↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第3章:「星冠の塔にて」
77/101

第76話 変わりません

 零司は一歩前に出た。

 セリオンが零司を見た。管理者の目だった。感情がなかった。でも零司は目を逸らさなかった。

 後ろに三人がいた。楓が、澪が、瑠奈がいた。

 何を言えばいいか、考えた。

 でも考える前に、いろいろなことが頭の中を流れた。


 ⸻


 ルーヴェ村のダンジョンで一人で潜っていた頃のこと。整いすぎた環境への違和感。図書館で英雄の記録を読んで、子孫の話が一切出てこないと気づいた時のこと。

 楓が初めて声をかけてきた時のこと。澪が四人で行動しようと提案した時のこと。瑠奈が零司と呼んだ時のこと。

 アルヴェナでの日々。四人での戦闘。野営の夜。食堂での会話。違和感が積み重なっていった日々。

 蔵書室で楓と並んで本を読んだ時のこと。星脈という言葉と五芒星の図を見つけた時のこと。最後の一ピースが、ずっと見つからなかった時のこと。

 星冠の塔の最上階で、光の中で丸くなっていた先生の姿。

 あの巨大な空間に浮かんでいた、無数の光の球。上層には最近繋がれたばかりの者たち。下層へ行くほど身体が光に変わりかけていく者たち。

 これだけのことを、見てきた。知ってしまった。

 知らなかったことには、できなかった。


 ⸻


「セリオンさんの言っていることは分かります」

 零司は言った。

「星脈機関が止まれば魔法が失われる。魔道具が動かなくなる。人々の生活が崩壊する。世界を維持するために召喚者が必要だった。その論理は理解できます」

 セリオンは黙って聞いていた。

「でも」

 零司は続けた。

「俺たちは帰ります。先生を連れて、元の世界へ」

「それは不可能です」

 セリオンが静かに言った。

「逆召喚の術式は存在しません。この世界から元の世界へ帰る方法は——」

「分かりません」

 零司が遮った。

「方法が分からなくても、諦めません。先生なら分かるかもしれない。俺たちには分からなくても、先生には分かるかもしれない」


 ⸻


 セリオンは零司を見た。

 長い沈黙があった。

「……あなたたちは、何度言っても変わりませんね」

「変わりません」

 零司は答えた。

 振り返った。楓が頷いた。澪が前を向いた。瑠奈が零司を見て、小さく頷いた。

 答えは変わらなかった。

 零司はセリオンに向き直った。

「先生を連れて、ここを出ます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。