第61話 攻撃は絶対しないで
零司が戻った瞬間、澪は動いた。
結界の魔法を展開した。四人を包む淡い光の膜が広がった。神官たちが術式を発動しようとしていたが、結界がそれを弾いた。
「何をなさっているのですか、儀式の途中で——」
神官の声が飛んできた。澪は前を向いたまま答えなかった。
「攻撃は絶対しないで。安全管理機構が発動すると思う。目くらましだけにして」
瑠奈が頷いた。楓がマッピングを展開した。
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「出口はこっちです」
楓の声で四人が動いた。
神殿の中を走った。神官たちが追ってきた。周囲の召喚者たちが何事かと騒ぎ始めた。
「止まりなさい」
前方から別の神官が立ちはだかった。瑠奈が杖を向けた。炎が床を舐めるように広がった。攻撃ではなかった。視界を遮る煙と光だけを作り出した。神官たちが一瞬足を止めた。
「こっち」
楓が曲がり角を指差した。四人は曲がった。
通路が続いた。神官たちの足音が後ろから迫ってきた。
「結界、まだ保てる?」
零司が澪に聞いた。
「もう少し」
澪は走りながら答えた。結界を維持しながら走るのは消耗が激しかった。でも今は止められなかった。
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広い空間に出た。神殿の正面ホールだった。入ってきた時とは別の方向から出てきたらしく、見覚えのない柱が並んでいた。
「あっちに扉があります」
楓が指差した。大きな扉だった。外へ続いているはずだった。
後ろから神官たちの声が迫ってきた。術式の光が廊下から漏れてきた。
「走って」
零司が言った。
四人は走った。扉に手をかけた。重かった。零司と澪が力を合わせて押した。
扉が開いた。
外の光が差し込んだ。
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神殿の外へ飛び出した。
広場だった。朝の光が眩しかった。市民たちがまだ残っていて、突然飛び出してきた四人を見て驚いていた。
四人は立ち止まった。
澪の結界が消えた。息が上がっていた。楓が周囲を確認した。瑠奈が神殿の扉を振り返った。
扉の向こうから、神官たちの気配が迫ってくるのが分かった。
「逃げよう」
零司が言った。
四人は走り出した。




