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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第4章:「還る場所、還らないもの」
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第92話 適性者としての力

 夜が明けきらないうちに、瑠奈が戻ってきた。息を切らしていた。

「増えてる。神官と兵士……周りに、何人もいる」

 その一言で、部屋の空気が張り詰めた。澪が窓の隙間から外を確認する。楓は先生の傍に寄り、様子を窺った。

「監視を止めたこと、いつバレてもおかしくないですよね」

 澪の声には、隠しきれない焦りがあった。


 ⸻


 零司は先生を見た。少し前に言いかけて、そのまま口をつぐんだ言葉のことが、ずっと頭に残っていた。

「先生」

 呼びかけると、先生はゆっくりとこちらを向いた。しばらく黙っていたが、やがて小さく息を吸った。

「話すわ」

 決意を固めたような声だった。


 ⸻


「セリオンが、私を特別扱いした理由……たぶん、これだと思う」

 先生は自分の掌を見つめながら続けた。

「増幅適性者。星冠の塔で、術式が私の中を通っていくたびに、増幅されて外へ流れていった。私の身体そのものが、術式を通す媒介になっていたみたい」

 澪が息を呑む。楓も瑠奈も、黙って先生の言葉を待った。

「だから、もしかしたら……私の力を使えば、星脈機関そのものに、遠くからでも干渉できるかもしれない」


 ⸻


「5つの神殿に、直接行かなくても?」

 瑠奈が身を乗り出した。先生は頷いたが、すぐに表情を引き締めた。

「試したことはないの。成功する保証も、ない」

 言葉を選びながら、先生は繰り返した。「あくまで、可能性の話よ」

 澪が眉を寄せた。「危険は、どれくらいあるんですか」

「分からない。星脈機関に、また接続に近い状態になるのかもしれない。負担がどれくらいか、想像もつかない」

 楓の顔が強張った。「先生に、そんな負担……」


 ⸻


 零司は拳を握った。これ以上、先生に何かを背負わせることへの躊躇いが、胸の中で渦を巻いていた。

「先生」

 もう一度呼びかけたが、続く言葉が出てこなかった。

 先生は零司の方を見て、静かに首を振った。

「他に、方法がない」

 それから、はっきりとした声で続けた。

「やってみるしかないと思う」


 ⸻


 四人はそれぞれの表情で、その言葉を受け止めた。澪は唇を噛み、楓は視線を落とし、瑠奈は先生をまっすぐ見つめた。

 外で、何かの物音がした。誰かの足音が、少しずつこちらへ近づいてくる気配があった。

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