「非公式の記録を持つ目的は」


 「対象者の洗い出しです。封印核に関心を持つ人間を追跡していた。二年前に宝物庫を訪れた研究者も——」ガルダが紙を出した。「名前は「ヴォン」。肩書きは「独立研究者」。住所記録は偽のもので、現在の所在は不明です」


 「ヴォン」と俺は繰り返した。「知らない名前です」


 「千年前の記録には出てきませんでしたか」


 「記録帳には出てきませんでした。ただ——カーラという人物の周辺にいた可能性はあります。記録帳に書かれなかった人間がいたとしても、おかしくない」


 「書記局に属している可能性もあります」とガルダが言った。「あるいは、書記局を利用している立場の人間か」


 「その人物が制御方法の帳面を持っているとしたら」


 「どちらかです——持っているか、知っているか」


* * *


 ソフィアに報告した。


 「書記局が絡んでいるとなると、王城内部の話になります」とソフィアが言った。「表立って動けない。慎重に進める必要があります」


 「ヴォンという人物の所在を探す方法はありますか」


 「書記局に問い合わせると、向こうに知られる可能性があります。別のルートで——」


 ソフィアが少し考えた。


 「書記局に知人がいます。中立の立場の人間ですが、情報は取れるかもしれません」


 「お願いします」


 「時間がかかります。一週間、ここで待てますか」


 「待てます」


 「その間に、王都周辺の新種調査を続けてください。こちらもギルドとして情報を整理します」


* * *


 待っている一週間、俺は文書館に通った。


 二十三冊は全部読んだ。だが文書館には他の資料もある。大消失以前の地図、遺跡の記録、旧種の目撃報告——それらの中に、封印核に関する断片が隠れているかもしれない。


 三日目に、ガルダが珍しく足早に来た。


 「見てください」


 文書館の別の棚にあった古い地図を広げた。大消失以前の地図で、ダンジョンの位置が全て記されている。


 「これを見ると——」ガルダが指で線を引いた。「各地のダンジョンが、ある位置関係に従って配置されています」


 「等間隔ですか」


 「等間隔ではありません。でも、六角形のパターンで」


 俺は地図を見た。


 確かに——ダンジョンの位置を線で結ぶと、大小の六角形が浮かび上がる。


 「封印核の文様と同じだ」


 「そうです。封印核の文様は螺旋と六角形の組み合わせ——ダンジョンの配置が、大きな封印核の文様をなぞっている」


 「……ダンジョン全体が、一つの封印装置だったということですか」


 「仮説ですが、そう考えると全て辻褄が合います。各ダンジョンの封印核が同調したとき、それが大消失を引き起こした。ダンジョンの位置が六角形のパターンに従っているなら——」


 「制御するときも、同じパターンに従う必要があるかもしれない」


 「そうです」


 俺は地図を見た。六角形のパターンが、この世界の地図に広がっている。


 前世の記憶の中に、何かが動いた。


 「……」


 「何か出てきましたか」とガルダが言った。


 「まだ、断片だけです。でも——ダンジョンのパターンを見たとき、何かが重なった」


 「制御方法の記憶が」


 「近づいている気がします。もう少しで——」


 エリカが調査室に入ってきた。


 「ソフィアさんから連絡が来ました。ヴォンの手がかりが見つかったそうです」


 俺は地図から顔を上げた。


 「どこにいますか」


 「王都の東にある村——「オルム」という小さな村に、二年前から住んでいるらしいです」


 「行きます」


 「今日ですか」


 「明日、準備して出発します」とガルダが言った。「地図も持っていきましょう。ヴォンに見せる必要があるかもしれない」


 俺は地図を折った。


 千年前のカーラが置いていったかもしれない封印核の設計図——それが今、俺の手の中にある。


 ヴォンという人物が何を知っているのか。制御方法の帳面を持っているのか。


 答えに近づいている。

ブクマや評価をいただけると、続きの執筆がすごく捗ります。

楽しんでいただけたら、ぜひ応援してやってください!

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