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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第3章:「星冠の塔にて」
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第77話 また会いましょう

 零司は走った。


 セリオンが何か言っていた。でも足は止まらなかった。澪が結界を展開してセリオンとの間に壁を作った。瑠奈が魔法で通路を照らした。楓がマッピングで最上階への道を確認した。


「上です」


 四人は階段を駆け上がった。


⸻


 最上階の扉を開けた。

 光がまだそこにあった。先生が光の中で丸くなっていた。

「先生」

 楓が光の膜の前に膝をついた。

「もう一度だけ力を貸してください。内側から膜を弱めてもらえますか」

 先生の目がゆっくりと開いた。

「……分かった」

 かすかな声だった。でも確かだった。

 光の膜が揺れ始めた。先生が内側から力を使っていた。

「楓ちゃん、どこ」

 瑠奈が杖を構えながら聞いた。楓が鑑定を発動した。術式の構造が断片的に見えてきた。膜の一点が、他より薄くなっていた。

「そこです」

 楓が指差した。瑠奈が杖を向けた。魔法が一点に収束した。

 光の膜が、音もなく崩れた。


 ⸻


 先生が倒れかけた。

「先生っ」

 楓と澪が同時に動いた。二人で先生を受け止めた。零司は扉の方を向いたままだった。

「零司くん、ケープを」

 楓の声がした。零司は扉を向いたまま、背中に手を回してケープを外した。後ろへ差し出した。楓がそれを受け取って先生に羽織らせた。

「先生、歩けますか」

「……少し、待って」

 先生の声は弱かった。でも意識はあった。澪が先生の腕を肩に回して支えた。

「行きましょう」


 ⸻


 五人で階段を降りた。途中の区画を通り過ぎようとしたとき、楓が扉を開けた。

「ここに何かあるかもしれません」

 中は小さな控室だった。神官服が何着か掛けられていた。楓と澪が先生に神官服を着せた。零司は廊下で見張りをした。

「できました」

 扉が開いた。先生が神官服を身につけて立っていた。ケープは楓の腕に戻っていた。

 五人は再び走り出した。


 ⸻


 塔の出口が見えた。

 セリオンが出口の前に立っていた。追いかけてこなかった。ただそこで待っていた。

「行くつもりですか」

「行きます」

 零司が答えた。

 セリオンは動かなかった。でも阻まなかった。五人が横を通り過ぎた。

 外に出た瞬間、夜風が来た。

 王都の空が広がっていた。星が出ていた。

 零司は立ち止まって空を見上げた。先生が隣に立った。楓が、澪が、瑠奈が並んだ。

「また会いましょう」

 後ろからセリオンの声がした。

 零司は振り返らなかった。

 これから何をすべきか、まだ分からなかった。でも覚悟だけは、胸の中にあった。

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