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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第3章:「星冠の塔にて」
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第60話 瑠奈さんの言う通り、おかしいです

 ついに順番が来た。

 神官が静かに手を差し伸べた。

「どうぞ、こちらへ」

 零司は一歩前に出た。祭壇の方向へ向かって歩き出した。後ろに三人が残っていた。

 扉が近づいてきた。

 

 ⸻

 

 零司が歩き出した瞬間、瑠奈の中で何かが鳴り響いた。

 儀式が始まってからずっと、おかしな感覚があった。術式の光り方が、これまで見てきたどの魔法とも違った。火や水や聖属性の魔法とも、ダンジョンの術式とも違う。何かに吸い込まれていくような光り方だった。

 魔力の流れも違った。この空間の魔力が、祭壇の方向へ一方的に流れていた。循環していなかった。集まって、消えていた。

 作られたルール。ずっと感じてきた感覚が、今まで以上に強く鳴り響いていた。ルーヴェ村のダンジョンで感じたあの感覚と、神殿の広場で感じたあの感覚と、今この瞬間の感覚が、一本の線で繋がった。

 瑠奈は楓に顔を寄せた。

「楓ちゃん、この術式おかしい。魔力の流れが……吸い込まれてる」

 

 ⸻

 

 楓は瑠奈の言葉を聞いた瞬間、静かにスキルを発動した。

 行動予測。数秒先の行動が見えるはずだった。

 でも零司の先が、見えなかった。

 正確に言うと、真っ白だった。光の中にいるようだった。輪郭が見えない。行動が読めないのではなく、存在が見えなくなっていくような感覚だった。

 楓の顔から血の気が引いた。

「……零司くんの先が、見えない。真っ白で……光の中にいるみたいで」

「どういうこと」

 澪が身を固くした。

「瑠奈さんの言う通り、おかしいです」

 

 ⸻

 

「零司、戻って」

 瑠奈が叫んだ。

 神殿の中に声が響いた。周囲の召喚者たちが振り返った。神官たちが動いた。

「お待ちください、儀式の途中で——」

 零司は立ち止まった。振り返った。三人の顔が見えた。楓が血の気を失った顔で零司を見ていた。澪が身構えていた。瑠奈が真っ直ぐこちらを見ていた。

 零司は神官の静止を振り切って、三人のもとへ戻った。

「何があった」

「行動予測を使いました。零司くんの先が見えなかった。光の中に消えていくみたいで」

 楓の声が少し震えていた。

 神殿内がざわめいた。神官たちが集まってきた。周囲の召喚者たちが何事かと騒ぎ始めた。

 零司は三人を見た。三人が零司を見た。

 言葉はなかった。でも全員が同じことを分かっていた。

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