第7話
「そこで止まって。撃つよ」
「あらあら、ひどい方ですね。わたくしはただお話がしたいだけだというのに」
「話ならそこからでもできるでしょ」
「……」
女性はノアから一瞬目線を横にそらす。
「あら、そちらの方は話すことができないのですか。かわいそうに、わたくし達なら直して差し上げるのですが」
「……!」
タンッと銃声が響く。ノアが女性の足元に向かって発砲した。ベラのデリケートな部分に触れられて、ノアは完全に不機嫌になる。
「メイドのくせに、人のプライベートにズカズカ踏み込むのは失礼だって知らないんだ?」
「申し訳ございません。なにせこの格好はご主人様の趣味というだけであって、わたくしは本物のメイドではないもので」
女性はノアに向かって笑顔を向け続けるが、ノアは女性を睨むばかりだ。
『二人とも、今新しい脱出ルートを送ったわ。隙を見て逃げなさい。そいつには勝てないわ』
隊長は、ノアが女性と話し続けて時間を稼いでいる間に新たなルートを見つけて二人に送った。
そのことを通信で伝えると、女性が皆を驚かせる言葉を吐く。
「あらあら、逃げようとなさるなんて。隊長様、わたくし悲しいです」
『……通信が聞こえているの? それに、私のことを知って……?』
「ええ、もちろん。逃げようとしても無駄だということを理解していただけると幸いです」
『……』
「……」
皆が警戒して話さなくなる。そこで女性の方から話し始める。
「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね。わたくしの名前はシャリアと申します。以後お見知りおきを」
『シャリア、なにが目的?』
「たいしたことではありません。わたくしの目的はあなた方に例の依頼を受けていただくことだけだったのです。
そのために、報酬金も限界まで引き上げたというのに」
『……それだけ?』
「えぇ。だというのに、あなたたちの警戒心のおかげで余計な仕事が増えてしまいました。
ふふ、ちゃんと誉め言葉ですよ」
『じゃあその優秀な私たちのためにここは見逃してくれない?』
「えぇ、もちろん。依頼を引き受けてくれさえすれば、何も問題はありません」
『……分かったわ。ちなみに、あの箱の中身は何か聞いてもいいのかしら?』
この質問を受けてシャリアは笑いながら答える。
「わたくしにはお答えできかねます。気になるなら、ご自分で調べてみるのもまた一興かと」
『……依頼、受けたわ』
「確認いたしました。あとは依頼通りに、あの箱を運んでください。」
隊長が依頼を受けたことを確認すると、シャリアは頭を下げて丁寧にお辞儀した後、工場の外に向かって歩いていく。
「では、次は通信越しにではなく、直接お会い致しましょう。隊長様」
『……次はないわ』
シャリアが完全に工場の外に出ていくのを確認してから、ようやくノアが口を開く。
「隊長、あいつ何者だと思う?」
『さぁ。ただ、危険ね。私のことも知っているようだったし、おそらくあなたたちより強いわ』
「……そっか」
「……」
『ノア、ベラ、依頼通りに箱を持っていくわ。コテナ号までの運搬は頼んだわよ』
「了解」




