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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第4章:「還る場所、還らないもの」
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第93話 繋がった、と思う

「その辺の場所じゃ、繋がらないと思う」

 先生の言葉に、四人は顔を見合わせた。

「術式の中枢に近い場所じゃないと……たぶん、星冠の塔」

 澪が息を呑んだ。「戻るんですか、あそこに」

「他に、方法がない」

 先生の声は静かだったが、揺るがなかった。


 ⸻


 楓がマッピングを開き、塔までの道筋を確認する。追っ手を避けながら進める経路は限られていた。

「裏手から、地下の通路を使えば」

 瑠奈が先行し、物陰から物陰へと四人を導いた。会話はほとんどなかった。息を潜め、足音を殺しながら、来た道を逆に辿るように進んでいく。

 塔の裏手に近づくにつれ、空気が変わっていくのを零司は感じた。前に来た時と同じ、無機質な冷たさが肌を刺す。


 ⸻


 地下の一角、術式の刻まれた壁が続く場所に辿り着いた。先生は壁に手をつき、目を閉じた。

「ここなら……」

 呟くように言うと、先生は意識を集中させ始めた。

 澪が結界を張り、瑠奈が通路の先を警戒する。楓は先生の傍に膝をつき、鑑定で状態を見守った。零司はいつでも力を送れるよう、先生の隣に控えた。


 ⸻


 先生の呼吸が、次第に浅くなっていった。額に汗が滲む。指先が小さく震え始めた。

「まだ、繋がらない……」

 苦しげな声だった。壁の術式がわずかに光を帯びる。しかしそれ以上、何も起こらなかった。

 時間だけが過ぎていく。楓が鑑定の結果を確認し、小さく首を振った。

「先生、無理は……」

「大丈夫」

 先生は目を閉じたまま、遮るように言った。


 ⸻


 やがて、先生の表情がわずかに変わった。

「感じる……遠くに……」

 微かな声だった。五芒星の輪郭のようなものが、意識の端に触れたのだろう。5つの神殿の気配を、1つずつ辿っているような、そんな沈黙が続いた。

 しかし同時に、先生の身体が大きく傾いだ。楓が慌てて支える。

「危ない……機関の方に、引っ張られそう……」

 零司はその言葉を聞いて、すぐに動いた。

「先生」

 体力魔力共有のスキルを発動する。自分の中の力が、先生へと流れ込んでいく感覚があった。澪と楓と瑠奈も、それぞれの形で先生に手を伸ばした。澪が肩を支え、瑠奈が手を握り、楓が声をかけ続けた。


 ⸻


 先生の身体から、力が抜けていく。それでも、意識だけは辛うじて繋ぎ止められているようだった。

 長い沈黙の後、先生が大きく息を吐いた。ゆっくりと目を開ける。

「繋がった、と思う」

 声はかすれていたが、確かな響きがあった。

 その瞬間、通路の奥で何かが動く気配がした。瑠奈がはっと顔を上げ、警戒するように身構える。

 足音が、少しずつ近づいてきていた。

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