↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第4章:「還る場所、還らないもの」
92/101

第91話 逆に回す

 四人と先生が、隠れ家の中央に集まった。先生の顔色は、以前よりも明らかに良くなっていた。

「少し、楽になったわ」

 先生が小さく言った。澪が安堵したように頬を緩める。楓と瑠奈も、その変化に気づいていた。


 ⸻


「あれから、ずっと考えていたの」

 先生が切り出した。皆の視線が集まる。

「星冠の塔で……私の中を、何かが流れていく感覚があった。あれは、召喚のための術式だったんだと思う」

 先生は自分の掌を見つめながら、言葉を選ぶように続けた。

「召喚術式は、異世界から人を呼び寄せるための仕組み。だとしたら……理論上は、その流れを逆に回すことができれば」

「元の世界へ、送り返せるかもしれない」

 零司が続きを引き取るように言った。先生は小さく頷いた。

「あくまで、私の中に流れ込んだ術式の記憶と、研究者としての勘よ。確証は、まだない」

 念を押すように、先生はそう付け加えた。


 ⸻


「でも、簡単じゃないと思う」

 先生は続けた。

「召喚は、5つの神殿に蓄積された魔力を星冠の塔で統合して、初めて成立する規模のものだった。それを逆回転させるには……同じくらい、あるいはそれ以上の魔力が必要になるはず」

「王都の神殿1つじゃ、足りないってことですか」

 澪が尋ねる。先生は頷いた。

「たぶん、5つすべての神殿を、同時に起動しなければ届かない」


 ⸻


 沈黙が落ちた。

 5つの神殿は、どれも遠く離れた場所にある。ルーヴェ村も、その1つに含まれている。

「そんなの、どうやって……」

 瑠奈が呟いた。

「私たち、追われてるんですよ」澪が続ける。「今更、村や街を回るなんて」

「移動だけで、何か月もかかるかもしれません」

 楓が地図を思い描くように、視線を宙にさまよわせた。誰も、その先の答えを持っていなかった。


 ⸻


 先生は少しの間、黙っていた。それから、ためらいがちに口を開いた。

「もしかしたら……」

 四人の視線が、一斉に先生へ向いた。

 先生はそこで言葉を切った。何かを考え込むように、視線を落とす。まだ、自分の中でも整理がついていない様子だった。

「なんでもない。もう少し、考えさせて」

 それだけ言うと、先生は口をつぐんだ。四人は顔を見合わせたまま、次の言葉を待つしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。