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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第4章:「還る場所、還らないもの」
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第96話 もう、止めるつもりがない

 澪は結界を保ったまま、セリオンから目を離さなかった。先生が準備を整えたと告げてから、まだ何も終わっていない。むしろここからが本番だという緊張が、澪の背筋を強張らせていた。


 ⸻


 先生の呼吸が、少しずつ変わっていく。壁の術式の光が、これまでとは違う色を帯び始めた。

 遠く離れた場所にあるはずの5つの神殿が、目に見えない糸で結ばれていくような感覚があった。澪自身には術式のことは分からない。それでも、肌に触れる空気の質が変わっていくのを、確かに感じ取れた。

 ルーヴェ村。そして、名前も知らない残りの村々。

 それぞれが遠く離れているはずなのに、今、同じ何かに応えようとしている。


 ⸻


 セリオンは、相変わらず動かなかった。

 澪はその沈黙を、警戒していた。何か言葉を発するか、あるいは最後の抵抗を見せるか。身構えていたが、セリオンは何も言わなかった。

 フードの奥から、四人と先生を見ているだけだった。

 もう、止めるつもりがないのかもしれない。

 澪の中に、そんな考えがふと浮かんだ。理由は分からない。それでも、目の前の沈黙は、そうとしか思えないものだった。


 ⸻


 先生が、ゆっくりと顔を上げた。零司、楓、瑠奈、そして澪の顔を、一人ずつ順に見ていく。

 零司が小さく頷いた。楓も、瑠奈も、それぞれ無言のまま頷き返す。

 澪は結界を保ったまま、最後にもう一度セリオンを見た。それから、先生に向かって頷いた。


 ⸻


 壁の術式の光が、静かに、しかし確実に強さを増していく。5つの場所すべてが、今、繋がろうとしていた。

 セリオンはまだそこに立っていた。しかし、もう手を伸ばそうとはしなかった。

 通路には、これから起きることを待つだけの、静かな緊張だけが満ちていた。

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