第三話 苦悩のオープン初戦とプラスの開幕一軍
オープン戦を迎えた阪神の初戦相手は、福岡ソフトバンクホークスである。
そこに有原は、プロの厳しさを直面することになる。
一方、広島の初戦相手は東北楽天ゴールデンイーグルスである。
山本も、プロの厳しさに直面することとなる。
【第3話】登場人物
有原悠輔(主人公・阪神タイガース新人選手)
山本康太(ライバル・広島東洋カープ新人選手)
林 和也(ライバル・読売ジャイアンツ新人選手)
馬場和樹(ライバル・中日ドラゴンズ新人選手)
尾崎孝則(主人公のチームメイト)
狩野 仁(主人公のチームメイト)
篠塚正典(主人公のチームメイト)
赤井直介(主人公のチームメイト)
横山慎二郎(主人公のチームメイト)
山原和弘(主人公のチームメイト)
アンディ・ウォーカー(主人公のチームメイト)
マイク・ジョンソン(主人公のチームメイト)
マシュー・ジョーンズ(主人公のチームメイト)
有原雅代(主人公の母)
有原忠志(主人公の祖父)
船瀬三桜(新人女優・主人公の恋人)
橘 春(イラストレーター・ライバルの恋人)
萩原剛志(記者)
千秋 楽(記者)
上川 敏(阪神の監督)
金田 治(広島の監督)
畑岡貞雄(阪神の打撃コーチ)
小早川浩二(広島の打撃コーチ)
三上源三(阪神ファン)
その他
【本編】
春季キャンプを終えてから数日間、ひたすら素振りを続けた有原は開幕1軍に向けて、オープン戦を迎えた。
調整を始まったばかりだが、有原は冷静にバッターボックスに入る。
第1打席は、緩急による三球で見逃し三振に倒れる。
第2打席も、変化球のキレによって今度はセンターフライで倒れる。
そして、第3打席も空振り三振で倒れる。
有原は3打席0安打で大きな不振だが、試合は辛勝である。
試合後、プロの厳しさを思い知られた有原は大きく落ち込んでいると、
上川監督から「最初は誰にだって思い知られることはよくあることだ。
だがな、このままでいると本当の力が見失うぞ」と発破をかけるような声かけだった。
その後、彼はホテルの部屋で悔しさを噛み締めながら素振りをしていた。
同じ頃、源三は動画撮影で試合については狂喜乱舞だったものの、
有原については、暴れ狂いながら「なんで内角の変化球に空振りやねん!」と
叫んでいるかのように叱責した。
その後、彼は鍛えた素振りで初戦とは全く違う活躍で、開幕一軍の切符を手に入れた。
(2戦目 4打数4安打 2本塁打 3戦目 5打数4安打 4本塁打)
この時、彼のホームランを見た狩野は悔しがりながら呟いた。
「(あいつはもう、ドラマを作りやがるな…)」
同じ頃、ベンチにいるウォーカーとジョーンズは有原に上川監督や畑岡コーチの前で、毎晩のように素振りをひたすら繰り返しているのかを聞くと、彼が書いた「未来」に向けた一つの決意として、ホームランを打った日も、ヒット一本打てなかった日も、必ず素振りをしている。
打った日は誇らしいが一歩間違えると慢心に結び付いてしまうことや、逆に打てなかった日は落ち込んでしまい一歩間違えれば、気持ちが腐ってしまう。
そのどちらも「未来」へプラスになるためには、悔しさを「過去」ではなく「未来」へぶつけることだと答えると、二人は真顔で噛みしめるように頷いた。
(今季オープン戦 12打席8安打 6本塁打)
この結果を見た源三は「ここからが本番や!」と気合を入って投稿した。
その夜、部屋で素振りをしていた有原は、三桜からの電話が届いた。
「悠輔君、明日って行ける?」
有原は、嬉しそうに応えた。
「行けるで、どこに行きたいんや?」
「明日は映画を見に行こうと思ってるんやけど、どう?」と尋ねると、
有原は「そら、ラブコメの映画よ」と一発回答でありながら喜んだ。
翌日、映画鑑賞デートの後に偶然源三と会った。
「有原やないか!」
「あれは、さっきの源さんやないですか!」
有原は驚きを隠せず、三桜は困惑していたがデートは成功に終わった。
寮の部屋に戻った有原は、ひたすら素振りを続けていくと横山が入って来た。
「なかなかいいスイングをしているようだね、有原君」
横山は、何気なく張り切ったかのように有原を評した。
「誇らしい気持ちでやらないと、意味がないので」
無表情で涙を流しながら答えると、横山は静かにうなずいた。
「いい心掛けだよ、しっかり練習を取り組むんだ」
「(俺は、ホンマのホンマにプロの選手や!)」
そう、彼は既にプロ野球選手である事を自覚を持っていた。
一方、緊張感をもってバッターボックスに入った山本はバックスクリーンを見つめた。
第一打席は、2球目で内角低めのストレートを捉えレフトスタンドにぶち込むが、第二打席以降は緩急による投球術で空振り三振に倒れる。
(4打席1安打 1本塁打)
なお、試合は投球術に苦しんだカープは惨敗に終わった。
試合後、彼もプロの厳しさを教えられたのは有原と同じ悔しさを感じていた。
「(このままじゃ、開幕2軍になりそう…)」と危機感を募っていた。
その後山本も、別人のような活躍で開幕一軍となった。
(2戦目 5打数5安打 1本塁打 3戦目 5打数3安打 2本塁打)
(今季オープン戦 14打席9安打 4本塁打)
翌日、彼はファンクラブのサイン会を開き4万人以上の広島ファンにサインした。
その中には、ある女性と出会うこととなる。
「ボールで、ここにサインをください」
そう彼女の名は、橘 春である。
幼少時代から合気道をはじめ、全国大会での優勝経験者を持つ。
現在はイラストレーターとして、仕事を従事している。
また、記者会見でオープン戦の有原について聞かれたときは、神妙付きな顔で語った。
「僕と同じ結果になったと思いますけど、シーズンが始まったら、僕が新人王と三冠王を取ります」
気合いを燃える彼は、一体どんな結果を残すのだろうか。
広島ファンにとっては、かなり興奮と期待を高まっている。
ちなみに、林も馬場も無事に開幕1軍を迎えた。
(林はパーフェクトな投球を披露し、馬場はリリーフとして使えると監督が判断した。)
やはり、これからの活躍が楽しみだろう。
開幕戦の前日
有原は、京セラドームの室内練習場で上川監督や打撃コーチの畑山貞雄の前で
トスバッティングや素振りを繰り返していく。
それは、入団直後から畑岡コーチによる打撃の基礎を作り上げていた。
また野球道具を大切に扱うことも有名であり、特に毎日スパイクを洗ったりグラブを磨いたり、さらにバットケースの置き方など配慮していることもあった。
ちなみに、母と祖父が京セラドームの近くにあるホテルにいる。
「これからの悠輔君が、ホンマに楽しみやな」
「そうですね、悠輔がどんなデビューになるか楽しみですね」
一方東京ドームにいる山本は、打撃コーチの小早川浩二による選球眼や広角打法などの練習の後に、ゲームセンターで春と落ち合うこととなる。
その後は、何をゲームをしていたのかは誰も見ていなかったという。
こうして阪神と広島はオープン戦を無事に終え、シーズンを開幕に迎えることとなった。
萩原と千秋が、京セラドームで楽しそうに呟いた。
「これからが楽しみだな、千秋…」
「ええ、特に有原君のデビューですよ、先輩…」
ちなみに萩原と千秋は、昨年の11月からスポーツ紙の阪神の担当記者になっている。
*この作品はフィクションです。
登場人物や事件などすべて架空です。




