第46話 絶対何か作られたルールで動くものだよ
魔法を放った。
魔物がよろめいて、崩れた。光の粒になって、散っていった。
三上瑠奈はその場に立ったまま、魔物が消えた場所を見ていた。
何度も見てきた光景のはずだった。なのに今日は、目が離せなかった。何かを思い出しそうで、思い出せない。その感覚が引っかかったまま、自分の手と魔物がいた場所を見比べた。
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歩きながら、考えた。
魔法は何もないところから何かを生み出す。火を出したいと思えば火が出る。水を出したいと思えば水が出る。でもその火はどこから来るのか。この手から出ているのか。それとも別のどこかから引き出しているのか。
魔物はやっつけると消えてなくなる。光になって散る。あの光はどこへ行くのか。
魔力とは何なのだろう。
魔、という字。この世界の言葉に当てはめたとき、そういう字になったのだろう。でも本質的なものは何なのか。私たちの世界の言葉で言えば、何に近いのか。エネルギー?物質?それとも全然違う何か?
前に感じた、魔法には誰かが設計したルールがある気がするという感覚が蘇ってきた。
火と水を同時に発動しても打ち消し合わない。詠唱なしで発動できる。レベルが上がると威力が上がる。どれも一貫していた。
一貫しているということは、誰かがそう決めたということではないのか。
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「瑠奈また考え事?」
二階堂が隣に来ていた。
「澪ちゃん、やっぱりおかしくないかな」
「えっ、何が」
「魔法」
「またその話」
二階堂は苦笑いしたが、完全に否定はしなかった。少しだけ、表情が固まった気がした。
「絶対何か作られたルールで動くものだよ……」
消え入りそうな声で呟いた。
二階堂は何か言いかけて、口を閉じた。
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夜、部屋に戻って手のひらを見た。
魔法を撃つたびにここから力が出る感覚がある。でもこの手は召喚された日から何も変わっていない。
設計されたルールがあるなら、誰が設計したのか。
魔法だけじゃない。この世界全体が、誰かに設計されているのではないか。
答えは出なかった。でも調べたいという気持ちが、じわりと湧いてきた。
そういえば零司は蔵書室で何かを調べていると言っていた。星脈、という言葉が頭に浮かんだ。
今度、蔵書室へ行ってみよう。
手のひらを握った。部屋の明かりだけが、静かに灯っていた。




