第47話 零司のところへ何しに行ってるの
澪は考えていた。
楓はどう思っているのだろう、今の関係を。
手伝うと言って零司と関係を持つようになってから、楓とそういう話はしていなかった。野営のとき、何となく順番が決まっていた。楓が目で語ってくる。楓が最初で次が自分。それは別にいいと思っていた。あくまで手伝っているだけだから。
零司は本人が思っているよりかっこいい、というよりかわいい顔をしている。もっとちゃんとしていればもてると思うが、本人はそうじゃないらしい。楓はきっとずっと前から零司の良さを知っていたのだろう。もちろん外見という意味ではない。
そんな楓と自分。きっと異世界だからなのか、それとも零司の職業のせいなのか。うまく言葉にならなかった。
夜も深まり、あたりが静まり返ってから、澪はそっとテントを出た。
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今日はなぜか積極的になって零司を見下ろしていた。知らず知らずのうちに身体が勝手に動いてしまう。澪は体の中から込み上げてくる感覚に身を委ねていた。最近感じるようになった感覚だった。
すると、今まで感じた以上の衝撃が体を貫いた。目の奥がカチカチと音を立てるように明滅した。やがてそれが静かに収まると、澪は力尽きたように倒れ込み、零司の胸に顔を預けた。
零司の胸に顔を埋めたままでいると、視界の端に文字が浮かんだ。
澪はビクッと身体を強張らせて起き上がった。一瞬で現実に引き戻された。
「やっとハーレムメンバーになったわ」
「条件って何なのかな」
「ちょっと前にレベル譲渡が発動したから何か関連あるのかしら。楓もレベル譲渡が発動した後って言ってたような。でもメンバーになったんだからもう条件はどうでもいいかもね」
「そうだね」
「そろそろ戻るね」
そっと自分のテントへ戻った。
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自分のテントの隙間から、その様子をうかがっている金髪の少女がいた。
何か怪しい。今日は澪ちゃん、昨日は楓ちゃん。二人とも何かを隠している。
気づいたのは最近だけど、多分少し前からだと思う。
瑠奈は街に戻ったら問い詰めようと、心に誓った。
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街の食堂の端の席に、三人が座っていた。
瑠奈は楓と澪を交互に見た。
「澪ちゃん、楓ちゃん。私に何か隠してることあるでしょ」
「何も隠してないよ」
「隠してないわよ」
二人の声が揃った。でも態度が怪しかった。
「じゃあ質問変えるね。夜遅くに自分のテント出てどこ行ってるの?」
「ちょっと考え事があって」
「夜風に当たりに……」
瑠奈は二人を見た。
「こう聞けばいいの?零司のところへ何しに行ってるの?」
澪が真っ赤になって下を向いた。楓がまったく関係ない方向を見た。
「ち、違くて」
「別に怪しいことじゃ」
「怪しくないなら教えてよ」
瑠奈は追及をやめなかった。二人がごまかすたびに、別の角度から聞いた。しばらくそれが続いて、楓がため息をついた。
「……わかった、話す」
澪は赤くなったまま、ずっと下を向いていた。
楓がぽつぽつと話した。零司の職業特性でスキルポイントがレベルアップでは獲得できないこと。だから協力していること。レベルが上がることもあること。ハーレムメンバーのこと。
瑠奈はしばらく黙っていた。
それから、真剣な目で二人を見た。
「私も手伝う。零司の手助けしたい」
澪と楓は顔を見合わせた。
やっぱりこうなるか。
なぜだか、知られたらこうなると思っていた二人だった。




