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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第3章:「星冠の塔にて」
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第72話 決めるのは、俺たちだ

 誰も話さなかった。

 光の球が静かに浮かんでいた。上層から下層まで、無数の人たちが眠り続けていた。声もなく、動きもなく、ただ消費され続けていた。

 零司はその光景を見ながら、頭の中でいろいろなことを思い返していた。

 召喚された日のこと。ルーヴェ村のダンジョンで一人で潜っていたこと。楓が初めて声をかけてきたこと。澪が四人で行動しようと提案してきたこと。瑠奈が零司と呼んだこと。先生が光の中で丸くなっていたこと。

 老いない体のこと。子供を残せないこと。記憶に空白があること。

 全部が、ここに繋がっていた。


 ⸻


 楓が口を開いた。

「このまま、知らなかったことにはできません」

 声が静かだった。でも揺れていなかった。

「証拠もある。先生もいる」

 澪が続けた。

「動けるうちに動かないと」

 瑠奈が零司を見た。

「零司と一緒にいる」

 それだけだった。でもそれで十分だった。

 零司は三人を見た。楓が真っ直ぐこちらを見ていた。澪が前を向いていた。瑠奈が零司から目を離さなかった。


 ⸻


 召喚された日から、ずっと言われた通りに動いてきた。ダンジョンへ潜れと言われて潜った。王都を目指せと言われて目指した。儀式へ参加しろと言われて向かった。

 でも今は違う。

 ここで何を選ぶかは、自分たちで決められる。

「決めるのは、俺たちだ」

 零司が言った。

 三人が頷いた。


 ⸻


 その瞬間、音が鳴り響いた。

 低く、規則的な警報の音だった。施設全体に響いていた。壁の術式が一斉に赤く変わった。

 監視が解けた。セリオンが気づいた。

「来た」

 澪が言った。

「行こう」

 零司が言った。

 四人は走り出した。

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